第202話 ボス部屋の前にて
※890万PV達成
第六位階下位
さて、帝国では次が最後の戦いになるだろう。
その前に、最終確認である。
ストップ機能を使って世界を停止し、直前まで得ていた情報を整理する。
先ずは味方。
ナリファンの第4形態に備えている七人の勇士達は、黒霧の演算補助を受け、精霊帝から力を借りている為、ナリファンを倒した今も余裕がある。
中核を担う黒霧はと言うと……全黒霧が連結されているのでまだまだ余裕だ。
対する敵は、ナリファンが討たれて尚動きを見せていない。
まるで僕等が来るのを待っているかの様に玉座の間で不気味な沈黙を保っている。
推測するに、ナリファンを進化させて見た手管から、レベルは最低でも600以上はあるだろう。
仮にナリファンを使い捨てにしたのだとすると……その場合敵は考えたくも無いくらい圧倒的脅威であると言わざるを得ない。
複数の宝珠、または星珠を持っている可能性があり、その上高位の精神生命体の心を掌握出来る程に強大な演算力を持っている事になるのだ。
当初の想定よりかなり危険度が上がっているので、最悪対邪神用の切り札を切る事も想定に入れておこう。
外の戦況は、何処も特に問題無し。
帝都はもはや無人の街と化し、この城の外は徐々に荒野へと変わっている。
シトシトと大地を濡らす雫は、まるで終わりを迎えるルステリア帝国が泣いているかの様だ。
黒霧の支配領域にも特に敵影は無い。
負の化身が姿を見せないのは気掛かりだが、それも如何動こうとなる様にしかならない。
気掛かりと言えばもう1つ。
どうも……イヴの天気予報が外れたらしく、嵐はかなりの速度で帝都に向かっている。
イヴの予測が外れると言う事は、何者かの意思が嵐を操っていると言う事であり、その何者かが帝都攻めに何ら関係の無い人物であると考えるのは、楽観が過ぎると言う物だ。
イヴには嵐の調査と対策をお願いしておこう。
後は、最後の最後に少しでも戦力増加になる何かを得られる事を願って、報酬の選択と確認を行うとしよう。
◇
大公討伐報酬で新たに得たアイテムは、特に装飾の無いバングル『万象の遺志』。金のリングに血の様に真っ赤な真珠っぽい何かがついた指輪『子福の聖母』。片方しか無い黒い翼『破天の片翼』。
それから、『スキルポイント10P』『遊楽の神子剝片』『遊楽の神子結晶×5』『大公の宝物箱』『領主の御旗』『領主の金庫』『人形の家・砦』『人形の家・館』『真金の宝箱』『真銀の宝箱』『真銅の宝箱』。
入手した武装やアイテムの性能は、どれも一線級とは言い難いが、面白い物も多い。
『魔女の烙印』は、換装スキルを前提とした防具で、見た目は青白く光る紋章が刻まれたカードだ。
これを換装で装備すると、刻印が任意の場所に刻まれる。
換装スキルは対象者の魂魄と装備の魂魄を接続する力を持っている様だ。
魔女の烙印の場合は紋章自体には特に大きな意味は無く、換装によって姿を眩ましたカードの部分にこそ力が宿っているのだ。
能力は、基本4属性と回復魔法の下級とある程度の操魔力を付与する他、物を媒介とした浮遊能力。植物や鉱物などに限定された鑑定能力。調薬や裁縫などのスキルを与える。
勿論、大公の討伐報酬が魔女セットみたいな物で収まる訳はない。
解放。覚醒。言葉は何だって良いが、それを行う事により、刻印を背に宿した悪魔を生成する事が出来る。
デフォルトではバフォメットを生成する仕様だが、設計自体はモンスターカードと殆ど変わら無いので、ちょちょいと手を加えればサキュバスだろうとデーモンだろうと、何なら悪魔以外でも生成可能である。
尚、召喚状態では一時的に中級までの魔法を行使可能になる。
生成した悪魔の力を利用する様だ。
サタナキア討伐のエクストラ報酬『享楽の魔眼』は、同じく換装を前提にした装備であり、見た目はそのまま義眼だ。
真っ黒な中に赤い瞳が浮かんでいる。
換装すると瞳に力が移り、目の色が変わる。
能力は、催眠、催淫、狂化、支配。
単純な魔眼スキルと比べると些か格が落ちるが、あって損のある物でも無い。
『帝の旗槍』は、旗槍が進化した物。
相変わらず使い辛そうだが、領域の御旗と支配領域、配下から力を得る仕様は非常に強力でもある。
ただし、勿論際限無く強くなるのでは無く、旗槍の器の限界が力の限界だ。
能力的には、所謂信仰を力に変える物に類似しているので、解析はしたい。凄く。
『罪魔の御霊代』は、玉座、指輪、チョーカー、上下の服、靴、籠手、マント、と一式揃ったセット装備だ。
どれもが若干禍々しい装飾であり、全て装備するときっとこれぞ魔王みたいな感じになるのだろう。そして、換装で装備しようとするとドレスになるに違いない。
能力は、特に何も無い。
御霊代と言うくらいだから、これには御霊が入るのだろう。
即ち、この装備は器だ。
『万象の遺志』は、獣人百面相と同じで、任意の姿に変身出来る様なアイテムだ。
獣人百面相と違って自由度はかなり高く、肉体を様々な物へ自在に変化させる事が出来る。
……その代わり、変身するにはなりたい対象の因子を回収しておく必要があり、現時点では何にも変身出来ない。
因子の回収方法は、対象を殺害し、拡散するエネルギーから一部を回収すると言う物。
要は、万物を殺害し、その遺志を継ぐと言う訳だ。
『子福の聖母』は、簡潔に言って、子供が多ければ多いほど力を増す装備だ。
子供は血縁関係が不要であり、子が母の子であると思えば問題無く動作する。
帝の旗槍同様に、子福の聖母の限界が力の限界である。
これはグランドマザーなウルラナにあげれば十分な力を発揮するだろう。
黒い片方だけの翼、『破天の片翼』は、サタナキアの翼と同質だ。
強固な魔法防御を持ち、羽を飛ばして爆発させる事も出来、勿論飛ぶ事も可能だ。
まともに飛ぶには普通の人間の演算力ではほぼ不可能だが、飛べない事も無いのである。
通常は翼を動かして攻撃したり防御に使ったりする物で、飛行能力は遊技神辺りの悪ふざけに違いない。
『領主の御旗』と『領主の金庫』は、方や領域の御旗の大きなバージョン、方や金色のリングであり、旗の方は領域の御旗の上位互換、指輪は指輪型のアイテムボックスだ。
各人形の家は、おそらく以前吸血鬼達が使っていた屋敷と似た物だろう。
宝箱は最後に纏めて確認するとして、次は十騎士の報酬だ。




