第13話 幻想に舞う天使
第七位階上位
幻想機神・ユートピアはスピード型の機神である。
物凄い勢いで空を自在に舞い、すれ違いざまに斬り払う。
精霊を吸収して弾幕を張り、翼から無数の羽を飛ばして追尾攻撃をする。
その上、対空型や設置型の弾幕や羽を射出する魔法まで出してきた。
威力は然程でもないが、速度と手数が尋常ではなかった訳である。
それでも、高起動な配下達が被弾を無視して巧みに追い詰め、ダメージを重ねて確実に削っていった。
状況が変わったのは、大気中の精霊数が半分を切ってからだ。
簡潔に言って、ユートピアが増えた。
正確には、翼が4枚ばかし増え、更に魔力の片翼と肉体の欠片を携え、5体分離した。
そして、弾幕がおおよそ5倍くらい厚くなり、更に幻覚でその10倍の偽物が出現し、戦場が阿鼻叫喚の地獄絵図に……。
……幻想機神だから幻覚を使うんだね。うん。
幻覚の群れに対応出来たのは、シリウスを行使するウルルと、幻術を使う顕雷鹿とペリュドン・ロードのみ。
状況を打開したのは、イェガとリッドと蜘蛛さんだ。
リッドが本体を残して体を極限まで広げ、落下。
リッドに触れた無数の幻覚が一時的に消滅し、リッド膜を消し飛ばした羽をイェガの兵士が集中砲火。
その後直ぐに高起動型が復活して、無数に実在した魔法を破壊、ユートピアへの攻撃を再開した。
そうこうしてる内に、蜘蛛さんが戦場のあちこちに糸を張り巡らせ、幻覚を無効化しつつ全体の機動力を下げた。
後は、蜘蛛さんが糸を張りまくり、戦場をどんどん縮め、幻覚はイェガの人形兵士が撃ち落とし、弾幕を弾幕で返してユートピアを討伐した。
今回健闘したのは、ウルル、イェガ、リッド、蜘蛛さんの古参組と、幻覚を見抜いて仲間を助けた顕雷鹿とペリュドン・ロードだ。
ウルラナとかミュリアとかの歴戦の猛者は今回あまり活躍しなかった。
今回の戦いで、ウルルに与えたシリウスは大いに活躍したと言えるだろう。
元来待っていた太陽の性質は、火の属性魔力に加えて絶大な生命力と虚構の看破。
新たに名前の形で加えられた性質は、雑破に言えば星と光。即ち浄化と加速。
加速してユートピアと互角に渡り合い、幻想を看破して真実を捉える。
シリウスはやがてウルルに完全従属するだろう。
そして、それは彼女を次の領域まで押し上げる一助となる筈だ。
僕はその為に、シリウスに僕の因子を混ぜたのだから。
ユートピアの報酬は、スキルポイント7P。ロジックポイント14P。マナ貨幣。都市と幻想の星珠。粒霊の楽園:引換券。シャスティアのインゴット×10。新しい迷宮は星隆。
装備は、不明の霊翼。虚構の霊翼。無尽の霊翼。魔蔵の霊翼。至天の霊翼。
絶対強者・ユートピア。理論結晶・森羅虚像。外装・幻想の霊翼。
各種霊翼系は、至天と幻想以外が片翼。
不明が隠密、隠蔽系の翼で、虚構が幻術系。無尽は魔法を放ったり魔法を放つ魔法を展開したりする翼であり、魔蔵がそのまま魔力を貯蓄する翼だ。
双翼である至天は加速系で、幻想は不明と虚構の翼を混ぜた様な能力である。
理論結晶の森羅虚像の方は、無尽と魔蔵の翼を合わせた様な機構を作る物だった。
そして最後、聖戦機神・アヴァロン。
アヴァロンは想定通り、一番強い機神だった。
起動した直後、アヴァロンは七色の光を放ち、6色の剣士と鋼色の剣士に分離した。
火には魔宝核ゴーレム達が。
風にはクラウ一行とレイーニャが。
水にはオルメル、ケイロン、ラダー、デューク、マーセスが。
土には桃花と補助で白羅が。
闇にはナヴァット、スーリャ、アナイス、ゾルダ、リムが。
光にはルムとミスティと補助で黒霧が。
一番強い鋼には、メロットにアルナン、白雪、氷白を付けて。
戦いはそう長くは続かなかった。
どの戦場も此方が圧倒していたからだ。
7体の機神は数十分に渡る激戦の後制圧され……そして、倒れた全ての機神が明滅し、龍へと姿を変じさせた。
強い剣士を全力で叩き潰したと思ったら、龍が現れたのだ。
それも、技量は人型だった時と同じくらいに高い。
爪が、牙が、尾が、ブレスが、魔法が、その肉体と精神の全てが攻撃。
それは単純に、アヴァロンから分かたれた剣士が増えたのと同じだった。
戦闘は、一部を除いて激戦だった。
オートマタ達や魔法核ゴーレム達、サキュバス姉妹にレイーニャは、龍を前に其々の切り札を切り、どうにか龍を撃破した。
彼等が激戦を繰り広げていた一方で、土の龍は存外過保護な白羅が手刀と拳骨でボコボコにし、鋼の龍はメロットが操作する剣と杖と旗によってボコボコにされていた。
一部はともかく、彼等は激戦を制し勝利をもぎ取った。
しかし、アヴァロンはそれでは終わらなかった。




