第16話 イェガ、魔改造される 二
※370万PV達成
第七位階中位
続いて、イェガの中枢に至る道を守る迎撃人形。
これは、飛翔能力を取っ払う事でその分の空き容量を作り、ひたすらに防御能力を高めた盾騎士にした。
勿論道は外敵が来れば隔壁が降り、中枢に近寄れない様になるので、迎撃人形にまで防御能力を求める必要は無い。
けれど、敢えて防御を固めた。
その代わり、イェガ内部に無数に設置された針杖を強化し、上級魔法の『漆黒の光』と『純白の光』を放てる様にした。
束ねる事で威力が増して行く光系の魔法は、数の暴力と非常に相性が良いのだ。
そしてこの中枢エリアにも、強力な掃除屋がいる。
『森の晶珠』を搭載したこの魔導鎧は、植物系魔物特有の能力『光合成』を使う事が出来る。
中枢エリアに配置すれば、乱戦の最中イェガから光という形でエネルギー補給を受ける事が可能となるのだ。
イェガの魔力が尽きない限り、この魔導鎧を倒す事は出来ないのである。
魔導鎧の基本戦闘スタイルは、魔力を用いた樹木の鎧の質量増加。
樹木の成長する作用を利用し、大型の子達が持つスキル『圧縮』と同じ力を使って、魔力が続く限り無尽蔵に質量が増加する。
超重量の鎧は、その密度故に凡ゆる攻撃を防ぎ、その重量故に拳の一撃が凶悪な威力を誇るという、外周エリアの飛翔騎士よりも強い盾騎士となっている。
弱点は、魔力の補給が無くなれば途端に超重量を浮かせる事が出来なくなり、イェガの底が抜けて盾騎士が墜落する。
まぁ、そうなる前に増えた部分を分解して元の重量に戻すが、元に戻ればその分能力も低下してしまうので、無補給は明確な弱点と言えるだろう。
次は結界内部、都市などが存在する表層エリアだ。
此処は、各環境毎に違う能力を備えた迎撃人形を配置する。
量産型を大量に配備して迎撃に当たらせ、貯蓄結晶近辺には特別製の人形を配置する。
各種結晶を守る騎士は、主に守る結晶から力を得る様に調整しており、レベルにすると200に相当する結構な強者達だ。
水の結晶を守る人形は、硬い甲殻を持ち双剣を使う、蟹の様な重騎士である。
一見するとタクにしか見えない。
まぁ、実際にタクと戦わせると技量や装備の差で負けるだろうがね。
土の結晶を守る人形は、湖と同じく重騎士型である。
刺々しい甲殻で荒ぶり、得物の大鎚を軽々と振るう様は……うむ、イメージ通り、アンキロサウルスだな。
風の結晶を守る人形は、鳥を意識した意匠のある重騎士、飛翔騎士である。
得物は拳を包むガントレット。
見た目に似合わずその動きは非常に機敏。肉弾戦闘が得意だが、口から風のブレスを吐いたり、翼から羽状の金属片を射出したりする。
火の結晶を守る人形は、火山をイメージしたまたもや重騎士である。
武器は金棒だが胸部に砲身があり、そこから強力な火の魔法を放つ様は噴火しているかの如く。
森の結晶を守る人形は、狼を模した軽騎士。
見た目通りの高機動で、得物はクロー。
精霊結晶が無いので属性能力は無く、レベルはおおよそ180相当。
海の結晶を守る人形は、鮫を模した軽騎士。
森の狼騎士同様に高機動で、得物は刺突剣。
此方も精霊結晶が無いので属性能力が無く、レベルはおおよそ180相当に収まっている。
街の結晶は、それを守る専用の騎士が無い代わりに街自体に強力な結界が張られている。
そして最後、イェガのもう一つの本体。
これは今の所良い素材が無いので、今度イェガ専用の宝珠を作ってから改良するとしよう。
これでイェガは取り敢えず完成した。
改めて見ると、イェガは最早レベル500の領域を逸脱している。
その能力の殆どは、僕の手によって自動化が施されているので、イェガ自身の負担は大分軽減されているのだ。
言うなれば、体を魔導鎧化させている様な物だ。
やろうと思えば手動での操作も可能なので、イェガには良く操作訓練をしておいて貰いたい。
「うむ……中々良い感じだね」
「これで中々なのね……」
「にゃかにゃかって……にゃんて言う意味だったかにゃ……?」
中々は中々にゃ。
精神力に余裕があれば、貯蓄結晶を圧縮してより高濃度の結晶体を生成するのだが、今日はアンデット面談があったので、此処までで妥協している。
「す、凄いケロ!」
「……うるさい…………」
レイエルはイェガのスペック説明を聞いて驚愕に叫び声を上げ、メロットはちらりとイェガを一瞥しただけで寝に戻った。
まぁ、耳がピクピク動いていたので話を聞いていたのは間違いないが。




