第34話 一方、トッププレイヤー達は森で恐竜に食べられていた
第八位階下位
先ずは一般プレイヤー。
人形の城イベントが明日の10時を最後に終わる予定とあって、ひたすらイベントを走っている者もいれば、その2時間後から始まる闘技祭に向けた準備に奔走している者もいる。
参加可能レベル帯の発表があったので、下位に収める為にレベル上げを控えている者もいれば、上位に入ってしまったので必死にギリギリまで上げようとする者もいる。
アイテムや装備の持ち込みに関しても、事前にセットを仮組み出来る様にしてあるので、その研究をしている者達もいる。
始まる前から中々に盛況である。
そんな一般プレイヤーの主な狩場は、レベル上げを控えたい者がクエスト多めでスキルポイントを地道に稼げる浮遊島、レベルを上げたい者が敵の多い下位環境迷宮となっている。
浮遊島の大体の常設クエストは網羅されているし、環境迷宮のモンスター分布と狩場も把握されているので、全体の動きに滞りはない。
レベル帯も想定の範囲内で推移している。
続けてトッププレイヤー。
大剣士率いる一派は、騎士団もといアライアンス、『太陽の竜騎団』を結成した。
参加メンバーは、マスター同好会を含む、現在のトップクラスプレイヤー90名。
それらが率いる数百後半の大剣士一派と、それに付いてきた現状臨時参加の数千人で、大剣士達は大森林の迷宮攻略に踏み出した。
始めて間も無く、莫大な戦闘を重ねるプレイヤー達により、騎士団レベルが上がる。
この速度で上がるならと、大剣士達は200名のフルメンバーで攻略を再開し、それから少しして騎士団レベルが上昇。
それを数度繰り返し、APが貯まる端から成長補正系のバフを取得したりして、半日掛けて大森林を半分攻略、ボス部屋の鍵となる小ボスの玉を確保し、ボスを撃破して大森林を踏破した。
1,000人規模の踏破があったので、上位環境迷宮が解放されてしまうのではないかという危惧は思い過ごしに終わった。
今暫く、貴重な狩場が減る事は無さそうである。
その後、大剣士達は残念な事に大森林の攻略を再開、アライアンスレベルを更に幾らか上昇させ、遂にそれに出会ってしまった。
そう——大森林の裏ボス、グラノドスである。
グラノドスは、裏ボスの中では強い方だ。
タク達でも勝つ事は難しい相手である。
そんな強敵を、雑兵が幾ら群れても勝てる道理はないのであった。
先ず最初に、そこそこの戦力の複数パーティーが犠牲になった。
最初に崖の下に穴が空いている事に気付いた一団だ。
大森林は奥に崖があり、森がU字型に広がっている。
U字の中央や奥に行く程敵が強くなるのは、少し探索すれば分かる事だ。
そのパーティーは、それなりに強く、中央の探索を任せられるパーティーだった。
洞窟を発見し、大剣士へ念の為連絡を取って、先遣隊として洞窟に侵入、その直後全滅。
グラノドスの索敵範囲内に入った幾つかのパーティーが一瞬の内に美味しく頂かれ、レギメン数千人の体力状況を見守っていた佐助が異常を察知、大剣士に報告、即時帰還の大号令が放たれ……その流れがグラノドスの呼び水となった。
知覚する、襲う。知覚する、襲う。
この流れが連鎖的に続き、連携を取る間も無く複数パーティーが各個撃破、HPバーが消し飛ぶメンバーの名前から、大剣士達は何かが接近して来るのを察知、緊急でメイン討伐隊による迎撃体制を整え——出会い頭に1つのパーティーが青い粒子に変わる。
そうと分かった次の瞬間に、火弾が炸裂して1パーティーが消し飛び、その余波で近場にいたパーティー3つが、一番遠くにいた重装兵1人だけをギリギリで残し壊滅。
大剣士ことコウキが即時に全軍へ全速脱出の指示を出した所で、メイン討伐隊は壊滅、ギリギリ知覚出来たコウキが、咄嗟にカウンターで突き込んだ竜殺剣がグラノドスの手に突き刺さり、それがグラノドスへの最初にして最後の与ダメージとなった。
幸いだったのは、大森林の形状に対して行なった、ローラー作戦による地図埋めと言う探索方法。
コレにより被害者は半分で済み、武装はほぼ全ての者がアポート出来るので、幾らかの回収した素材と消耗品、一部お金を失うだけで済んだ。
中位環境迷宮に挑める者達も、皆激戦に身を投じ、生き残ったりギリギリまで喰らい付いて何度か死に戻りした様な連中なので、その程度の事で今更大剣士から離反する者も無い。
軍事的には壊滅と称される被害を受けたが、攻略自体は成功しているし、裏ボスの存在とその正体、出現ポイントを見付けた功績は大きい。
そろそろ下位環境迷宮でも裏ボスの存在が認知されつつある今、少し奥に進むだけで出会えてしまい、ほぼ何も出来ず全滅する爆弾の存在を観測出来た大剣士一派は、掲示板では寧ろ高い評価を受けている程である。
そんな戦いを制した翌日、今日は明日の闘技祭に向け、各個人での準備では無く、アライアンス単位での準備支援を行なっており……大剣士一派が更なる飛躍をする事が予測される。
最後に、ルベリオン王国等、周辺都市の現状。
王国に特に問題無し。
防衛体制は十全だし、プレイヤー対策も完璧である。
続けて帝国方面。
現在プレイヤーが訪れていないので、少なくとも天界攻めが終わるまでは緊急避難の体制を整えている。
住民達は有事の際の緊急転送の為、迷宮に篭っており、黒霧は厳戒態勢、何かが起きれば即時に、王国の本部から援軍が急行する。
最後に、教国。
有事に備えて指折りの強者達を常駐させており、天界攻めが始まると共に、その後の整備に備えて住民や天使達を転送、教国は一時放棄する。
天界攻めが終了し次第、教国の整備と天界の整備である。
他方、僕の支配領域以外の地点。
海、山、森、特に問題無し。
敵影は来れば一気に来るので、あまり現状の確認に意味は無いが、取り敢えず外部への警戒体制や転移等の警戒体制はバッチリである。
黒霧の監視網を突破出来るなら、最初から僕が相手をしないと行けない敵。
その時はその時である。
コレにて、全ての確認は終了。
それじゃあ早速、天界攻略を始めようか。




