第15話 一晩休んで迷宮攻略
第七位階上位
新たに増えた5つの迷宮へ、休憩させていた配下の子達を派遣する。
黒霧の視点から各迷宮をざっと見た感じ……どの迷宮も広くて時間がかかりそうだ。
先ず冥宮は……腐肉食っぽい虫の群れと無数のアンデットが織り成す広大な迷宮。
敢えて言い方を変えるなら、一般的な魔物を擁する大規模迷宮がそのまま虫とアンデットの巣窟になった。みたいな感じだろうか?
アンデットの種類は、ゾンビ、スケルトン、ゴーストと一般的な物から、シャドウやスプーキーと言う非常に貧弱だった筈の魔物が進化して脅威になった物、闇の力や怨念等の呪いを受けて変質した木や砂、石等々、千差万別である。
次に、深淵。
此方は非常に巨大な地下空洞の中で闇属性の魔物と戦う事になる。
黒霧の瞳では深淵の闇を見通す事は出来ないのでその全貌は分からないが、所々にそれぞれ違う光源がある様だった。
続いて源海。
此方は、謎の軟体生物や鋭い牙を持つ魚等がいる海で……遠目には宙に浮かぶ水球があったり天に向かって落ちる滝があったり……楽しそうな所だった。
天穹は、一部陸はあるものの、ほぼ完全に空だ。
この迷宮は、どうやら泡の様な球体の中にある様だ。
出て来る魔物は、翼があったり無かったりの差はあれど、ほぼ全ての者が飛行能力を有している。
星隆は、一見すると普通の高い山だ。
ただし、地脈の噴出孔が無数に存在し、その威容は噴火しているが如し。
出て来る魔物も、噴出孔付近が強く、孔一つ毎に縄張りの様に領域の主がいる。
これら5つの迷宮の他に、アヴァロンを倒したら出た『城』と言う迷宮があるが、此方はどう考えてもボス連戦。
流石に難易度はアヴァロン程では無いだろうが、念の為駒を揃えて行きたいので、一番最後に攻略する予定だ。
では、午前の装備作成を行います。
◇
最後の希少素材、ベルゲルミルの鎖骨片。
これと、シャングリラ戦で入手した謎の金属。グリア=ミルレイを用いる。
工程は至って簡単である。
先ずは、ベルゲルミルの鎖骨片とグリア=ミルレイを融合させる。
ベルゲルミルの鎖骨片は非常に堅固であり、軟化させるだけでも凄まじい量の魔力と精神力の消耗があるが、グリア=ミルレイと混ぜると言う事に限れば消耗は然程ではない。
何故なら、ベルゲルミルの鎖骨片とグリア=ミルレイは属性が同じで相性が良く、またグリア=ミルレイには神珍鐡程では無いにせよ多少変幻自在の力を持っているからだ。
故に決して混ぜられない物では無い。
今回も、四月一日兄妹とシドウ君、うーたん、ロッテ、コトノ、黒霧に協力して貰った。
混ぜ合わせて完成した謎の超高位物質に氷獄の宝珠を入れ、それを核として、完成。
出来た物は……シャングリラ戦のエクストラ報酬『絶対零度』と同じ物である。
報酬の装備と比べるとやや粗いが……まぁ、良いだろう。
コトノチャンを使い、報酬の装備には『スカジ』。僕が作った方には『シアチ』と名付け、スカジは白雪に、シアチは氷白に渡した。
シアチを作ったが僕自身は精神力に余裕があるので、プロメテウスとパンドラも再加工した。
何方も眠っていた意思を目覚めさせた。
やや苛烈なプロメテウスには、ユースの宝物殿の鍵を投入し、その中に愛と知恵と勇気の聖杯を入れた。
物静かだが性格関係なしに危険度が高いパンドラの方は、太陽と月の力を持ち生と死に通ずるラノンの宝物殿の鍵に希望と祝福の聖杯を入れ、死の力の封印性能と貯蓄容量を増加した。
また、宝物殿は少しだけ手を加え、守衛と番人を魔導生成で召喚出来る様にした。
また、本来であれば仮の魂しか持たず、宝物殿から出られない守衛達に、本物の魂を与えた。
これにより、守衛達の練度を上げられる様になったので、訓練を積む事で魔導生成のコストパフォーマンスが良くなって行く。
……それと、複数の魂を隣接させて育てる事で、共振させて成長を促す狙いもある。
実際、レティもバアルもプロメテウスもパンドラもシアチも一つの事に対する強大な意思こそあるものの、他がほぼ子供だ。
多分、ルェルァとリオンも何らかの事柄に対して強い意思を持っているから、他がほぼ子供でもレベル限界が高いのだろう。
……そうなると、ラース君がレベル限界低いのは根本的にクールだからなのかもしれない。
ともあれ、そんな子供な彼等彼女等は、一緒に育って行く仲間が必要だ。
一方、セラは僕の因子とアトランティスの残滓があるので、レティが幼女レベルなのに対しセラは少女レベル。
シリウスは、僕の因子をゴリゴリ押し込んであるので……まぁレティよりは良いだろう。
他、ミネロラとアグリールは、アトラの分身と言っても過言では無いので対応力が高く、スカジはシャングリラから貰ったモノなので良く弁えている。
今まで戦ってばっかりだったが、今後の成長を考えると、配下の子達には学び舎か何かで良識やらを学ばせるのが良いかもしれない。
◇
ログアウトすると、ミサキは既に起きていた。
だが、僕は抱き枕のままだった。
「……ミサキ」
「ふわっ!? こ、これは、そのっ、違くてっ」
「僕のぬいぐるみがあるんだけど……いる?」
「…………な、なんでそんなのあんのよ……」
「いらない?」
「……い、いる」
と言うか、要らないぬいぐるみ全部押し付けるよ。




