第23話 戦闘準備 ニ
第三位階上位
先ずは適当な魔石を用意しよう。
整理と分類のスキルのおかげでインベントリの中身を検索出来る様になったので、魔石で検索すると持っている全ての魔石が表示された。
数が多い順に並べ替え、一番数の多いビックコックローチの魔石……は止めて、二番目に多いビックバットの魔石を使う。
「『魔力吸収』」
呪文を唱えると、手の平の上に魔法陣が現れ、魔石の中の魔力が吸収される。
よく観察してみると、魔石から放出される魔力の殆どが周囲に霧散していた。
この感じ、悪魔が結晶を取り込んだ時のそれと似ている。
それに比べると、僕の出力ではスピードが遅く、その上無駄が多すぎる。
取り込んだばかりの魔力は上手く動いてくれなかったので、回復したばかりの少ないオドを操り、放出されたマナを覆って吸収した。
……どうやらこれが正解らしい。
ただし、体外のオドは意識を集中しないと途端に解けて霧散してしまうので、あまり長く続けると疲労が溜まりそうだ。
何か工夫する必要があるだろう。
取り敢えず、何度か同じ事を繰り返し、魔力を補充した。
魔力が失われた魔石は、僅かに縮んでただの石ころになったので纏めてしまっておく。
続いて、山程ある魔石を合成して品質を向上、上位変換で魔水晶を量産した。
続けて魔水晶を上位変換しようとしたが、変換が発動しなかった。錬金術のスキルレベルが足りないのだろう。
自力でやろうかとも思ったが、錬金術の能力はやたらと複雑なので下手に弄ると大きな失敗をしてしまうかもしれない、ちゃんと勉強してからやろう。
魔水晶を量産した理由は、言うなれば手間を省く為だ。
アンデッドとの戦いでは出来れば外壁を利用したい所だが、その前に空飛ぶ魔物、特にリッチを殲滅しなければならない。
だが、それが出来るのは僕が知る範囲ではティアと僕、そして二体の巨像さんだけだ。
その4人で打って出たとして、大軍に押し潰されるのが落ちだろう。
作戦としてはこうだ
先ず死んでも良い兵士を前面に押し出し囮にする。注意を散らしてリッチを討つ。
その後は撤退し、外壁の上から矢と魔法で数を減らし、再度突撃、殲滅する。
要するに、プレイヤーが白兵戦をしてる間に僕らでレッサーリッチとその上位種を討伐し、その後敵の数を減らして殲滅する。
重要なのは、空飛ぶ魔物、ゴースト、ワイト、レッサーリッチ、その上位、を可及的速やかに殲滅する事だ。
魔水晶は空飛ぶ魔物を殲滅する際に使う。
カルキノスを発動しながら、常時魔力吸収を行って魔水晶から魔力を供給する。
一々インベントリから出していたら面倒なので、一つに纏めたと言う訳だ。
王都を守る結界が魔物の侵入に対して反応してくれるなら良いのだけど、レイーニャやウルルが出入り出来るので期待はしない。
手動で起動出来れば良いんだけどね……。
次にやるのは魔物の進化の確認だ、アンデッドの大軍の中に切り込んで、少しでも多く倒して貰う積もりだ。
……勿論、死ぬ子もいるだろうが……それは戦っていれば仕方のない事だろう。
早速進化させる事にする。
進化出来るのは新参の面々。
ネズくんの進化候補は、ヒュージブラックマウスとヒュージホワイトマウスの二種類、名前から、闇か光かと考えるのが妥当だろう。
思うに進化と言うのは経験やスキルが関係しているのではなかろうか?
戦いに備えて進化はさせるが、そのまま育てていけば更に大きくする事も可能だと思う。
取り敢えずヒュージホワイトマウスに。
次は蝙蝠、進化候補は、ブラックバット、アサシンバット、ブラッドバット、の三種類、どれも興味はあるが、アンデット相手と考えると、どれも適切ではない様に思う。
取り敢えず、魔物図鑑で見た内容からブラッドバットが後々使えそうなのでブラッドバットに。
続いて蟹の進化、候補は、メタルハンマークラブ、メタルソードクラブ、ヒュージメタルクラブ、エレメントメタルクラブ。
アンデットとの戦闘を考えると大きくした方が良いだろう、ヒュージメタルクラブに。
蜥蜴の進化は、ブラックリザード、ホワイトリザード、レイクリザード、の三種。
それぞれ、闇、光、湖? の3種類だが、今回は光で行こう。
次が蜘蛛、進化先はヒュージポイズンスパイダー、アサシンスパイダー、の2種類。ヒュージポイズンスパイダーに。
ケロちゃんは、ポイズンフロッグ、アシッドフロッグ、ヒュージフロッグ、フロッグメイジ、の4種。
ここはメイジ一択だろう。
最後にワンワン軍団だが、改めて数えてみると、合計で89匹、そのうち7匹がワイルドドッグリーダーで、82匹がワイルドドッグだ。
ワイルドドッグ達の進化先は、ワイルドドッグリーダー、ブラックドッグ、ホワイトドッグ、の三種類だったので、纏めてホワイトドックにしておく。
勿論、選べると言うことは委ねてくれたと言う事だ。
さて、進化も終えたし、次はタク達とコンタクトを取ろうかな。ん?
「お弟子さん、お待たせしました〜」
そう言って下階からやって来たのは……幼女?
「姉精霊さん、どうしたんだい? その体」
「ああ〜、以前のあれで〜、魔力を使い過ぎてしまいました〜」
「成る程」
精霊の体は魔力で出来ていると言う、しばらく魔法が使えないと言う事は体を維持出来ないと言う事なのだろう。
「それで、精霊さん達は戦えるだろうか?」
「はい〜、妹に行って貰います〜」
「そう、それはありがたいね」
妹精霊さんが参加してくれるらしい、これで勝率がぐっと上がった筈だ。
「後は〜、この子が妖精さん達に〜、この事を報告しに行ってくれるので、森から何か出て来ても攻撃しないでくださいね〜?」
僕の身長より小さくなった姉精霊さんが、僕の身長より少し高くなった末妹精霊さんを引き寄せてそう言った。
妖精さんがどのくらい強いか分からないが、妖精の森で光の巨人に潰されたと言う話しは聞いたので、あの時の光の巨人と同じくらいの強さを期待しておく。
「それじゃあ、僕はもう少しやる事があるから、先に南の草原に行っててね」
「はい〜、また〜」
これでレッサーリッチを倒せる人材が一人加わった、後はタク達にブツを渡せば準備完了である。
「ウルル、少し急ぐよ」
「ウォン!」
戦いの時間は刻一刻と迫って来ている。




