第45話 白の騒乱 十三 竜変種
第六位階上位
闇の中を高速で移動する。
大地の中の闇を伝っての移動は、影を伝っての移動と比べると少し遅く、魔力の消費も僅かに多い。
原因は、地中の土属性魔力と、地脈から溢れた僅かな、然りとて強力な魔力が壁となっているからだ。
……もう一つ原因があるとしたら、それはおそらく僕が『土属性』のスキルを持っていないからだと思われる。
闇の中を瞬間移動出来るのは、死神の装備だけのお陰ではなく、スキル『闇属性』を持っているからだろう。
『土属性』と、あるかは分からないが『無属性』を取得すれば、大地の中を瞬間移動並みの速度で移動する事が出来るかもしれない。
ともあれ、遅いと言っても普通に空を飛んで行くよりは早い。
その分魔力消費も多いのだが、魔力は最悪マナ貨幣を消費して補えば良いだけの話。
そんなこんなで山脈を越え、公都近郊の森へ到着した。
僕が王都から公都へと向かう僅かな時間に、フブキは実に2割ものパフィニョンの支配権を強奪していた。
その奮戦たるや凄まじく、僕の期待以上の成果である。
流石は姉妹第二位。
西方面にはわんわん軍団とアニマルズもおり、垂れ流しパフィ子情報網によると、その殲滅率は5割と少々。
今もじわじわと殲滅率が上がって行っている。
西のパフィ子達は気付いていないが、退路はフブキの奮戦によって断たれているので、孤立無援の状態である。
西側はこのままフブキに任せておいて良いだろう。
一方フユキの方はと言うと、雷製の大狼を無数に放ち、迫り来るパフィニョンの群れを辛うじて撃退していた。
しかし、パフィニョンもただやられるだけでなく、凄まじいスピードで結界へ体当たりを仕掛けるパフィニョンや、自爆するパフィニョンを無数の腕で投げつけて来るパフィニョンなどがおり、結界が破られるのは時間の問題だ。
……どうやら公都方面のパフィ子、余裕のある戦いのお陰でかなり進化しているらしい。
西方のパフィ子達は、敵の格が違い過ぎたり種類が多様だったから肉体の更新が間に合わず、必死に数を揃えて魂魄の更新を行っている。
対して公都方面のパフィ子は、長い間戦いが均衡していた為形状の多様性に富み、尚且つ、パフィ子自体の能力が上がっている。
また、公都方面の森で戦っていた正体不明の強者も、急に進化したパフィニョン相手にかなり苦戦を強いられている様だ。
早目に制圧せねばなるまい。
……と言う訳で——
◇
「——はい、捕獲」
「!?」
グレーターパフィニョン・アーククイーン LV314
公都方面のボスパフィ子を捕獲した。
……まぁ、人的被害が出そうなこの状況で出し惜しみをする意味は無いのだ。
魔覚でささっと居場所を見抜き、ささっと移動して捕獲した。
やはり、死神、ダモス、天使、死の女王、リオンなどとの連戦による疲労が残っている様で、少し疲労感を感じるが、これくらいなら問題無い。
……疲労耐性や精神耐性のお陰だろうか?
それはともかくとして、捕まえたパフィ子を教育するとしよう。
◇
程なくして、公都方面の全パフィ子を制圧した。
今後何が起きるのか分からないので、事が終わるまで人間達には公都に引きこもっていて貰う。
その為にも、公都には少し弱めのパフィニョン達を送り込み、フユキにそれを倒して貰う。
森で戦っている何者かにも、同じく少し弱めのパフィニョンを送り込み、その場に釘付けにする。
下手に動かれても困るしね。
また、完全制圧した三方のパフィニョンによる侵食を停止し、パフィニョン達のエネルギーを少しずつ大地に還元し始めた。
森を再生するのには時間がかかるだろうが、配下に植物魔法を使える者が何名かいるので、植物に関してはどうにかなるだろう。
捕らえて教育を施した総勢11キノコのパフィ子達をフブキの元へ運搬し、フブキによる侵略スピードを更に上げる。
現時点での西方制圧率は、およそ8割。
完全制圧まで30分と掛からないだろう。
フブキ達を軽く手助けし、更に制圧を早めていると、それは現れた。
グレーターパフィニョン・飛翔体 LV50
グレーターパフィニョン・竜変種 LV400
無数の飛行型パフィニョンと、5体の白い竜。
そこに込められた力はアーククイーン達を完全に凌駕していた。





