第18話 好きなモノは、白とカラアゲと戦いとetc……
第七位階上位
夏島で開催されているビーチバレー大会。
別に大会にする予定は無かったのだが、黒霧が勝手に盛り上げて、僕はそれを放置していた為に開催のはこびと相成った。
単に遊んで貰おうと思っただけなので、そもそもルールも公式の物とは異なる。
そして、優勝商品は……我等が偉大なる主、ユキ様にお願い事が出来る権利《叶えるとは言ってない》だ。
聞いた話によると、ルールは4対4の10点先取、コート内であれば何をしても良いが、ボールを介さずに直接人を狙うのは無し。
……ん? ビーチバレ……んん? ……まぁ、経験にはなるだろうし、こう言った事はやらせていった方が良いのだろう多分。
では、白夜達は何故僕の方に来たのか。
これは単純な理由だ。
白夜がぼっちで紅花が白夜の事を好きだから2人で孤立しているのである。
もっと言うと、参加メンバーが足りないので大会に参加出来ない、だから僕を入れようとしている訳である。
ボールを持ちながら目を泳がせている白夜は、意を決した様に少し大きな声を上げた。
「……ぁぅ……ゆ、ユキも参加するさね?!」
「しないよ?」
何言ってるの? 馬鹿なの? と言わんばかりにすっぱり否定した僕に対し、白夜は一歩後退り、しょんぼりと肩を落とした。
「僕は忙しいからね」
「そ、そう、だよね……」
縮こまって立ち去ろうとする白夜。ちょっと放置してたせいかぼっちが加速している様だ。
「代わりに黒霧とベルツェリーアを貸すよ」
「承りました、私の主」
「は? な、何故じゃー!?」
「……え?」
僕の言葉に驚く白夜とベルツェリーア。
黒霧は端末が複数あるので問題無いし、ベルツェリーアは念願叶って僕の後ろで酒プールを泳いでいたので問題無い。
ただし、2人は非常に優れた戦闘能力を持つので、その分の対処はしておく。
「……2人は白夜と紅花の援護に徹する事。あくまでも数合わせだからね?」
「当然です」
「わ、妾もうちょっとおしゃけ飲んれらいのじゃ〜……」
呂律回らないフリしてるんじゃ無いよ。肉体構造的に酔える体じゃ無いだろうに。
まぁ、態と精神年齢を下げて見せているだけで、ベルツェリーアはあのベルツェリーアなのだ。放っておけばよろしい。
それはそうと、サングラスを外して白夜と向かい合う。
「それと、白夜」
「な、なにさね」
「友達はね、待ってても増えないんだよ」
「っ……し、知ってるわっ。べ、別に友達いない訳じゃ無いし!」
全力で見栄を張る白夜に、とある紙を差し出す。彼女は訝しぎながらもそれを受け取った。
予てから気にしていたので、準備していたのだ。
「……こ、これは……?」
「『白夜友達リスト』。白夜と相性が良さそうな子達の名前と大雑把なプロフィールを纏めてある」
「…………」
無言でじっと読み込み始めた白夜。プライドは無い様である。
彼女は割と面倒な性格をしているので、それに付き合える人材と言うのは結構貴重なのだ。
具体的には、水精母娘。クラウ一行の保護者エルフ、リーン。多くの場合寛容な樹精三姉妹が長女、ユー・ノーンことノゥ。ちびっ子を育てて母性に目覚めた節のあるサキュバスのまとめ役、リム。個性の強い仙人達を纏める慈悲のナーヤ等。……友達と言うか、母とか姉とかのポジションである。
それ等以外だと……案外とルカナとは相性が良いだろう。性質の似通ったポンコツ吸血鬼のレミアとも悪くは無い筈だ。
後は、誰とでも仲良くなれるタイプの、レイーニャ。レイエル。アッセリア。アスフィン。リェニ。等々。
……本能的にびびってるレイエルも悪い所があるだろうが、愛情に僅かなスパイスとして食欲混ざっちゃってるニュイゼも悪い。アレはそう言う関係だ。
それはともかく、書類を読み込む白夜を放置して、ずっと無言だった紅花に話しかける。
「紅花には悪いね、いつも白夜の子守を任せて……疲れてない? 休みたかったら言ってね」
との僕の発言に対し、白夜はピタリと視線を固定した。
聞いてない風、読んでる風に見せ掛けつつ、余白を見る事で全力で耳を欹てている様である。
……まぁ、白夜は基本臆病で卑屈で見栄っ張りで寂しがり屋で内弁慶で面倒臭いが、紅花の答えは分かりきっている。
これは共依存の関係にある白夜と紅花をそれぞれ自立させる為の発言なのだ。
結果はどうあれ出した言葉は戻らない。僕にそう思われていると2人が思う事が重要なのだ。
果たして——
「ん? 籠り? んん……俺、疲れてない、ぞ?」
「休みはいらない?」
「休み? それより、山に、行きたい」
登山かな? なんて。
「星隆ね。黒霧に伝えておこう」
「んっ。ありが、とう?」
星隆は搦め手無しの強い魔物しかいないからね、好きなんだね。
白夜の顔が引き攣ってるけど知らない。
ついて行かないと言う選択肢は無いのだろう。
「……好きなんだね、紅花も、白夜も」
にこやかに微笑みながらそう言うと、紅花はニカッと笑った。
「おう、好き、だぞ?」
そんな発言に、白夜は顔を真っ赤にしながら聞いてないフリを続けるのだった。
……まぁ、紅花は戦うのが好きだと言っただけだろうが、白夜も紅花も嬉しそうなので良しとしておく。





