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爆誕!すももたろう

おちゃらけておりますので、苦手な方はご用心を。


そして、特定の何かを貶めるような意図も一切ありません。

 桃から生まれた桃太郎。みんなが知っているとっても有名なお話し。

 だけど、実は桃太郎が生まれたのは桃からではなかったとしたら?

 これはそんな『もしも』のお話し。




 むかしむかし、ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいました。

 お爺さんは山で柴刈りをしては焚き木にしてそれを売っていました。

 今と違って昔は電気もガスもありませんからね。料理をするのにも暖房をするのにも焚き木が必要だったのです。


 そしてお婆さんは川に洗濯に行っていました。実はお婆さん、ご近所でも評判の洗濯名人でした。

 そのためハレの日の衣装や、ここ一番の大勝負に出る時の服、そして汚してしまった手に負えなくなった服などがお婆さんの所に持ち込まれていたのです。

 今でいうクリーニング屋さんですね。


 そんなお爺さんとお婆さんは、二人で仲睦まじく暮らしていきましたとさ。

 おしまい。


 ……いえいえ、ここで終わってしまってはいけません!


 ある日のことです。いつものようにお婆さんが川で洗濯をしていると、川上から何か大きなものが、どんぶらこ、どんぶらこ、と流れてくるではありませんか。

 さてさて、一体何が流れてきたのでしょうか?

 お婆さん、正解をお願いします。


「こ、これは!なんて大きなもも、じゃないね!?……すもも!?」


 はい、何と流れてきたのは一抱えもあろうかという大きなおおきな『すもも』だったのです。

 ……それにしてもお婆さん、よくすももだと見抜きましたね?

 ももとすもも、一見すると大きさ以外はよく似ているのですけれど?


「そこは、まあ、年寄りの勘じゃな」


 とのこと。亀の甲より年の功だったようです。

 とにもかくにも、せっかく見つけた珍しい品ですから、お婆さんは持って帰るようです。

 どうやらお爺さんに見せて自慢したいご様子。


 なんでもお爺さんはその昔、山で光る竹を見つけたことがあるとかで、事あるごとにお婆さんにそのことを話していたのだとか。

 だからお婆さんは、いつかお爺さんを「ぎゃふん!?」と言わせることができるようなものを見つけたかったのだそうです。


 そして帰ってきたお爺さんが発した一言目がこちら。


「のわっ!?何じゃこの巨大なもも、じゃなくてすももは!?」


 ……さすがは長年お婆さんと夫婦だっただけのことはありますね。お爺さんも一発でこの巨大な物体をすももだと言い当てたのでした。


「ふぉっふぉっふぉ。どうじゃな、爺さん。これほど大きなもも、じゃなかった、すももは見たことがないじゃろう」

「ぬぐぐ……。確かにこんなに大きなもも、ではなく、すももは見たことがないぞい……。こんなことなら、あの時に光る竹を切って持って帰ってくればよかったわい」


 あらら、負けを認めはしたけれど、お爺さんちょっぴり悔しそう。

 とりあえず珍しいもの自慢は喧嘩にならないようにほどほどに。


「ところで、婆さんや。このもも、ではなくすももは食べられるのかのう?」

「どうなんじゃろうなあ?大きな実は大味であまり美味しくないというがのう……」


 うーん、と唸りながら二人してすももの匂いをくんくんくん。

 ももに比べると酸味の強い、けれどもしっかりと甘みも感じられる美味しそうな香りです。


「……試しに食べてみるかの?」

「そうじゃの、どうせこのまま置いておいても悪くなるだけだし」


 元々食べるよりも物珍しさから拾ってきたようなものです。

 その大きさだけでもう十分に楽しめていたので、もし不味くても残念ではないな、二人ともそう思っていたのでした。


 そしてお婆さんが取り出したりまするは鋭く研ぎあげられた、包丁!


「それでは……、爺さん、頼んだよ」

「うむ」


 包丁を渡されたお爺さんは厳かに頷き、スッと真正面に構えました。

 その恰好はさながら巷で聞く大剣豪のようですらあります。


「きえええええええい!!」


 気合を込めた叫びを発し、お爺さんが巨大すももに斬りかかります!


 ズバッ!


 と斬れたのは、大きなすもものほんの一部だけでした。


「大きいから簡単には切れそうにもないのう」


 さすがに真っ二つにするには包丁の長さが足りなかったようです。


「切れた周りだけを食べることにするかのう」


 今度は切れ目に向かって斜めに包丁を入れようとしたその時です!

 切れ目を入れたところからカッ!と光ったかと思うと、


「な、なんじゃ!?」

「何が起きるのじゃ!?」


 パカッ!


 と景気のいい音がして、


「おんぎゃー、おんぎゃー!」

「もも、じゃなかった、すももの中から赤ん坊が!?」

「ひょ、ひょえー!?」


 なんと巨大すももが真っ二つに割れ、その中から元気な赤ちゃんが現れたではありませんか!

 これには二人もびっくり仰天!


「お、男の子のようじゃ」


 恐る恐るお婆さんが抱き上げると、その赤ちゃんは楽しそうに笑い始めました。


「はー、こんな状況で笑うとは肝の据わった赤子じゃ……」

「小さくても男なんじゃのう。……ふむ。もも、ではなく、すももから生まれた男の子じゃから、『すももたろう』という名前はどうじゃろうか?」

「そのまんまじゃが、分かり易くて良いかもしれんの。ほれ、お前は今日からももた、ではなかった、すももたろうじゃ」


 高いたかいをされて男の子はキャッキャと楽しそうに笑っています。

 こうしてすももから生まれた男の子は『すももたろう』と名付けられておじさんとお婆さんに大切に育てられることになったのでした。めでたしめでたし。


 …………いやいやいやいや!

 だからまだ終わっちゃいけませんってば!


 大きなおおきなすももから生まれたすももたろうは、お爺さんとお婆さんに見守られながらすくすくと成長していきました。


「ほれ、ももたろ、ではなくすももたろう。欲しがっていた木刀を作ってやったぞ」

「ももた、じゃなくてすももたろうちゃんや、好物のきびだんごを作ったからお食べなさい」


 時々名前を間違われていたようですが。


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