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理が壊れた日  作者: ごはん派の人
1/8

プロローグ

少しエグイので、苦手な方は見ないでください。

戦争の後だろうか。よほど大きかったのだろう。

神殿であっただろう神場所には首と胴が離れた状態(・・・・・・・・・)で兵士であったであろう者たちの亡骸が転がっていた。

そこにくるくると踊る少女がいた。楽しそうにくるくると。

中世ヨーロッパの村娘のような服を、真っ赤に染め上げたその少女。

十三歳くらいだろうか。


「ああ、人は何でこんなにも脆いのかしら。もう少し遊んでくれても良かったのに。」

血の池の上でピチャピチャと鳴らしながら、踊っている。

血の池からすうっと、鉄の剣を取り出す少女。

血濡れた剣で、剣舞を舞う。

それは神に捧げる踊りのような、悪魔に祈る、踊りのような、そんな独特な雰囲気を持っていた。

あまりにそれは美しく、あまりにそれは残酷に見えた。

一通り踊り終えると後ろを向く。

そこには十四、五才だろうか。一人の少女がたっていた。

青い瞳をした少女。

小さな赤ん坊を抱えながら、震えて動けずに立っていた。赤い少女が近寄ろうとすると、

ひっ、と声をあげて後ずさる。

けれども誰かの亡骸につまずいて、尻餅をつく。

血でびっしょりと、尻が濡れた。少女の手も赤く染まる。

いや、と小さく声を上げる少女。

「ずいぶん怖がらせてしまったわね。」

赤い少女はつまらなそうに、つぶやく。

「では私から祝福を」

そう言いながら少女に近付こうとする赤い少女に対し、

「いやああああぁ!! 近付かないで、私たちに近付かないで! 」

少女は叫びながら、血の池の血を、赤い少女にばしゃりと浴びせる。

赤い少女の髪と顔に、血が掛かる。

今度目を見開いたのは、赤い少女だった。

彼女は口の端を、つり上げ、

「あはは、なんて、なんて可愛らしいの?そんなに弱いのに、なんて滑稽の? 」

良いわ。あなたに最高の祝福を。そう言って、ひゅっと指を下げると、

少女と赤ん坊の目は、赤く染まった。


さようなら。また会うときが来たら。言い終えた赤い少女は、

剣舞に使っていたその剣で、

その喉を、

掻き切った。




読んで下さりありがとうございます。

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