第21話 イベントに備えよ
第八位階下位
あれこれと作業をした翌朝。
特にこれと言った事件も無く、のんびりと朝の諸業務を終えた。
分家の皆も暫くは本家でのんびりする様で、いそいそとゲームに戻って行った。
未だ夏の真っ盛りとは言え、家に戻るとなんだかんだで忙しいからね。
そんな訳で、僕もアナザーにログインする。
◇
デイリークエストやログインボーナスで雀の涙程度の稼ぎを得、起き抜けに僕の顔をじーっと見ていたうーたんの頬をつんつんして、朝が始まった。
ささっとちびっ子達に朝食を摂らせ、学校に送り出す。
それが終わったら執務室に向かい、報告書の読み上げだ。
こっちは、黒霧の裁量で判断出来る部分を増やしているので、徐々に僕の方に回ってくる僕が判断しないといけない様な内容は少なくなっている。
今朝来てるのは、竜の素材を用いた低コストハイリターンな兵士の研究状況の報告。それから、ティアーネとエリザベートの戦闘力と体感について。後は、日常の単なる業務報告。
イベントに向けてプレイヤーの動きが活発化している様で、少し奮発してアイテムを買う者や、講習会に来てスキルを鍛えようとする者、貯めたお金で武器を新調する者等、経済が良く回っている。
まぁ、悪くない判断だよね。
報告書は以上。それじゃあ一晩休んで回復したし、物作りを始めようか。
「それからマイロード。とても重要な報告があります」
「……何でそう言うのを最後に持ってくるかね」
勿体ぶらないで良いのに。まぁ、緊急なら即座に報告してくれるから、そう大した事ではないのだろうが。
「聞こうか」
「はい……今朝の6時から、イベントチケットがドロップする様になりました」
直ぐにイベントインベントリを開くと、そこにあったのは無数のチケット。
未だ1時間ちょっとしか経っていないのに、チケットと名の付く物が大量に入っていた。
「……魔物からのドロップ?」
「正確には、魔物からのドロップに追加する様な形で出現している様です。それに加え、浮遊都市内や迷宮内のクエストをクリアした時に追加報酬としてチケットが出ている様です」
「ふむ……」
掲示板から得た情報かな? 真偽の程は分からないが、態々嘘をつく様な内容でも無いだろう。
足並みを揃えさせる為の措置かな?
所持チケットは、無地のチケットの欠片が800枚程。無地のチケットが700で、色チケットは500。色チケットの上位と目されるチケットが300で、更なる上位、虹チケットなる物が100枚。
報告によると、討伐対象のレベルが70以上で何らかのチケットが確定ドロップ。およそレベル200から虹チケットが確定との事。
レベル200となると上位環境迷宮でもエリアボスや中央の巨人とかくらいしかいないので、得られる数は限られる。
更に、チケット合成を確認して見た所……虹チケット10枚で一段上のチケット、万色のチケットを作れる事が分かった。
万色チケットは、金と銀の精緻な装飾が施された虹が揺らめく様なエフェクトを持つとても高そうなチケットだった。
試しに今直ぐ行けるか登録しようとしたが、やっぱりダメだった。
一応限定クエストは12時まで有効なので、多分最初に配られた奴しか行けないとかそう言う感じの制約があったのだろう。
「……正午のイベント開始と同時にこれに行ってみる」
「メンバーは如何致しますか?」
悩みどころだが……おそらく島全体が戦場になると予測されるので、数と質を用意したい。
差し当たって、イェガ、クリカ、サンディア、それからアトラ&ワンワン軍団&アンデット組を四方へ配置。
それらの穴埋めとして、夜闇の魔女。 夢明の研究者。 森海の主。 人形の迷家等を配備。
それから、相当強いと目される徘徊ボス対策として、此方もトップクラス戦力を出したい。
勿論イェガやクラウ達が弱いとは言わないが、要は徘徊ボスに専念出来る者が欲しいと言う事だ。
なんなら番兵とか守護者とかも強いだろうし、数は……余裕を持って50くらいは入れたい。
一番上のレーベ、アルネア、白羅、セバスチャンは防衛に残すとして……。
先ずウルルでしょ。次にメロット。レイエル。ミルちゃん。ディルヴァ。ニュイゼ。ミュリア。アルフ君とルクス君。白雪と氷白。レイーニャ。レミア、リアラ、アスフィン。ルカナ。リオン。桃花。白夜と紅花。睡蓮と茉莉花。ジオ。六仙に研究者2名+1とクラディ&ゼーレ。エヴァ。鎌嵐。アラビス。ミスティ。六精帝と水精三姉妹。ウルラナ。シャルロッテ。ペルセポネ。
これで50名。ただし研究者辺りは戦闘力をあまり期待出来ないので、3人で1名分としてこれで48名。
残りの2名分はメロットとかディルヴァとかシャルロッテとかが補ってくれるだろう。
後は、予備戦力として動物組や合成獣達等を配備。
なんだかんだ言って総力戦である。
「——メンバーはこんな所。各自狩りは程々にイベントに向けて温存する様に通達して」
「承りました」
ラニとマレ、それから2名を除く竜生九子の10名には、皆がいない分の穴埋めとして上位迷宮の殲滅をやって貰う。
後は中位迷宮だが……竜寝殿の連中から引っ張ってくるか。
大した敵はいないし、一つにつき2人いれば十分だろう。
「竜寝殿から600代24名程を中位迷宮の処理に回して」
「訓練も兼ねさせて低レベルから志願者を募りましょう」
「名案だね。そこらへんは黒霧の裁量に任せる」
「承りました。自由にやらせて頂きます」
「……程々にね?」
投降した若い竜達はさ、何となく跳ねっ返りがあるからね。
幹部級はボロ負けしたし彼我の戦力差を理解しているから凄く素直なんだけどね? やっぱり体で痛みを感じてない奴等はダメだね。
……多少ボコボコにしても良いや。黙認します。
纏めその他の作業の為失速警報。
ストックが十分有れば失速回避。





