第22話 戦闘準備
第三位階上位
敵が遠くなると、ティアは僕を背負い直した。
ティアの事だから、逃げ出す時に背後から攻撃されるのを危惧して僕を前にしたのだろう。
ティアの走るスピードは凄まじく、このまま走れるのなら、およそ一時間程で王都に到着する筈だ。
その間にログアウトしておこうか。
「ティア、悪いんだけど、僕ちょっと寝るね」
「ん? わかった、君の体は任せてくれ!」
「ありがとう」
ウルルは、この後の為に送還しておこう、そしたらログアウトっと。
「クローズゲート」
◇
目を覚ますと、即座に動き出す。
もう夜なので何かと忙しいのだ。
夕食を食べ、お風呂に入り、細かい事をテキパキとこなし、ログイン出来る態勢を整える。
階段を登っていると、上からアヤが降りてきた、どうやらログアウトしたらしい。
「あ、おにぇちゃん! 終わったら直ぐに行くからね! あっちで会おっ!」
「ああ、またね。ちゃんと歯磨きするんだよ?」
「うん!」
部屋に入ると、ヘッドギアを被ってベットへ横になる。
軽く体を伸ばしてログインする。最近体の調子が良いので、今日だけは軽めにしておく。
「オープンゲート」
◇
瞼を開くと王都南の草原だった、息一つ切らしていないティアのバイタリティは流石だ。
「ティア、ありがとう」
「ユキ、起きたのか、早かったな」
ティアの背中から降りると、周囲を見回した。
何人かプレイヤーが集まってきており、此方を見ている。
その中にセイトのパーティーを発見した。
タクにアヤ、アランはまだ来ていない様だ。まぁアヤはいま食事中だが。
「それじゃあユキ、私は城に向かう、ユキも頑張ってくれ」
「うん、ティアこそ、色々と面倒そうだけど頑張ってね!」
「ああ! 任せておけ!」
ティアは王城へ向かって走って行った、僕も成すべき事を成そう。
先ず手始めにセイトのパーティーへ近付く。
しっかりと装備を直している様で、最初に会った時と同じ様な見た目である。
「やぁ、セイト、早いね」
「ユキさん、メール見たよ、今回は本当にヤバそうだね」
少し不安げな表情だが、それと同時に楽しそうでもある、この人、戦闘狂だろうか?
「ちょっと僕急ぐから、マガネ、マヤ、おいで」
「あ、ああ、何だろうか?」
「ユキ、2日振り、何の用?」
マガネは少したじろいで、マヤは相変わらずの表情の薄さで此方へ歩み寄ってきた。
クリアを呼ばないのは意地悪している訳ではない、単純に渡すブツがないだけだ。
僕はインベントリから『清浄なる盾』と『十字騎士の聖十字剣』、『結晶大王蟹の虹光杖』を取り出した。
「マガネにはこれとこれ、マヤにはこれをあげる」
「これは……!?」
「……綺麗、嬉しい。ありがとうユキ」
「こら待てマヤ! こんな強そうな武器をタダで貰う訳にはいかないだろう!」
「……ユキはくれるって言った」
「うん、言ったよ」
「うっ、しかしな……」
どうやらマガネは凄く遠慮する性格の様だ、苦労人と言うやつだろう。真委員長と似た匂いがする。
「どうしても受け取れないと言うならこうしよう。たまにで良いから、僕と一緒に遊んでくれると嬉しいな」
必殺の上目遣いである。
「っ!? そ、そう言う事なら……受け取る……必ずその分以上で返すから」
「うん、そうして欲しい、マヤも良いかい?」
「……ん、私はいつでもユキとパーティーを組む」
受け取ってくれたので良しとする、これでセイト達の強化は終了である。
「あ、あのぅ、ユキさぁん、この杖ってもしかして……」
「ん? あぁ、タクが持ってるのと同格の装備だよ?」
「……や、やっぱり」
言わんとする事は分かったので適切な返答をすると、クリアは酷く驚いた様子でマヤの掲げる杖を見上げた。
それじゃあさっさと行きますか。
「じゃあまた後でね!」
「ああ! ありがとう、ユキさん!」
「この盾と剣の礼は必ず!」
「……ユキ、また後で」
「あ、あれぇ? 私は……?」
クリアのその図々しいところ、僕は嫌いじゃないよ。
次に向かったのは図書館だ、出来れば爺様かレイーニャが居てくれると嬉しかったんだけど……どうやら居ない様だ。
残念だが仕方ない。次に進むことにする。
次に向かったのは地下水路、せっかくなのでワンワン軍団を召喚して地下水路に放っておく。
鼻が良いせいで凄く嫌そうだったが、少しでも経験値を稼いでおきたいので我慢して貰う。
デカナメクジには近付かない様に伝えておくのも忘れない。
地図を開き道を確認しつつ、ウルルを召喚、騎乗した。
「ウルル、精霊さんのところへ行くよ」
「ウォン!」
がっちりしがみ付き、落ちない様にすると、移動を開始した。
精霊さんの所には、然程時間も掛からずに到着した。
連日の狩りで地下水路の魔物を殆ど狩り尽くしてしまった様だ。デカスラさん達の活躍である事は間違いない。
浄化をしていたのは末妹精霊さんだ、若干大きくなっている様だが、魔力の質から見て間違いないだろう。
「やぁ、精霊さん、今暇? 助けて欲しいんだけど……」
「あら、お弟子さん……助けて欲しいってどういう事かしら? 国の危機なの?」
「うん……実はアンデッドがわんさか向かってきていてね、ちょっと人手が足りないんだ」
「あらあら、それは大変ねぇ。ちょっと姉さん達と相談してくるわ」
そう言うと末妹精霊さんは下階へ降りて行った。
どのくらい掛かるか分からないが、せっかくなので空いた時間に出来る事をしておこう。




