コミュ障魔王は致命的
それからも黄昏姫と魔族の姫は、対照的な行動をとり続けた。
アリスは休み時間ごとに積極的にコミュニケーションをとり、常にクラスの中心にいる。
ちなみに昨日の騒動はクラスメイトを驚かせる即興劇ということで誤魔化したらしい。
その程度の嘘で誤魔化せてしまうくらいアリスはクラスメイトの信頼を得ていた。
そんなアリスを見て、ルーテシアもまねしようとするのだが。
「……コ、コウスケ、話しかけてきて」
「……俺はお前のかーちゃんかなにかか?」
彼我の戦力差は歴然。
いや、ルーテシアも見た目だけなら負けていないのだ。
長い耳はしっかりと魔法で誤魔化せているし、きらきらしたブロンドは特に男子の目を引く。
ミスコンにノミネートされたこともあって、声をかけてくる人はいるんだけど。
「降魔さん、ミスコンに出るんだってねー。俺、降魔さんに入れちゃうよ」
「…………ひっ」
「えっと……」
「こ、来ないで!」
「……俺なんかした?」
「ひぃぃぃっ」
こんな対応をされたら、よっぽど特殊な性癖でもない限り誰だって心が折れる。
自然とルーテシアに近づく人は減っていった。
「――というわけで、非常にまずい状況だ」
学校が終わり、ファンシー魔王城に戻ってきた俺は、アストリッドに今日一日の報告を終えてため息をつく。
ちらっと横のルーテシアを見ると、さすがに申し訳なく思っているのか、顔をうつむかせて縮こまっていた。
「なるほど~」
めずらしく黙って話を聞いていたアストリッドは、いつもどおり間延びした声で、
「これはもうシアさまと勇者さまで休日デートをしてもらうしかないですね~」
大変意味のわからないことをのたまった。
「あの、アストリッドさん……俺の話聞いてた?」
「聞いてましたよ~。性格までヒキコモリのシアさまのせいで勝負にならないんですよね」
「それでなんでそういう結論になるんだよ」
「もちろん人見知りを直すためですよ~」
ほんわかした笑顔でルーテシアに話を振る。
「シアさまが苦手なのって、不特定多数の人間全般ですよね?」
「お……男だけよ。それもすぐに――」
「本当ですか~?」
「………………人間はみんな嫌いだもん」
おい、そっぽ向いてる場合か。
今すげえことカミングアウトしたぞこいつ!
「その人間たちに人気投票してもらうのに、ミスコンなんかよく引き受けたなお前!」
しかもあんなに堂々と。
「……ついかっとなってやった。反省はしてないわ」
「しろよ!! なに胸張って言ってんの!?」
「え……ここまでテンプレじゃないの?」
「…………お前が根っからのヒキコモリだってことがよくわかったわ」
なるほどパソコンも豪華になるな。
こっちの世界に来てなに見てきたんだこいつ。
「そんなわけで~」
こっちに来る前から主人の面倒を見てきた使用人が、にこやかに提案する。
「シアさまはいろいろな意味で外に出たほうがいいと思うんですよ~」
「…………」
反論は思いつかなかった。




