第17話 巨像乱舞
第三位階上位
予想通り、ガシャーンと大きな音を立てて鉄格子が落ちた。場所は広間の真ん中付近。
鉄格子は地脈の魔力を使った魔法で強化されている様なので、ティアにも破壊出来ないだろう。
件のティアは音に驚いて此方を振り返った所だ。鎧越しで僕からは見えないが、もしかすると目があったかも知れない。
思えば酷な事をした物だ。
ティアにとって僕はそれなりに大切なものなのだろうが、これから起きる事と言えば、概ね二択である。
僕等が圧勝するか、それとも、ティアにとって大切な僕が惨たらしく殺されるか。
果たして何が出てくるのか? それも勿論、予想通りだった。
入り口付近の台座に立っていた二つの巨像が動き出し、それに伴って壁際の黒い兵士の像達が動き始める。
黒い兵士達は弓に矢をつがえて引き絞り、2体の巨像はそれぞれの得物、大きな剣と斧を振りかぶった。
呪われし鉄の守護騎士 LV?
呪われし鉄の守護弓士 LV?
? LV?
? LV?
ゴゴォーンと爆音が広間に響き渡り、粉塵が捲き上る。
続いて金属と金属がぶつかり合う小さな音が幾らか響き続け、止まった。
「……ふむ、よくわからん」
口をついて出たのはその感想だ。
左右には僕を守る様にゴーレムさんとデカスラさんがつき、その少し先に地面に突き刺さる巨大な剣と斧がある。
弓兵達が放った矢は全てその剣と斧に阻まれ、一本も僕等の方へ飛んでくる事はなかった。
「麗しき銀の乙女よ、今地上で何が起きている」
そう声を掛けて来たのは巨像のうち一体、剣と盾を持つ騎士風の巨像。
「不浄の気配がしよる、街は無事なのか?」
もう片方の巨像は大斧を持つ戦士風の巨像。
取り敢えず質問に答えよう。
「あー、街はもう随分昔に滅んだよ、今地上ではアンデッドが溢れ返るまで秒読みって所かな?」
「何と!? 街は滅びてしまったのか……」
「アンデッドか……成る程道理で不浄を感じる訳だ」
ここでも予想外の展開が起きたらしい、あと、僕は乙女ではない。
黒い像達が動き出した様で金属音が再開した、ガシャッガシャッと歩く音も聞こえる。
「銀の乙女よ、有象無象は我らが払おう」
「小娘共、自衛は出来るな?」
「まぁ自衛くらいなら出来るよ」
2体の巨像は武器を持ち上げると、周囲にいる黒い像へと向かっていった。
勿論僕は他の子達を召喚した。
僕知ってるよ、これってボーナスステージって言うんだよね。タクが言ってた。
◇
《レベルが上がりました》
この音を三度ほど聞いた後、戦闘が終わった。
騎士像さんは『フン!』『セェ!』と言いながら巨大な剣で金属の像達を薙ぎ払い。
戦士像さんは『ヌン!』『ゼェアァーー!』と大声で斧を振り回していた。
ティアはどうにも気が気じゃない様で、鉄格子の破壊を試みている。
そんなこんなで戦闘が終わり
2人の質問責めに分かる範囲で答えた。
「成る程、地上ではそんなにも時間が経っていたのか」
「しっかし、そうなると、あの時の違和感は間違いじゃなかったか」
「違和感?」
「ああ——」
2人の話を聞くと、何日か前に一度、ここを何かが通った様な気配がしたのだとか。
その時に少しだけ覚醒したが、誤作動と判断され眠りについたらしい。
それが、今日覚醒してみると辺りに不浄の気配が漂い、周囲のゴーレム達が黒く染まっていた。
只事では無いと判断し、僕を助けたらしい。
「貴方の言う通り、結界に何かあったと考えて間違いないだろう」
「となれば仕方ない、永きに渡る任が解かれる時が来たと言う事だろう」
「どう言うこと?」
何かしみじみと呟く戦士像さん。彼らの話によると、上の結界を解除する為の魔法陣は扉の先にあり、この扉を開くには、騎士像さんと戦士像さんを壊さなければならないのだとか。
「それ故、銀の乙女よ、我らを崩し、今を生きる者達を救ってくれ」
「小娘、大きな任を背負わせるが、頼む」
「むぅ……その前に試してみたい事があるんだけど」
試してみたい事とは単純に、何を以って破壊されたと判定されるか、である。
その為に、僕は2体の像に触れると。
「『下位契約』」
仲間に引き入れてしまったらどうだろうか? と思った訳である。しかし
「ありゃ……失敗?」
失敗したらしい、何かに弾かれた様な感覚だった。
彼等は敵対的では無いので抵抗されたと言う訳では無いだろう、単純なレベル差による物かとも思ったが、もっと別の感じがした。
言うなればそう、別の主人がいる様な、あるいは命令を受けている感じだろうか?
僕はもっと深く、2体の巨像の中へ意識を向ける、すると直ぐに、テイムを弾いた原因を発見した。
僕のテイムよりも高位で堅固な従属術式だ。
だが、長い時間が経ったからか、あるいは彼等の意思が強いせいか、その術式には多少綻びが出来ていた。
その綻びに魔力を滑り込ませ、複雑な術式の深部へ辿り着き、そこにあったマスター権限を塗り替える。
権限の方は綻びどころか、ほぼ消え掛けていたので簡単に乗っ取れる状態だった。
後は命令を解除して、改めて壊れ掛けの術式に新しい術式を掛けて補強すれば良い。
「麗しき乙女よ、その小さな力では我々を縛る術式は——」
「小娘、無駄な事をしている暇があったら早く——」
「『下位契約』ん?」
『は?』
何か言っていた様だが、集中していて聞いて居なかった。まるで難解なパズルをやっている様で中々に楽しかったし、どうやらうまく行ったらしい。
《【伝説クエスト】『守護騎士団』をクリアしました》
【伝説クエスト】
『守護騎士団』
参加条件
・塔の結界を守る守護騎士団と戦う
達成条件
・塔の結界を守る守護騎士団を殲滅する
失敗条件
・敗北する
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント7P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
武器『聖騎士の光剣』
武器『狂戦士の闇斧』
・スキル結晶『防御』×10
・スキル結晶『硬化』×10
・スキル結晶『聖盾術』×3
・スキル結晶『聖剣術』×3
・スキル結晶『聖光』×1
・スキル結晶『魔斧術』×3
・スキル結晶『狂戦士化』×1
エクストラ評価報酬
魔法術式完全解読
魔法術式乗っ取り
変異個体『呪われし鉄の騎士』の討伐
変異個体『呪われし鉄の弓士』の討伐
ボス『真銀の聖騎士巨像』の捕獲
ボス『真銀の狂戦士巨像』の捕獲
・スキルポイント40P
・スキル『呪耐性』
・スキル『解呪』
・スキル『魔力操作』
・スキル『初級魔法陣学』
・スキル『中級魔法陣学』
わぁい……。




