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理が壊れた日  作者: ごはん派の人
3/8

人の噂はしないようにしましょう。

「おい、ゾンビがいるぞ。早く逃げよう。」

「いや今良いところなのじゃ逃げられぬ。」

俺のゾンビ速報にを聞いても、本に取りつかれたアホムンクルスは逃げようとしない。

「だあっ 本は借りてやるから行くぞ!」

本を借りて、らせん階段を降りようとするが、

「どこに行くのじゃ。」

「帰るんじゃあないのか? 」

「なぜじゃ。目の前に、科学準備室なるものがあるではないか。」

行かずとしてどうすると言わんばかりの視線を向けてくる。

「ゾンビの事は心配するでない。この学校の人間が素晴らしい肉壁となってくれるじゃろう。」

おい全然素晴らしくないぞ。

「……何を取りに行くんだ? 」

「錬金術は文明の力。文明の心臓が止まろうとしている今、その産物は百万もの富に勝る。」

「分かったよ。」

いやいや聞いてみると、案外まともな答えが返ってきた。具体的ではないのはやめて欲しいが。。

「では、準備室の扉を壊さなければなるまい。さあ、鍵の横をめがけて蹴るのじゃ。」

「ん? ドアノブとかじゃなくて良いのか? 」

みーちゃんの説明に対し、疑問を述べると、

「足を痛めたいのであらばドアノブにするが良い。」

「横を蹴ります。」

おとなしく言われた通りにすることにする。

「とりゃ! あ。」

俺の足はドアノブ一直線に落ちる。目ににやにや顔のホルムンクルス(悪)の顔が目に写る。

次の瞬間。

ドガッシャアア……いっいってえええええええ!

いたいいたいマジで痛い。わざとじゃないし。

「時間が少々押してきたの。まあ良いデータが取れた。その足では再トライはいやであろう? ろうとと、水を持って来るのじゃ。あとはそこにある液体窒素、カバンの中のドリルで良い。」

俺の足をいたわる事無く重労働を課すみーちゃん。そこにあるじゃないだろう。あるとしたら科学室だ。

「大丈夫ですかくらい言ったらどうだ。それに液体窒素はここには無いぞ。」

「それで働くと良いがのう。液体窒素は科学室にある。」

愚痴る俺に、唇裂な言葉を言ってのけるみーちゃん。

渋々持って来くると、

「まずそのドアに風穴を開けよ。次に水を入れよ。さらに液体窒素を入れるのじゃ。すぐに離れてよく見ておれ。面白いぞよ。」

ドアがバコッと膨らんで、どおおんっと倒れた。面白いが、

「おいどうすんだ。人がいっぱい来ちまうぞ。」

「急げばよかろう。ドリルは捨てていけ。しばらく使わん。」

俺の指摘に急げばいい。ついでにクソ重かったドリルを捨てていけと、言う始末。愛着沸いてたのに。

準備室に入って中を探る。中には化学薬品がずらり。

「何を探すんだ? 」

「硝酸カリウム、木炭、硫黄を探すのじゃ。」

何を探すか聞いたところ、どこかで聞いたことがある物の名前を出してきた。

「火薬作る気なのか? 」

「あれは文明の心臓を動かす原動力との一つじゃ。」

すべてを見透かすような青い目で言ってくる。おっ硝酸カリウム見っけ。ついでに良いもの見っけ。

「分かったけどよ、木炭は多分ねーぞ。それと、人とも戦うだろうから、濃塩酸と濃硝酸も、持ってくぞ。」

「ならば残りの二つでよい。その二つはまあ、必要かもしれぬの。」

了解を得て、硫黄も見つける。なのでリュックに詰めていると、ドタドタと、足音が聞こえる。やっべえなあ。ここはらせん階段の真ん前。良くも悪くもピンチだ。リュックを背負って、三つ隣の生物室に滑り込む。


「何ですかこれは、ドアが破られています。冷たいですね……おそらく水を入れて、この液体窒素で凍らせたんでしょう。」

「一度やってみたいですね。」

「おやめなさい。」

誰かが話している。あの声は多分、


「あやつらは誰ぞ?」

「黒髪ロングの生徒会長だ。男の方は、光何とかさんだ。」

「なんとかって…… それよりあれじゃ。ここをどう切り抜けるのじゃ? 」

みーちゃんに促されるが、どうするか。火薬を即席で作るか?

 いいや。木炭がない。

どういう考えかと思うが非常階段も無い。

ではどうするか。

時間もない。

うん? なら、武器っぽい何かを作って、逃走戦するか。

ありがとよ。でかい丸底フラスコに、塩酸を適当に入れる。

こんなもんか。

教室から出てダッシュでらせん階段に向かうと

「待ちなさい!! 」

と会長さん。

やっぱりバレた。

「これが掛かったら溶ける。塩酸だ。動くなよ!!」

ついでにドヤ顔かましてみる。

っと、光何とかさんが走りこんで来る。

あ、やばいな。

ゴム栓がついたまま(・・・・・・・・・)のフラスコを振るうと、

「っつ! 」

少しビビッて後ずさる彼。

「次はネエぞ。」

正直血の気が引いた。

が大丈夫だ。

「じゃあな。動くなよ。」

帰りのあいさつをし、階段を降りて、見えなくなったところに来た。

フラスコの中身を思いっきり階段にぶちまける。

ジュオーと、階段が溶けてる。

「危なかったのう。」

「うるせーよ。結果オーライだろ。」

みーちゃんの茶化しに返しながら走る。

もうすぐ一階だな。


ここは一階。見渡してみるが、らせん階段のすぐ横には渡り廊下がある。

ここらに逃げる人が大量にいると思っていたんだが、あまりいない。

不気味なくらいだ。待て。図書室でゾンビを見つけたのは何時だ? 二十分くらいは経っているんではないだろうか。となると、

「あー」

「アーアー」

「ぐア」

「あー」

「グウアアアァァァ!!」

今日学んだ事:人の噂はしないようにしましょう。

ゾンビがいっぱい。

明らかに生きていられなさそうな体をしている。

そんな奴らの一人を、フラスコで殴る。

ごおおおん……と、重い音。

そいつは頭がへこむ物理的に。

と、同時にダッシュで逃げる。

奴ら遅いぜ逃げれるぜ。

裏口が見えるな。

鍵が掛かっているようだ。蹴りを入れて破ってみる。

今度はうまくいった。

会長とやりあってからの数十秒は、やたらと濃い時間だった。



「ソ……ソ……ソノカラダ……チョウダイ……? 」



そんな声が、聞こえた気がした。死者たちの願い……か。




















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