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あたたかな公園  作者: 如何敬称略
少女は見えていない
2/14

響く音

着飾った少女。

服に着られているというわけではなく、少女自体は可憐で妖艶さすら覚えた。

お昼時は子どもたちは一旦家に帰って昼食を取るため、公園には束の間の静けさがあった。

そんな落ち着いた雰囲気の公園から、少女は浮いた存在であった。


少女は、服とは裏腹に簡素なデザインの、しかも今となっては珍しいガラケーを覗き込んでいた。そして耳にはイヤホンが入っていて、ウォークマンに繋がっていた。何を聞いているのかと一瞬思ったところで静かな公園にポップな音楽が流れているのに気がついた。音の出どころは、…どうやら、その少女のイヤホンはしっかりハマっていないのか、音漏れしていた。


少女はいるが、来たばかりの公園を去るのも躊躇われ、結局テーブルのベンチに座り、菓子パンと麦茶を取り出した。


…やはり音漏れしていることに気付いていないらしい。少女は僕を一瞥すると再びガラケーの画面へ。漏れている音に気付いてから更に音がはっきり聞こえるようで、その上二人しか公園にはいなかった。いづらさに耐えかね、少女に音漏れしていることを伝えようと、声をかけてみる。


「あの、音漏れてますよ?」


そう言って自分の耳を指差した。誰とも会わない休日、久しぶりに出した声だったので少し出づらく、その上、少女はイヤホンをしていたから恐らく聞こえていなかっただろう。だが、稚拙なボディーランゲージが役に立ったのか、僕を見るとすぐにイヤホンを外し、ウォークマンを操作した。


「音、漏れてましたか…」


にらめっこしていたガラケーも閉じて僕にそう聞いた。

そうして初めて僕はその少女の顔をはっきりと捉えた。妖艶だのなんだの思って、何かこの世とは違う次元のものに見えていたが、すぐにそんな認識は消えていった。音漏れしていたのが恥ずかしかったのかすぐにまたうつむいてしまったが、きれいでつややかな少女の黒い髪は肩ほどまで伸ばされ、少し長めの前髪はヘアピンで右に寄せてあった。そこから覗く顔は幼さがありながらも整っていて、思わず息を飲んだ。


僕は少し遅れながら頷き、菓子パンの袋に手をかけた。少女もまたガラケーを開いた。


暫くして僕は菓子パンをたいらげ、ぼんやりと子どもたちが戻ってきてにぎやかになりつつあった公園を眺めていた。斜向いにいる少女は相変わらず、いや、少し不安げで何か焦っているように画面を見ていた。聞こえてくる子供の楽しげな様子との落差が激しく、声をかけてみることにした。


「なにかあったんですか?」


夢中だったのか、少し驚いていた。が、すぐに答えた。


「…友達と遊ぶ約束をしていたのですが、連絡が取れなくて…。連絡先をまだ知らなくて…。待ち合わせ場所と時間を決めていたのですが…」


困ったと笑みを浮かべていた。連絡先を知らないのなら、待つしか無い、そう思った僕は短く、そうなんだ、来るといいねと声をかけ、また視線を元気にはしゃぐ子供に向き直した。少女はウォークマンをいじり、イヤホンをかけ、音楽を聞き始めた。何度もイヤホンを確認していたから音漏れはしていないだろう。


会話文って難しいですね…汗

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