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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜超天才美少女(?)が、世の理を解き明かし塗り替える!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十四節 ルベリオン王国の攻略

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第17話 浅き夢

第八位階下位

 



 大きな体と鉄板の様な鋏を持つ、攻撃系に特化した大蟹。ウォーリアクラブ。


 アランの闘気纏う斧と激突し、自慢の鋏を粉砕され、その後敢えなく死亡。レベル42。



 両方の鋏が鋭い剣になっている、更に攻撃に特化した鋼蟹。メタルツインソードクラブ。


 タクと斬り結ぶも、胴を蹴り砕かれ死亡。素直に防御していればまだ行けてた。レベル51。



 両方の鋏が巨大な鎚になっている、重量攻撃と振り下ろしを得意とする鋼蟹。メタルツインハンマークラブ。


 クンの爆裂弾にやられた後、執拗に体内を破壊され死亡。レベル53。



 見上げる程にデカい体を持つ鋼蟹。ジャイアントメタルクラブ。


 腕甲を装備したミカと正面から殴り合い、体の全甲殻を破壊され死亡。レベル50。



 4本の巨大鋏と16本の脚に、膨れ上がった体を持つ、完全にイカれている半崩壊定着個体。ミュータントグレイトシザー。


 攻撃範囲が広いが動きが遅く、シロに丁寧に解体される。レベル45。



 同じく異常な進化個体。両手に蟹の様な甲殻が付き、背甲を持つ巨大な蛙、ジャイアントアーマートード・亜種。


 体がデカく、甲殻が重く、動きがトロい。毒を吐いたり舌を伸ばしたりするし、跳ねて潰しに掛かったり、近いとガバッと飲み込みに掛かるが、遠いとダメだったらしい。キリサメに狙撃される。レベル49。



 緑色で体の各所に宝石の様な輝きを持つ大きな蝙蝠。ジャイアントグリーンベリルバット。


 風の魔法を使い、遠距離からの戦闘を行うも、投擲されたナツナの槍杖により墜落。一撃で頭を踏み潰された。レベル55。



 黒い表皮に赤い線が走るキモチワルイナメクジ。ブラキルマーカ。


 複数の毒を操るナメクジだった様だが、リナの矢の雨を100発全弾喰らって絶命した。レベル40。



 その他にも、珍しい鉱石系のスライム。クリスタルスライムや、一部キモいクリスタルな虫もいた。

 リンカちゃんなんかは、そのクリスタルスライムの同類と思わしきパールスライム・亜種を捕獲していた。


 このパールスライムなる生物は、球体になって物凄い勢いで逃げるのだ。

 坂道凹凸水中何もかも気にせず逃げ回るパールスライムを、リンカちゃんは必死に追いかけ、時にピィコが水没し、時にカメ吉が水没し、猿飛がそれらを拾い集め、機動力の低いシャ助とテンテンはもはや諦めて外敵排除、一方ニャニャミは陸で1人、ネズミと戦っていた。



 その他幾らかの雑魚も狩り終わり、クエスト『大王継承戦争』は終結した。


 僕は戦闘に参加していないが、魂の回収に十分な貢献をなされたと判断された様で、貢献率は30%。

 報酬は、なんて事はない魔水晶やちょっとした属性結晶の魔道具だった。



 さてさて、これでいよいよ——



《【伝説(レジェンド)クエスト】『亡き栄光へ縋る者』が発令されました》



 ——ボス戦だ。



 湖底で闇色の意思が胎動した。





 これが終わったら、誰も気付かなかったの? って皆を煽ってあげるんだ。


 やっぱりね、甘い桃を作るには多少のストレスも必要なんだ。

 大切なのは、しっかりとした土壌と適切な負荷。


 そんな訳で、水底から浮き上がり、ザバッと現れたそれを見上げる。



シャドウキングクラブ LV118



 ——怨霊だ。


 己を殺した外敵への怒り、生を謳歌する者への妬み、勝者への憎しみ。

 静かな水面は、そう言った物を封じやすい。


 それは一種の聖なる力であると同時に、不浄を隠し溜め込んでしまう性質も備えている。



 これが生じた要因は3つ。



 湖底に汚泥の様に溜まった僅かな、しかし濃度の濃い不浄。


 結晶(クリステア・)大王蟹(アークキング・クラブ)の持っていた高質な闇属性魔力。


 そして、彼と彼の力を受け取った者達の新鮮な憎悪。



 彼の生物相応の憎しみが不浄と結び付き、闇の力でコアが形成、新たな縁の近い憎しみを受け取って、今この時、孵化を迎えた。



 ——Gugooo!!!



 怨嗟の咆哮が地底湖内をこだまする。



 ——死の原因である僕が憎いと。


 ——今を生きる蟹君が妬ましいと。



 ただ、その魂には怒りと憎しみだけが満ちていた。



「さぁ、行って」



 僕はクリスタルな蟹君を掲げた。


 若干嫌そうに闇を見上げる彼に、地底湖内から掻き集めた力を押し込む。



「君の落とし物だ。始末は君が付けなさい」



 魂と対話する。



 彼が望んだのは、早期の復活だ。


 しかし、それは側面の一つでしかない。


 早く復活する為。それだけなら、そこらの卵にでも宿れば良い。

 或いは屍肉でも良い。フレッシュゴーレムとして復活すれば良かった。


 じゃあ何故、早期の復活の為、彼はクリスタルの器を選んだのか?


 理由は幾らか考えられるが、何より大きかったのは……彼がそれを好きだったから。



 サーチして直ぐに気付いた。


 王都を守る大結晶に、小さな蟹型の凹みがある事に。

 態々頑張って結晶を侵食し、その器を獲得したのだ。



 その真意は、クリスタルの器を望んでいる。



 結晶(クリステア・)大王蟹(アークキング・クラブ)になろうとする意思を軽く叩いて潰して、その小さな真意に問いを投げ掛ける。



 汝、何を望む者也ってね。



 まぁ……答えは決まってるんだけどね。


 ……一応、ちょっとダメ押し。



「君に名前を与えよう。クリスタロス。それが君の、新たな(なまえ)だ」



 ——そして光は瞬いた。



古刻結晶(クリスタロス) LV130 状態:蟹型



 大きな蟹の形をした結晶体。


 形状はスライム達と同様に自在であり、伸縮もまた自在。その身には膨大なエネルギーを溜め込んでいる。



 これが、この子の望んだ形だ。


 後は君の、選択次第。



 シャドウは急に現れたクリスタロスへ襲い掛かる。


 巨大な鋏を振り上げる敵に対し、クリスタロスは防御の構えを取った。衝突——



 ——ドプンッ。



 と、音がした訳ではないが、シャドウの鋏とクリスタロスの鋏が混じり合った。


 中々面白い反応だ。


 両者共にある程度変幻自在であり、そして多少のノイズはあるが根源を同じくするからこそ、混じりやすい。


 本来であれば自然と拒絶が起きる所だが、それが起きずに混ざり合う。

 しかし、既に別の個でもある為、混じった後に殺し合う。


 まぁ要は、セルフで神域の戦いが行われてる訳だ。

 または自分の中で2つの意見が対立している様な物である。


 それに——



 混じり合った黒と白から、黒が瞬く間に薄れて行く。



 ——当然、こぼれ落ちた怨念の塊と、それを零した本人なら、本人の方が強いに決まっている。


 シャドウの鋏はクリスタロスに大したダメージを与える事は出来ず、魂の戦場において勝ちはない。

 それを察したか、シャドウはその形状を変え、クリスタロスの鋏へと集結した。


 黒い塊が鋏に纏わりつき……鋏にビシッとヒビが入る。

 クリスタルの鋏が急速に白く濁って行き——崩壊。


 クリスタルの破片が辺り一面に飛散した。



 ……まぁ、仕方ない。魂はとにかく、まだ肉体は弱いから。むしろ侵食を鋏に留めたのだから頑張った方だ。

 それに、敵も相当無理をしたか、大きなダメージを負っている。


 クリスタルの破片からじわりと黒い影が立ち上がり、蟹型に戻ったシャドウは、その体積を半分に減らしていた。



 そこからは簡単だ。


 反対の鋏で叩き潰し、取り憑かれるのではなく取り込んで、その大半を吸収、中和。

 少し逃げたシャドウも、あっさり捕まってクリスタロスに吸収された。



 自分の落とし物を取り戻し、ついでに幾つか背負い込んだ。


 僕や彼からしてみれば、ちょっと嫌だなって言うだけの些細な事だ。



 

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