第52話 哀れ塵と消えゆ
第七位階上位
入手したのは、スキルポイント3P。ニコラメダル2枚。『妖怪変化の葛籠』。
エクストラ評価は、『完璧な護衛』でスキルポイント1P。『五穀豊穣の葛籠』。
それぞれ、不浄を封じておける葛籠と、五穀がもりもり湧いてくる葛籠だ。
リンゴと言いお菓子と言い、この迷宮は食糧となる物を沢山くれるね。
特に五穀豊穣の葛籠は大事な主食類だからありがたい。
まぁ、植物系に関しては、樹木の精霊が5人もいるので幾らでもリカバー可能だが……植物を育てるのと可食部のみを出現させるのでは効率が2〜3倍違うからね。
僕がヒメを背負って移動しながら黙々とアイテムの確認をしていると、どうやら村が見えて来たらしい。
崖の上から、海辺の村を見下ろす。
「村が見えて来たでござる」
「本当……この村には人がいるのね!」
ん? 経費の都合でエキストラを雇えないと聞いていたんだけど……んん? アレ——
「むむむ? アレ、人じゃないみたいだよ!?」
「ふむ……どうやらこの村は鬼共の手に落ちたらしいな」
夢の世界の性質柄、遠い物事を把握するのに少し時間が掛かるのだが、金剛ちゃんとまめちゃんが言うに、鬼が村を占拠しているらしい。
成る程。村人じゃなくて敵か。それならいてもおかしくない。
「無念デス……でも血の匂いがしまセンヨ?」
「……おそらく釣竿の奴がやられたのだろう。この村には地下に座敷牢がある。村民や釣竿がいるとしたらそこだろう」
「誰かが忍び込んで助けに行かないとだね」
「人質なんて卑怯じゃない……でもやっぱり有効だわ……」
皆がしかめ面で考え込む中、ズバッと手を上げたのがヒメ。
「ハイ! ユキさんなら出来マス!」
そんな事だろうと思ったよ。
「おお、ユキ殿、行ってくれるでござるか」
「貴殿ならば安心して任せられる。道案内に俺が付いて行こう」
「流石ハニーね! 愛してるわ!」
やるって言ってないけどね。取り敢えず桃花は撫でておく。
「でもあの警備だし、簡単には忍び込めないと思うんだけど」
「二手に別れまショウ! 騒ぎを起こすチームと忍び込むチームデス!」
「陽動ならば二方向から攻めるのが良かろう。先ずは拙者と桃花が東より攻めて鬼共を誘き寄せ、次に金剛とヒメが西から攻め、残った鬼共を誘き寄せる」
トントン拍子で既に決まってるであろう内容が決まって行く。
取り敢えず、僕は騒ぎに乗じてまめちゃんと一緒に忍び込むらしい。
◇
海辺の村は、そこそこに規模の大きい村だ。
それぞれの家に石作りの囲いがあり、屋根が瓦なのも相まって、比較的堅牢そうに見える。
そんな村の東で、桃花とグンハが騒ぎを起こした。
人斬りならぬ鬼斬りである。
鬼達の叫び声が聞こえ、村内で屯していた実に半分の鬼達が東に向かう。
まぁ、鬼達も若干レベルが上がっているが、まだどうとでもなるレベルだ。
鬼達が慌てて東の敵に対処している最中、今度は西で騒ぎが起こる。
ドカーンと派手な音が響き、光が乱舞した。
そっちが本命と思ったか、後の殆どの鬼が西に向かい、幾らかは東にその事を伝えに行った。
後に残ったのは、最低限の警備のみ。
早速潜入しよう。
◇
気配を遮断する。
基本的な隠密の手法は、肉体に存在するオドを押さえ込み、外部に漏らさない様にする事だ。
欲を言えば、魂魄の力も抑えられると良い。
その上で更に周囲のマナを纏う事で、気配を断つ事が出来る。
ここから更に、空間魔法による結界等で匂いや音を遮断したり、湾曲させる事で姿を隠す等して、完璧な隠密となる。
ここまでやれば、例え目の前で逆立ちしても気付かれない。
更に空間魔法で敵を囲って切り刻めば、敵は死んだ事に気付く間も無く塵となる。
完璧な暗殺者である。
勿論、不可知天帝竜の報酬スキルも併用している。
と言うか、それを参考に自分なりに理解して、表面上の取り繕いをしている訳だが。
そんなこんなで、会う敵会う敵虐殺しつつ進む事しばらく、他より少し大きく豪華な家の地下にある座敷牢に到着した。
大きな家の中には、一際レベルの高い白波童子なる鬼がいたが、構わず塵にした。
狭い座敷牢には、1人の白髪の男が寝転んでいる。
釣竿法師 LV550
彼を助け出せば村人を助け出した判定になるのだろうか?
取り敢えず成り行きを見守る。
「釣竿の、起きろ。この大事に何を寝ているか」
「んお……? おやおや、その声は豆太郎かい? あぁ、待ちくたびれて一眠りしていたよ」
そう言って起き上がった釣竿法師。
長い白髪は総髪に、瞳の色は青緑。
服装は、武士や侍の様なグンハやまめちゃんと違い、どちらかと言うと文官の様な落ち着いた格好だ。
「誰が豆太郎か……そんな事より行くぞ」
「相分かった。参ろうか、ユキ殿や」
「うん、よろしくね」
牢の木枠を握り潰して出て来た釣竿法師と握手する。
この後はどうするんだろう?
◇
攻城戦かと思えば、今回もちゅんこの所と同じ防衛戦だった。
釣竿法師のお兄さんが空に花火の様な光を打ち上げ、それを合図にヒメやグンハが殲滅を開始。
僕等は、逃げて来る鬼や人質を取りに来る鬼をばったばったと薙ぎ払い、家に入れないのが任務だった。
既に首級が落ちているので、労せずして殲滅は完了。その後、釣竿法師が秘密の港に大きな船を持っているとの事で、西にあると言う秘密の港に行く事となった。
いよいよ海である。





