第12話 座敷童子する
第七位階上位
確認作業と言っても、大した事は無い。
つい6時間程前に黒霧から報告を受けた見積もりの経過確認作業が主だからだ。
ここで修正があれば、問題を洗い出し、それを解決する。
まぁ、そもそも僕が通った道を歩いて来る程度の事をやらせているだけなので、九割九分九厘予想通りの結果となる。
異なる点があるとすれば、僕が敢えて手を付けずにやらせている事。
ゴーストパウダーの研究や、結晶樹含む一部高級植物の育成等だ。
未知の探究はどんなレベルの子にも必要な事。
仮に僕がいなくなったとしても、黒霧には現状を維持出来るだけでなく、それを発展させて行ける様になって欲しいのが僕の願いだ。
そんなこんなで、あげられる報告を流し読みして、さっさと確認を終えた。
その次に行なったのは……凄い消耗しているのに休もうとしないメンバーの寝かしつけだ。
黒霧の奴がそこら辺ちっとも管理してくれてなかったのである。
その中でも特に手間が掛かったのは、3人。
ミルちゃんは、スペードの王の絶大な死に抗い相当な消耗をしている筈なのに、星隆の強靭な魔物を相手にスパーリングしていた。
記憶が新鮮な内に習得しておきたいのです。
もうちょっとやったら休みます。
などと言い訳をしていたが、絶対倒れるまで休まないので、背中を向けるミルちゃんに抱き付いて締め落とした。
アトラは、命泉で手狩をして勢力の増強を図っていたので、口頭注意した。
ついでに物怪丸の手を渡したが、手狩で消耗していたので、配下に加えるのは休んだ後になった。
計算高い彼女が珍しく申し訳なさそうにしていたので、気にせず休む様に言付け、にぎにぎしてから休ませた。
エヴァは黒霧と結託し、原海で肉の追い剥ぎをしたり、深淵で金属回収をしていたので、このまま活動すると信用度が低下します。と伝えた所、次の瞬間にはベッドの上に転移して寝ていた。
問題は、追いつくまでの高速移動と聞こえないフリである。
他にも何名か休息指示を無視する輩もいたが、呼び掛けると渋々それぞれの休憩場所に帰って行った。
尚シャルロッテは、消耗自体が少なかった為、即回復して平然と狩りを再開していた。
消耗が同程度のメロットはすやすやとお休み中だと言うのに……いやまぁ、どっちもどっちだ。
多くの子達は、しっかりと本の中で休んでいるが、なまじ強い子は平気で本から出て活動するからね。
エヴァなんて本に戻らずにベッドに入った辺り、休憩する気が無いのだろう。
まぁ、一度止めたし、キリが良くなれば勝手に戻るだろう。
そうこうやってる内に、やっぱりしっかりと休む時間が無くなってしまった。
皆が起きて来るまでの間、軽く休憩を取る事で誤魔化そう。
◇
朝の運動を済ませ、皆が朝食を取る中で僕は桃を食む。
そんな至福の時間を過ごし、お仕事に向かう皆を見送った。
今日の僕のお仕事は、夜の神楽以外だと一つだけ。
御鈴山の中を座敷童子すると言う大事なお仕事である。
そのついでに、お仕事中だったり休みの身内の子を見掛ければちょっかい掛けたりする。
先ず最初に見つけたのは、マガネと愉快な仲間たち。
彼女等は今日半休だ。各自の部屋でアナザーをやっている。
マガネ、正式名称真金桜里は……おそらくだが……万一千里が死んだ時の為の代用として、その名を付けられたのだと思う。
そこら辺、げん爺は自分が代用品の立場だったからか、少し厳しい所がある。
態々千里の代理を用意した理由は……まぁ、合理的に考えるなら……専属護鈴の補充用だ。
まぁ、万が一の保険くらいの考えだろうし、特にマガネ、もとい桜里が何かを強制されてる感じでも無いので、僕からアクションを起こす事は無い。
マヤは真金家の遠い縁者で、レイナは単なるクラスメイトだとして……セイトは……偶々なのか目をつけられたのか……まぁ、大人の思惑が何にせよ、子供達は仲良さそうなので気にしないでおく。
お屋敷の中をうろちょろし、次に見掛けたのは、調理場にいた戦場妹のミヨとマヒル。
他にもココネちゃん達がおり、今日のお昼の下準備を始めていた。
マヒルに関してだけ言えば、彼女は立場が上の人なので、指示出しとかをやれる様になって欲しいのが本音だが……まぁ、人には向き不向きがあるし、仕方ない。
それに鈴宮にはマシロがいるから何の心配も無い。
付け足すなら、見た感じコウキが引き取ってくれそうだし、彼が後ろ盾になるなら万が一にもマヒルが辛い目に合う様な事は無いだろう。
視線を避けて気配を絶ち、お祭りに紛れ込む。
次に向かったのは、学生祭場。
タケルの午前ライブをチラッと覗き、我がクラスのお洒落な喫茶店をチラ見した後、各屋台やらお化け屋敷やらの盛況具合を見て周った。
道中誰かに見られてる気がしたので振り返ると、いいんちょの妹であるメグミちゃんだった。
彼女は僕を見つけるのが地味に上手い。その実力はアヤやリンカちゃんにも匹敵する。取り敢えず軽く手を振って、その場を後にした。
その後、警備員や護鈴、半休の子達をそれとなく見て周り、本日のお仕事を終わりとした。
最終日と言う事もあり、何処も賑わいは最高潮だ。
お昼まで時間はあるし、アナザーを再開しよう。





