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東方咀毒異変  作者: 彩丸
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起り

 橙はこの日、マヨヒガの中心に建つ倒壊し掛けの木造家屋の中で集会を開いていた。議題は「今度の餌場をどこにするのか」というものだった。

 昨今、人里の結界が僅かばかり強固なものになっていたり持ち歩き用の微弱な結界札が出回っていたりと、弱小妖怪には厳しい世の中になっていた。

 橙の率いる猫集団は最近妖力と知力を身に付けた者が増えたとあって、出張芸団を開いて腹の飢えを満たしつつ、そこから離れた場所で人を驚かして心の飢えを満たすという事をしていた。今は正にそれらの開催場所と日時を話し合っているところだった。しかしどうにも決まる気配を見せなかった。なまじ知力を身に付けたばかりに、人の言葉で議論するようになったばかりに、「あそこは危ない」とか「あそこは怖い」とか皆が口々に言うのだ。中には「穣子様に頼めば蓄えを少しは分けて貰えないだろうか」と言い出す者まで。そうなっては橙も中々に指揮を決めあぐねる始末。

 会議は正午前に始めたというのに、出席者はそろそろ腹を空かせて真面目さも散漫とし始めていた。それは橙も同じ様で、ふうと溜息を吐いて一時中断を宣言しようとしていた。

「橙さん! 人里が! あっ、ああ……」

 一匹の猫又がそんな風に叫びながら、息を切らして家屋に飛び込んで来た。酷く怯えた様子で顔を青ざめさせ、足もがたがたと震えていた。

 異常だ。マヨヒガに居た全員が、多かれ少なかれそう感じていた。

 橙は彼女を落ち着かせようと手を握って背中を撫でてやりながら、状況を話させた。その内容は、橙には手に負えない様な事だった。或いはこの時代の博麗の巫女・博麗榊にも不可解な異変になるだろうとさえ、橙は思わずにはいられなかった。


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