第20話 半分は食材
第七位階中位
未だ肉体を持たない四月一日兄妹とコトノちゃんは黒霧クラスタに返還した。
黒霧も黒霧で、レベル300代と400代の最下級、下級端末、総勢200名が休眠状態に入り、レベル400後半から500少々までの中級と上級端末、総勢35名が通常業務に回った。
レベル600代の本体は、想定以上に消耗を強いられた現状を鑑みて増員を申請して来たので、今後手に入るスポナーや迷宮核の管理を黒霧に一任させる事で納得してもらった。
まぁ、スポナーを全部取り切ってしまっても、必要分の敵をマレビト達に供給してやれば許されそうな気もするが、取り敢えずはのんびり増員して行こう。
また、黒霧の性質はパフィ子達と似通っているので、パフィ子達と仲良くして教育しておくようにも言っておいた。
次同じ様に武具その他の加工を行う時は、パフィ子達にも協力してもらえばより簡単に終えられるだろう。
続いて、ギガフレアスバーサとラルヴァレパーノの素材の加工。
此方はスルトの橈骨片と違い、レベル400代のレベル相当の魔物素材なので、特に大した消耗は無い。
ギガフレアスバーサ材は、火に高い親和性を持つ火属性の木材で、格で言うなら前の天殻樹よりざっと二段階程上だ。
これ単体で武具を作っても十分な力を持つが、ヒヒイロカネが余ってるのでそれを使う。
神霊金属であるヒヒイロカネを加工するのはそれなりに疲れるが、それなりなぞに躊躇して妥協するのは嫌なのでひたすらに頑張る事にする。
完成品は此方。
紅蓮の槍杖 品質S レア度7 耐久力S
備考:ギガフレアスバーサ、ファイヤードレイク・ロード、ヒヒイロカネを用いて作られた槍杖。
ギガフレアスバーサの木材を芯に使い、ワラワラと沸いて出たグレーターファイヤードレイクの角を上位変換して作ったファイヤードレイク・ロードの角と、ボスとして出たファイヤードレイク・ロードの角をいっぱい先端にくっ付け槍にし、ヒヒイロカネで補強と装飾を行なった杖槍である。
内部には錬成で幾らかの魔法術式を刻み、『清浄化』『自動修復』『アポート』等の基本的な魔法を施した。
また、魂に繋がる経験、技術を用いて、僕の魂魄による直接的な魂の加工を行った。
此方は、魔覚を行使する消耗の激しいモノだが……構わんわん。良い素材を使って良いモノを作るのに妥協はしない。ヒヒイロカネはいっぱい有っても希少素材なのだ。
主な能力は、ドレイクの火の吐息。火属性高位の閃光系魔法、紅蓮の光。ギガフレアスバーサの固有魔法を改良した炎滅球。
特にフレア・マインは強力で、神滅弾を参考にした極小範囲を焼き尽くす力を持った魔法。空間に設置したり、槍の先端に保持したまま槍を振り回したりして使う。
槍杖には火晶の種が埋め込まれており、予測される成木の生産スピードよりは遅いが、おおよそ36時間に1つ火の純結晶が槍の内部で生み出される。ストックは5つまで。
各種魔法はそれを使って発動するので、瞬間的な出力が高い代わりに純結晶を使い切ってしまうと少し弱体化する。
後、ギガフレアスバーサの実を幾つか入手した。
これは、単純な木の実と同様に植えれば育つ物だが、木の実と言うよりは、魔力タンク、栄養タンクの類いだ。
物凄く硬い殻の中には甘くて美味しい果実が入っている。
取り敢えずアルナンに預けて、ギガフレアスバーサを育てよう。
ラルヴァレパーノからは、皮膚と心臓がドロップした。
特徴的で象徴的な象牙がドロップしなかったのは残念だが、副ボスならボスより早く復活する筈なので良しとしておく。
巨大な皮膚の方は、大量に手に入った火のドレイクの鱗と合わせて、ラダー含む火属性のドールとゴーレムの為の鎧を作った。
心臓は、取り出した瞬間にビュパーッと飛び散った煮え滾る血液を全て回収し、血抜きを行ない、切り分けた。
僕の身長よりもデカイので、身内のプレイヤー達全員でバーベキューでもしよう。
問題があるとすれば……火の耐性が強いので、強い火が必要な事。
勿論、心臓に宿るラルヴァレパーノの魂の残滓を完全に沈黙させれば加工は容易いだろうが……それだと味も落ちるし、魂の力を欠片でも取り込めば捕食者はより強くなるので、新鮮な内に食べるのが一番である。
捕食が持つ意味と特性については、捕食系の能力を持っている転生者がいるので、その魂と合わせて僕が直々に研究しよう。
勿論これら以外にも獄峰では強い魔物が多く出た。
四属性迷宮のボスだった火属性の鳥が群生してる場所もあるし、マグマの海で独自の生態系を構成していた水棲系魔物がいる場所。常に燃え続ける木が生えた森の動物達。
特に危険だったのは、副ボスを倒した先の広大かつなだらかな山頂付近で、出た魔物は一種のみ。
ムスペルの幻影と言う名の炎巨人だ。
副ボスがレベル450前後だったのに対し、ムスペルの幻影はレベル400前後。
後半の中ボス、準副ボス級と言えるレベルの魔物が数十体徘徊している様は、さぞ……美味しそうに見えた事だろう。
ドロップ品は、残念ながら火精結晶か巨大な棍棒のみ。
魔物素材以外にも、フィールドに隠された鉱脈を掘り返して沢山の金属を得たり、燃えてる木を伐採して火属性に耐性のある木材を得たり、生えてた火の巨大結晶を掘り返して丸々頂いたりした。らしい。
これらの、動物や魚介、金属、木材は、インベントリに獄峰フォルダを作って纏めておいた。
格的にはレベル50〜300くらいなので、あまり外には流出させられない。
下位変換で弱くしてから武具に加工すれば、マレビトだけでなくルベリオン王国の兵士や冒険者にも売り出す事が出来るだろう。
当面はちょこちょこ弄りつつ溜め込んでおく。




