第9話 夜も更けて
第七位階上位
人数が増えてきた事による狩りのシフト調整。
蘇生予定の7万と少々の人材の準備。
他様々な諸業務を纏めて黒霧にポイして、僕はプレイヤー達の進捗を見下ろす事にした。
先ずはタク達。
彼等彼女等は、今夜はレベリングとお金稼ぎを兼ねて、年少組の迷宮攻略に同行している。
現状一番効率が良いのは鍛錬島の迷宮探索なので、どちらにも損の無い話だ。
……まぁ同行していると言っても、同じ迷宮に入っていると言うだけだが。
と言うか、船を使って年少組をボス部屋に送り出しているだけで、年少組がボスと戦ってる間に狩場で狩り。年少組がボスを倒したら迎えに行って次の迷宮へ。と言うサイクルである。
完全黒霧援護で各迷宮の色魔物を遠距離から駆逐し、後はボスを倒すだけの簡単なお仕事であった。
黒霧援護もあるし、今夜中には全迷宮を踏破出来るだろう。
……また、迷宮探索中の黒霧端末から送られた情報によると、各迷宮の機神がいた場所に、謎の六角プレートが出現しているらしい。
十中八九転移用のマーカーだ。おそらく、高位迷宮へ行く為の鍵となるボス戦場へ行く為のプレートである。
問題はボスのレベルだが、黒霧が触れてもプレートは何の反応も示さず、ボス戦場に行く事が出来ない様だった。
……多分だが、回転率を上げる為に一度ボスに勝った者は挑戦出来ない仕様なのだろう。或いは、僕みたいなのがリソースをゴリゴリ掠め取る事への対策か。
ともあれ、六角プレートはおそらく高位迷宮へ行く為の鍵。いずれタク達にも挑ませるので、その時に付いて行ってみれば良い。
……多分付いて行けるだろう。ボスとして機神がそのまま出たら、その時はその時で逐一対策して行こう。
続いて、大剣士ことコウキ達。
此方は、元々今夜集まる予定だったらしく、プレイヤー数百の軍勢がリスティアに乗り込んで行った。
僅かに進行していたゴブオークオーガ他獣軍団は忽ちの内に駆逐され、後は最後の部屋を残すばかり。
コウキ達は、ネージュこと淡雪を含む兵士、冒険者混合部隊からの情報収集を得て、最後の部屋にドラゴンがいる事を知っているので、今は最後の確認作業を入念に行っているところだ。
僕のお店から買い占めたポーションの山。魔法符や魔法石の山。
更に、腕力、防護、敏捷の強化と治癒力向上のバフ効果がある、何とは言わないが最近安価で売り出したトンカツサンドの山と、火属性への耐性と適性、即ち親和性が上がるレッドワイバーンの卵製プリンの山。
いやー、お買い上げありがとうございますだね。もう1匹竜を買える程ではないがね。
攻略チームには、竜に特攻のある大剣を持つコウキに加え、火耐性の高い装備を整えた拳姫ことヨウの仲間達もいる。
それに強化効果を与えて更にアイテムも湯水の如く使えるとなれば、流石のレベル100火竜と言えども唯では済むまい。
リスティア第一層は今夜中にも突破されるだろう。
第二層のステージは、恵豊かな森と海。多少の資源を毎日産出する鉱脈。安全地帯の目印である青い大結晶。大量にある赤い結晶が目立つ地下への入り口。等々があるステージだ。
青い結晶は二層に入って直ぐの場所にあり、地上には複数の赤い大結晶が存在するので、プレイヤー達はこれらを制圧して陣地を確保し、地下へと進出して行く事になる。
火竜突破の報酬として、一層入り口と二層入り口を転移で移動出来る様になる結晶を配置するので、物資や人材の輸送も楽々である。
マレビト以外等の動向だと、シスターアルメリアと子供軍団が屋敷に到着した事。レリアが冒険者ギルドに侍従等の募集依頼を出した事。インヴェルノにプレイヤーが数名現れた事。
問題は……無い。
子供達は立派な親と厳しい環境に育てられて比較的優秀だし、冒険者ギルドへの依頼は……遠回しな宣伝の様な物だろう。
普通に考えてまともなのが来るとは思えないし、態々ギルドを通すと言う事は、王侯貴族への牽制だ。権力意味ねぇーっすからっ! と言うレリアの叫びが聞こえる。いや単にアホと言う事も無きにしも非ずだが。
インヴェルノへのプレイヤーは……開いてる門から普通に入って、適当に見て回って、帰って行った。
……迷宮も閉じてるし塔に行く為の庭園も閉じられていて入れない。エルフや妖精の居住区画も壁で仕切られていて入れない。現状唯一入れる一般向け区画はゴーレムが徘徊しているだけでほぼ無人。
一応武具店だけ開いておいたが、現在のトッププレイヤーでさえ買えない様な武具を買える訳もなく……まぁ、マレビト招致でプレイヤーを1万程確保する予定なので、その時になったら店も開くしインヴェルノも盛り上がるだろう。
それまでエルフ達にはしっかり休んでおいて貰う。
さて、これ以上特段に確認する必要のある事も無いし、僕の意識が微睡みに沈むまで、タクやコウキ達の戦いを見物するとしよう。





