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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十七節 ?????

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第54話 純白の翼

第八位階中位

 



 度重なる火焔が空を焼き、迸る竜威が大気を蝕む。

 衝突は天界を揺らし、幾千の光が弾けた。


 ——強い。


 竜の核を十全に使う竜の天使が、これ程までに強いだなんて。


 ……思いもしなかった訳ではない、きっと強いのだろうと、そう思っていた。

 ただ、それを振るってくる敵がいるだなんて想像だにしていなかった。


 異端なのはあたしだけで、それが知られれば迫害されるに違いない。そんな自己憐憫に浸り、殻に閉じこもった振りをして、全てから目を背けていたのだろう。


 ……いや……違うか……これは……後悔だ。


 そう、この天界において、明確に異端なのはあたしだけで、それが他の天使に知られれば、あたしは迫害されていた。

 だから明かせなかったし、閉じこもっていた。


 天使たちが苦しむ姿に目を瞑り、嘆く声に耳を塞いでいたのも、あたしの選択。

 約束の日へ、逃げるように駆け続けても、いつか追い付かれる。


 分かっていた。気付いていた。


 もっと、別の道があった事を。



 幾千の光が弾けた。


 衝突が天界を揺らす。


 迸る竜威が大気を蝕み、度重なる火焔が空を焼いた。


 ——勝ち目は無い。


 もしあたしが、竜の核を十全に扱えていれば、或いは結果は変わったのかもしれない。


 あたしたちは……きっと……行く道を——



◇◆◇



 追い込まれて行く。


 格下である筈の堕天使に。



 なんと無様で、愚かな事だろう。


 私たちが捨て置く事を良しとした者達に、私たちは攻め滅ぼされる。


 ……きっとそれは、宿命だったのかもしれない。


 一千年に渡り、自分なりに積み上げて来た研鑽は、最早無意味。

 剣技を極めれば、きっと皆を助けられる。そんな浅はかな考えは、更なる研鑽と力によって、踏み潰される。


 ……最初から分かっていたんだ。


 ——道は数多に続いていたのだから。


 確かに……続いていたんだ。



 ——ローネは選んだ。



 道は違えた。


 それはきっと、正しかった。



 約束の日など、最初から——



◇◆◇



 殺意が迫る。


 愛する家族が、冷徹に、私を見下ろしている。


 ——罪があった。


 今となっては最早、数えきれない程の罪が。


 だから、進まなければならない。


 約束の日と言う、希望へ向けて。


 その犠牲を無駄にしない為に、そして何より、偉大なあのお方が、あの子が、帰って来てくれる事を信じているから。


 だけど、そう……。


 ローねぇを見上げた。


 その黒く染まった翼を。



 きっと、私たちは知っていた。


 私たちが見殺しにした亡霊から、逃げ切る事はできないと。

 積み上げた屍に意義は無いのだと。



 あの子が帰って来る事など——



 断罪の光が迫る——



◇◆◇



 ——声がする。


 皆の苦しみが、嘆く声が、悲しむ声が、深い眠りの奥底で。


 山と積まれた屍、消える事無き怨嗟、迫り来る亡霊。

 きっとボクたちは、間違っていたんだ。


 それでも、ボクたちは間違っていない。


 偉大な主が、あの子が、ボクたちに残してくれた希望。


 ——約束の日。


 それを信じる事は、間違いなんかではないから。


 ボクたちの間違いは……そう——



 伝えなければならない。


 過ちは正さねばならない。



 深い闇の底で、輝きを見上げ——


   (おっと、)   (早いお目覚めで)


 ——鮮烈な蒼い瞳と目があった。





「っ! ……」



 目を覚ます。


 周囲に満ちる液体は、ルーが配合した治療系の薬品だろう。

 これ幸いと全てを吸収し、力に変える。


 何かと目があった気がしたけど、特になんとも無いので、気のせいだったのだろう。


 そんな事より、急がないといけない。


 ルーには悪いけど、ケースを突き破り、聖殿の天井を貫いた。


 即座に、皆の救援を行う。


 放った閃光はローネの光を打ち払い、竜型の天使君を押し退ける。

 堕天使の剣戟は、ボクが直接打ち払った。



「「「イディ!」」」



 ボクを見上げる皆に、ボクは(こえ)を届ける。



「顔を上げて!」



 苦しんで、嘆いて、悲しんで、そして立ち止まろうとする皆へ。



「まだ、ボクたちは戦える!」



 例え、その結果が、滅亡であったとしても——



「——ボクたちの翼は、まだ主を信じてる!!」



 立ち止まって朽ちるのでは無く、誇りをもって前のめりに果てよう。


 それが、ボクたちの誓いだった筈だ。



「さぁ!!」



 皆が立ち上がる。


 純白の翼を広げて。



 ……それに、なんでかなぁ? そんなに悪くない結果に終わる気がするんだよね。


 ボクたちが死んでしまったとしても、ね。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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