第7話 ナルホドナルホドナル——
第七位階中位
さて、機神討伐には何が必要だろうか?
勿論、各機神によって主な戦闘スタイルや必殺に値する技、装備、属性は異なるが、全てに共通した大前提は存在する。
それは——
——レベルである。
アトランティスとの戦闘経験から推測して、必要最低限のレベルはおよそ300。
アトランティスは巨体故に大軍で当たれたので、他の機神であれば350から400は欲しい所だ。
と言う訳で、極短時間で低レベル者のレベルアップを行う為、僕は一計を案じた。
その実、低レベル者はレベルが低い内に苦戦を経験して精神力を鍛えておかないと後々面倒になるが、今回ばかりは仕方ない。
幸いにして、ゲームから連れ帰って来た子達は、邪神戦で心が鍛えられているので、ゴーレム達みたいにレベル300代でカウントストップと言う事は無いだろう。
中には、ナーヤ達仙人や化け物のシャルロッテ等、明らかにレベル限界が高いと分かる者達がいるので、そこら辺は安心してパワーレベリングが出来る。
ではその一計とは…………そう、単に強い魔物がいる場所に軍勢を向かわせて敵を狩らせ続けるだけである。
つまりは、現状最難関の巨大迷宮、『獄峰』での狩りだ。
獄峰は名前の通り、地獄の様な山だ。
複数の火山が永遠に噴火を続け、山の各所からマグマが噴き出し続けている。
そんな環境にいる魔物は火属性に強い適正と耐性を持ち、なんと最低値がレベル80。
比較的安全地帯である出入り口の、生身の人間でもギリギリ活動出来そうな場所に出るのがそれである。
奥に行けば、当然の様にレベル200とかの魔物が闊歩しており、無数にいる領域の主に至っては300。奥の主は400をも越えてくる。
迷宮の主は推測するに最低でも500以上は当然として、おおよその予測レベルは600。下手をすれば700に到達していても不思議では無い。
獄峰にはマグマの様な肉体に縛られる者にとっての危険物が無いエリアもちゃんと存在するので、最低限の耐熱装備を整えて、新入り古参問わず獄峰に向かわせた。
僅かな時間でレギオン編成されているメンバーはみるみるレベルを上げており、一晩徹底的に狩りをさせれば、機神戦に耐えうる最低限の条件をバッチリ突破出来るだろう。
各種機神は、トラブルが無い限り1時間毎に1体の討伐を目標とし、主に戦うのは戦闘経験の少ない弱い子達。
強めの子達はそれらを見守り、もしもの時に助けに入る。
強い子に分類される対象は、白羅。シスターアルメリア。レーベ。アルネア。爺様ことデュナーク。ザイエ。エイジュ。エルミェージ。セバスチャン。六精帝。
戦闘経験はあるがレベルが低めの者、戦闘経験が殆ど無いのに高レベルになってしまった者は、今回は戦闘に参加して貰う。
見守り隊長は黒霧で、補助に空間支配能力に優れるアトラと各属性に対応出来る六精帝を付ける。
隊長の黒霧には、ゲーム開始時に購入して此方側では使用されていない事になっている各種スキル結晶に加え、サブクランマスターとサブダンジョンマスターのスキルを付与してある。
インベントリには無数の上級ポーションその他があるし、万が一とあればDPやCPの使用を許可しているので、群体故に身内の誰よりも高い演算能力を持つ黒霧なら大団円でやり遂げてくれると信じている。
金属確保の為の恒久的鉱床をいくつか設置した所で、本日の確認と整理を終える事にした。
最後にちょっとだけ皆の様子を確認してから眠るとしよう。
◇◆◇
……おかしいわ。
何がおかしいと問われると全部おかしいと言う他ない程におかしい。
私はグラシア家の最も年若き悪魔。
グラシア家の積み重ねてきたあらゆる知識を継承する比類なき天才にして、いずれ魔界を統べる王となる者。ルカナント・グラシア。
そう、私は天才。だからオチツイテ。ダイジョウブ。リカイデキルワ。
今更ユキの元に集う連中の戦力がどうだとか、言うつもりも驚いてやるつもりもなかったのに……ナニヨ、コレ。
「ふははっ!! ぬるいわっ、たわけどもがっ! もっと火力を上げて出直して来い!!」
「おぉぉ、暑苦しっ……おいらちょっと休憩っと……」
あっちで騒いでる鬼人や鳥人に見えるアレは……ユキ曰く、精霊帝。
精霊帝と言えば、神典碑に曰く、世界の調停者であり精霊界を統べる精霊王。……の統括者。つまり……神の代行者。
……それが——
「ルゥ、ウィ、レーネ、お母さんと一緒に頑張りましょうねぇ〜」
「はい、お母様」
「あー、火精が一杯いるぅー……我別の迷宮の方が良いと思うのだがなぁー」
「先程から文句ばかり言っていますが、我等にとってこの程度の火精等恐るる程の物では無いと思います」
「ロッテ、あの山の天辺にとても強い気配があります。行きましょう」
「部隊の編成がまだですから、黒霧様の指示を一緒に待ちましょう?」
——合計7人。
……はぁ? 何でそんなにイルノ? ユキハカミサマナノ?
「あぁ、神様……! シャルロッテは必ずっ、必ず神様の御心に叶う成果を上げてみせます……!!」
……ン? ユキ、カミサマダッタノ? ソッカー、ナルホドナルホド…………。
「おい、お前、魔法使いなのです?」
「ナルホドナルホド……」
「……ん? ……うぇ、悪魔なのです。《……頭おかしくなってて良かったのです。今のルムではまだ分が悪いのです。もっと強くなってから潰すのです》」
ナルホ——んん? 今、誰か……気のせいかしら? ……まぁ、良いわ。
……次におかしいのはあの鬼人達——




