第23話 賢者達の復活
第七位階中位
色々な確認を終え、時間的にもそろそろ爺様達が完全復活しているだろう。
闇を伝って審判の間に移動した。
道中すれ違う兵士や文官、侍従達には、その都度回復魔法を掛けておいた。
まぁ、疲労回復の魔法は精神力を回復する訳では無いので、しっかりと休みを取って欲しい所である。
審判の間に到着すると、其処にはすっかり回復した皆の姿があった。
「む……ユキ殿か」
「うん。皆すっかり快調みたいだね」
唐突に現れた僕に対し警戒の構えを見せたエルフの2人とザイエ、桃花。
対して白羅とシスターアルメリア、爺様にレミアは直ぐに僕だと気付いたらしい。
「ハニーッ!!」
「おっと」
飛び付いてきた桃花を抱きとめ、頭を撫でる。
今見て気付いたが、桃花の刀の1つ、伸縮する刀は、機神に使われている物と同格の金属が使用されている様だ。
この武器があれば、桃花くらいの力でも機神に一太刀浴びせる事は出来るだろう。
「また一段と強くなった様だね」
「うん……色々あってね」
爺様が微笑みながら声を掛け、僕はそれに同じ様に微笑んで返した。
白いキノコが爆発的に増殖したり不可知天帝竜を倒したり、色々あったのだよね。
取り敢えずは桃花とついでにレミアを満足するまで撫でる事にする。
◇
「——と言う訳で、白いキノコの大群を倒してエルフの仇敵を討伐してきたよ」
「……これはまた壮大な……」
「……流石はユキさん……ザイエ兄も見習うべき」
「んな無茶な」
ザイエとエルミェージュが会話をする横で、シスターアルメリアはいつも通り変わらずにニコニコしていた。
「その……ユキ、生きた死体となったという不可知天帝竜を見せては頂けませんか?」
「良いよ」
エイジュが証拠を見せて欲しい様なので、インベントリから天帝竜を取り出して見せた。
取り出した天帝竜は、高位物質としての性質から強力な気配を発しているが、魂が無いので動く事は無い。
「これが……」
「ふむ……幽幻の森に生息するハミリオン種の進化個体で間違い無いみたいだね」
「ハミリオン種ってぇと、確か亜竜だよな……こいつは翼と角もあるみたいに見えるんだが……」
「……流石はユキ殿だな。生きたこれと相対していれば私でもどうなっていたか分からん」
さっそく検分を始めた皆。
最初の内は警戒していたが、動かない事が分かると体中を調べ始めた。
「竜変種の極限体なの。間違いないのよ」
「甲殻の硬さは相当なもんだな……全力で殴らねぇと壊せそうにないぞ……?」
「竜角の含有魔力もかなりの物ですね……これがあれば伝説級の魔法薬が作れそうです」
「どうやら魔石や竜核は生きている様だね……これだけの魔力が暴れたら大陸に致命的な損壊を与えていたかもしれない」
「血も生きてる……英雄量産出来そう?」
やはり天帝竜の素材は何から何まで全て使える素材らしい。
やはり時間を設けて研究した方が良いか。
だがその前に——
「爺様達は今後どう行動するの?」
——これ次第では今後の活動が少し変わる。
最初に話し始めたのはエルフの2人だ。
「我々は一度ルテールと合流し、その後聖樹がどうなったか確認しに行こうと思います」
「ん……生き残りがいるかもしれない」
2人の言は最もだ、だがハミリオン達の能力を考慮すると、生存者は期待出来ない。
ここは彼女らの代わりに僕の配下を派遣すべきだろう。
「聖樹の確認と生存者の捜索は僕の配下にやらせよう。2人はルテール氏族やローシェ氏族と一緒にインヴェルノの防衛をやって欲しい」
「ですが……」
僕の言葉に対し、エイジュは葛藤する様に言葉を詰まらせた。
其処へ割り込んで来たのは、妹のエルミェージ。
「配下……聖獣?」
「うん、エルフ達が言うには聖獣らしいね」
「分かった。任せる」
エルミェージは聖獣かどうか聞いただけで、悩む素振りさえ見せず即断した。
「エル……!」
「ん、どのみち皆、時間必要。聖樹多分もうダメだから、確認、ユキさんに任せる」
エルミェージの言う通り、故郷を追われたルテール氏族の弱者達には、メンタルケアの時間が必要だ。
エルフの英雄であるエイジュとエルミェージがいれば、希望が潰える事は無いだろう。
僕はウルルとわんわん軍団、他の狼達を派遣し、聖樹やエルフの里の後処理をすれば良い。
あわよくば聖樹の生きている部分を剥ぎ取り、森仙狼の力でインヴェルノに植樹しよう。
「……ユキ、申し訳ありませんが、お願いしても良いですか?」
「任された。ちゃんと隅から隅まで調べて来るよ」
少し間を置いてから頼んで来たエイジュの願いを、僕は快諾したのだった。
次は白羅と桃花。





