表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

第五話 繋がり

 魔物を倒した広間を抜けて、一行は先を進んでいた。

「あの……カイルス様……」とミーシャが後ろからカイリを呼ぶ。

「"様"なんてやめて下さいよっ!カイリでいいですから」

「それでは……カイリさん。 先程の魔物から落ちた魔石を拾っておきました」

そうミーシャは言うと、鞄から掌サイズの黒い結晶をカイリに渡した。

黒紫色に鈍く光る大きな結晶だが、どこかで見た事がある。

「これって……確か……」

カイリはサイドバッグに閉まってあった小さな石を取り出す。

「小さいけど同じ奴に見える……あの、一体これはなんですか?」

「アナタ魔石の事も知らないの!? 本当にただの旅人のようね……」とカリナがやれやれと呆れた顔をした。

「魔石というのは、簡単に言えば魔物の(コア)です。 魔物の体はその魔石によって成型されています。 生身の肉体に憑依できる悪魔達とは違い、魔物は魔石にしか憑依出来ません」

「その悪魔達とは何者なんですか?」

「数々の古い伝承に72柱の悪魔と記されてはいますが、悪魔達を実際に見た者はもう生きてはいません。 ここ100年間は悪魔に関する記録がありませんので、具体的には何も掴めていないのです」

「大体、悪魔が人に取り憑くってのも眉唾もんだしな!」

少なくとも1000年前の歴史は知っているが、それ以上の事は知らないようだ。

100年前に起こった事を知っているのは王とカイリだけなのだろうか。それならばなぜ隠す必要があったのか今は知る術がない。

「それで、何故その魔石を僕に?」

「魔石は本来魔力の塊なんです。 魔石を取込めば自身の魔力を引き上げる事が出来ます。 その大きさの魔石ならカイリさんの魔法もきっと強くなるはずです」

「えっ?!そんな価値のある物は貰えませんよ!」

流石にそんな大層な物は貰えないとカイリは断るが、「それはな、俺達がカイリに助けてもらったからだけじゃねぇんだ。 冒険者にはトドメをさした奴が貰うってルールがあんのさ。 そうじゃないと争いが生まれるからな。 だからもう何も言わずに受け取っておけ」とタージは半ば強引に話を終わらせる。

これ以上はキリがないと思い、「……分かりました。 ありがとう」とカイリも折れ、有り難く受け取る事にした。

「じゃあカイリ、早速使ってみるか?」とタージが使い方を教えてくれた。

取込み方は簡単で、魔石を手に持ち、そのまま何かで砕くだけだと言う。

そうすれば魔石から魔力が溢れ、1番近くにいる魔力を持つ者に集約するとの事だ。

カイリは魔石を手に持ち、思い切り地面にぶつけた。

すると魔石から魔力が溢れ出し、吸い込まれるかのようにカイリの中に入っていった。

「どうだ? 何か感じるだろ?」とタージが言う。

確かに、自分の中の魔力が膨れ上がっていくのが感覚として分かる。

「魔力が上がれば魔法も強まります。 カイリさんの魔法も1段階強化され、何が出来るようになったか感覚で分かりますよ」

カイリは感覚で"録音"の魔法が強化され、"音量調節"が出来るようになったと分かった。

「凄いですね……魔石って……」とカイリは感激した。

「因みに、魔石は売ればいい金になるんだぜ?」

なるほど、それは争いが生まれるって言うのも頷ける。


 それから魔物と出会す事もなく無事に洞窟を抜けられた。

「やったーー!」

「おっしゃーー!」

とカエデとタージがはしゃぎながら先へ走っていった。

それを微笑ましく見てたカイリに、ミーシャが話しかける。

「カイリさん。この少し先に村があるのですが、一緒に来ては頂けませんでしょうか。 色々とお礼もしたいので……」と少し顔を背けモジモジしている。

その仕草がなんとも可愛らしく、カイリは断り切れず「……はい。 分かりました」と返事をした。


 一行はココロ村というところについた。

アトミアの街程ではないが、十分栄えてる賑やかな村だ。

一番最初にその村の医者にミーシャの兄ライナを預け、診断してもらう。

幸い命に別状はなく2〜3日で目が覚めるとの事だったので、皆は心底安堵した。

「それじゃあ改めて今回のクエスト成功を祝って打上げでもするか!」

「ライナはどうするのよ!」

「寝てる奴が悪いんだ!カイリ!どれだけ酒が飲めるか勝負しようぜ!」

「タ、タージさん!カイリさんにそんな無茶な事を……」

「そうよ!アンタ酒だけはやたらと強いじゃない!カイリ、こんな挑発受けないでいいよ!」

「……お酒……飲んだ事無いんですが……」

「えぇー!」

そんなやりとりをしながら4人は酒屋に入る。


 気付けば夜がふけり、空はうっすらと明るくなっていた。

カイリは初めてこんなに楽しいと思える時を過ごした。

ずっとコウシと2人で暮らしていて、人と関わる事があるとするなら、梨を街へ売りに行くくらいの事しかしてこなかった。

決してつまらなかったわけではないが、カイリの中に初めてコウシ以外の繋がりが出来た事が心底嬉しかった。

「……うぅ〜……」タージがテーブルに突っ伏して寝ている。

「カイリ……アンタとんでもないわ……一体何杯目よ……」とカエデも限界を超えていたらしく、タージと同様テーブルに突っ伏した。

「あはは。僕お酒は強いみたいです。」

「カイリさんは本当にお酒強いんですね。私は少ししか飲めないのに……いいなー」

口調が変わっている。ミーシャも酔っているようだ。何故か上目遣いでカイリを見つめる。

カイリもドキッとはしたが、今ここは自分しかまともな人が居ないと思い、「さぁ、皆さん今日はここら辺でお開きにしましょう」と提案するも誰も聞いちゃいない。

すると酒屋のマスターがこちらのテーブルに来て、「こいつらは常連でな。 いつもはこの突っ伏してる娘ともう1人のガッチリしたあんちゃんが潰れるんだ。 この2人は妻と運んで寝かせておくからあんちゃんはその子を宿屋まで送ってあげな」とタージを抱えて仮眠室まで連れて行った。

「わかりました。 お代はここに置いておきます。 じゃあミーシャさん、行きましょう」とカイリはお金をテーブルに置きながら言い、ミーシャを連れて店を出た。

外はすっかり早朝になっている。

「明るくなりましたね」とカイリは話しかけると、

「……カイリさんは私達の命の恩人です……あの時、カイリさんが来てなかったら……こんなに楽しい時間を過ごせなかった……本当に、本当に……ありがとうございます……」

ミーシャが言い終わると潤んだ瞳でカイリを見つめ、そして満面の笑みを見せてくれた。

カイリは助けたとは思っていない。

自分もこの人達に救われたのだ。

1人だったら絶対勝てなかった。

もし1人であの魔物と戦っていたらあの蹴りを喰らった時、心が折れていた。

「ううん。こちらこそ――」ありがとう。と言う前にミーシャがカイリの胸に倒れ込んできた。

どうやら眠ってしまったようだ。

カイリはミーシャを背中におぶって宿屋まで行き、ミーシャをベッドに下ろした後、酔っている2人の様子を見に酒屋へ戻った。


プロフィール紹介⑤


名前:ミーシャ・カイン

性別:女

年齢:19歳

見た目:

・薄い桃色のロングヘア

・清楚を体現した様な美人

魔法:木系魔法 魔力消費系

・木や蔓を生やし、敵の行動を止める事が得意

・花も生やせる

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ