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理が壊れた日  作者: ごはん派の人
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始まりはホルムンクルスとともに現れる

こんにちは。ごはん派の人です。学生なので不定期連載となりますが、

どうぞ宜しくお願いします。……そっけないでしょうか? 

それは夏休みの初日、アルバイトから帰ってきたときのことだ。至る所にサビがつき、手すりが今にも折れそうなアパートの一室のドアの前。そこにはジャージに白衣の明るい茶髪の少年が寝ている。

俺は少年を起こさないように、そうっと家に入ろうとした。だが、

「おはよう雪人! ホルムンクルスがとうとう完成したんだよ。今から見においでよ! 」

すぐに起きて少年は声をかけてくる。うるさい、テンション高い、辺りが暗いのに少年の目はきらきらと

輝いている。こうなったらこの少年は引かないのだ。仕方なく承諾し、見に行くことにする。


透き通るような白いの髪、陶器のような肌、言葉を失うほど美しく小さな、人形のようなそれはフラスコの中に収まっていた。こんなに綺麗で耐水性のある人形はそうそうない。

「秋、こんな人形、何処で買ってきたんだ? 」

「え、あ、いや、彼女は正真正銘ぼくが作り出したんだよ? 」

戸惑いながらも真剣に弁解する秋を見るが、嘘には思えない。こういう人はあまり刺激しないで

そっとしてあげた方が良いかもしれない。それに、なんて言うんだろうか、この人形は、生き物では

ないけれど、物でもない、でも生きているような……欠けている? 考えがまとまらない。

「そう? 後、寝不足っぽいからとっとと寝ろよ。じゃあな。」

俺も寝不足だから帰って寝る。


 すっきりと目覚めた訳ではないが、よく寝たようでもう正午のようだ。俺以外には誰もいない部屋。

俺は田舎から上京してきたので両親はここにいない。かなり安いアパートなのでお財布には優しいが、

残念ながらスペースはあまりくれないようでとても狭く、キッチンの他には勉強机とテレビだけがほとんどのスペースを占めており、布団を敷いたら床がほとんど埋まってしまう。

そんな布団を押し入れに押し込み、テレビをつける。アナウンサーのおじさんが今日は変わったことを

言っている。

 「節矢区で暴動事件発生です。暴徒は一般の方々にかみつくなどの行為をしています。節矢区の方々は

なるべく外には出ないようにしてください。」

ニュースを見た俺はすぐにパソコンをつけて、このニュースについて検索する。

体の一部が腐った人のような何かが、人を喰っている画像が出てきた。その人のような何かは秋が見せてきたホルムンクルス(秋曰く)に何処か似ている。何処か、何処かが欠けているんだ。

そう、きっと……

 「随分とカンの良い小僧じゃのう。」

鈴の鳴るような声が聞こえた。そこには、フラスコに入ったまま秋に抱えられているホルムンクルスがいた。どちらもしても俺はこいつらを我が家に招いた覚えはない。ホルムンクルスは二人いたらしい。

昨日のやつは、白い髪だった。こいつはまるで若葉のような黄緑の髪だ。

「不法侵入か? どうやって入ってきた? 」

「細かいことを、ちくちくとうるさい小僧じゃのう。それに鍵は開いておったわい。」

「マジ?」

「まじとはどうゆう意味か分からぬが本当じゃの。」

秋の細腕では鍵は壊せないし、ピッキングの技術を持っているわけでもなし。このホルムンクルスに謎パワーでもなければ無理だろう。となると俺が本当に鍵を閉め忘れたんだろうな。一人暮らしは何年目でしたっけ?

「そうか。」

「信じてくれたかの。さて、その動く死体まあ外国ではゾンビとか呼ばれておる。あれは世界のシステムに弊害が起きたことによって出来たものじゃの。」

聞いてもないのに話し始めた。

「何であいつらは人を喰っているんだ?」

「完全な人ではないからじゃの。 あやつらは人になりたくてなりたく仕方がないのじゃ。心に似たものもある。精神に似たものもある。じゃが、生きている肉体がない。人の体がほしい。ならば、奴らは喰ってみたらどうかと思うたのじゃ。」

「なるほどな・・・・・・それじゃあもうすぐゾンビが来るだろうし、備えないとな。ホームセンターにでも行って必要なものを取りそろえるか。」

何故俺はこんなにも簡単に信じたんだろうか。

「わしは図書館に行きたいの。」

「秋に連れて行ってもらえば?」

「こやつはもはや体力の限界じゃの。」

「分かったよ。でも図書館は遠いから学校の中に有る図書室で良いか?」

「もちろんじゃ」

「またね、みーちゃん」

秋は最後の力を振り絞ってホルムンクルスのみーちゃんに挨拶した。何があったんだろうか。


 というわけでみーちゃんを連れ図書室に来た。ホームセンターみーちゃんの興味をそそるものが大量に置いてあったようだ。みーちゃんはきょろきょろずっとしていて何時彼女が騒ぎ出すか冷や冷やものだった。

まあ何事もなく終わり学校の図書室に来たのだが。

みーちゃんは図書室にくるなり本をそれはそれは熱心によんでいて、彼女は生まれたての

ホルムンクルスというより学者に見えるな。そんなくだらないことを考えていた矢先のことだ。

ふと外を見るとそこには、体の一部を腐らせた人のような何かが歩いていた。

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