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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
鬼山家にて
95/223

 一緒に遊ぼうと飛び付いて来る彼女は、本当に楽しみに待っていたのだということを感じさせてくれる。

 口には出さないけれど、笑顔でいてくれる冬華ちゃんも、楽しみにしてくれていたのだろう。どうしよう。


 ①遊ぶ ②遊んであげる ③任せる


 ーここは①を選ぶのですー


 何をして遊ぶのが、これくらいの子たちは、楽しいのだろう。

 わからなくて首を傾げていると、可愛らしく冬華ちゃんが俺の手を握った。

「おままごと、一緒にしようよ」

「はるちゃんもおままごとしたーい!」

 小さく俺の手を引く冬華ちゃんと、元気に手を挙げる春香ちゃん。

 どうやら二人とも、おままごとをしたい、ということで意見は一致しているらしい。

 やはり女の子と言ったら、おままごとをしたいものなのだろうか。

 残念ながら幼い頃から俺はぼっちだったので、女の子と一緒に遊んだ経験なんて、認識し記憶している限りはない。

 おままごとなんて、参加したことがあるわけがない。どうしよう。


 ①同意 ②拒否 ③挑戦


 ーここは③になってしまうのですねー


 しかし二人がやりたいと言っているのだから、やるしかないのだろう。

 何事も挑戦あるのみだ。

 それに相手は幼稚園生と小学生。対する俺は高校生であり、コノちゃんだって着いている。雪乃さんも着いている、と信じている。

 ちょっと待って。遊び相手になるという話だったけれど、それは二人の、ってことで良いんだよね?

 雪乃さんのことだから、私の遊び相手にもなりなさいよ、くらいのことを言い出しそうで怖い。

「じゃあ、はるちゃんはママやるね」

「えー、ずるい。ママがいい」

「ずるくないもん。はるちゃんの方がお姉ちゃんだから、はるちゃんがママやるんだもん」

「うぅ、したら、ネコさんやる」

「わかった。ネコさんね」

 喧嘩になりそうだったので、仲裁に入ろうとしたのだが、二人の間できちんと解決したらしかった。

 役決めであろうと思われるのだが、ネコさんというのは、猫のことで良いのだろうか?

 よくわからないけれど、春香ちゃんはママ、冬華ちゃんはネコさんになったらしい。

 お姉ちゃんじゃなくて、妹である冬華ちゃんが譲るところが、らしいと言えばらしいところだ。

 本当に、四歳とは思えないほどしっかりしている。

 ひょっとしたら、下手したら、雪乃さんよりしっかりしているかもしれない、そう思えるほどだ。

「おじさんは何やるの? って、おじさんなんだから、近所におじさんに決まってるか。あはは」

 今度は俺の役を決めに来てくれた。

 と思ったら、なぜだか一人でノリツッコミのようなものを展開し、春香ちゃんは俺のもとを去ってしまった。

 このままだと、強制的に近所のおじさん役で確定してしまう。どうしよう。


 ①仕方がない ②反対 ③楽しそう


 ーここは②を選択致しますよー


 何役だって別に構わないが、近所のおじさんはさすがにちょっと……。

「待って。近所のおじさんじゃなくて、もう少しほかに、何かありませんかね?」

 そう判断をした俺は、通らないだろうとは思いつつも、春香ちゃんに異議を申し立てる。

 案の定、意味がわからない、というような顔をされる。

「あるわけないじゃん。だっておじさんだもん」

「おじさんじゃないよ、お兄ちゃんだよ。だって雪乃お姉ちゃんのおともだちだもん」

 春香ちゃんの説得は不可能なのか。あまりに当然のように言うので、そう思い諦め掛けていたそのとき、天使が舞い降りたのだった。

 ナイス! さすがは冬華ちゃんである。

 最初から彼女は、俺のことをお兄ちゃんと呼んでくれているし、春香ちゃんに対してもそう言ってくれるなんて。

 これで春香ちゃんも納得して、俺のことをお兄ちゃんと読んでくれるようになったら良いな。

 いや、妹属性が好きで、幼女にお兄ちゃんと呼ばせたい人だとか、そういうのじゃないよ?

 そうじゃなくて、おじさんをお兄ちゃんに直してもらいたい、それだけのこと。

 このままだと、ロリコン認定されかねなそうだったからね。危ない危ない。

「おじさんはおじさんなんだけどなぁ」

 ロリコンと思われるのは免れても、おじさんと呼ばれるのは辛い。

 冬華ちゃんに言われても、俺が若いとは認めたくないらしい。どうしよう。


 ①仕方がない ②説得する ③応援する


 ーここは③を選びましょうー


 しかし俺が説得に入っても、それはそれで、もう逆効果なんじゃないかと思える。

 つまりは俺の運命は、冬華ちゃんに託されたということである。

「そうですよね、俺はおじさんじゃなくて、お兄ちゃんですよね」

「うん、そうだよ。春香お姉ちゃん、ごめんなさいしないと駄目なの。お兄ちゃんのことおじさんって言ったら、ほんとにおじさんになっちゃって、春香お姉ちゃん食べられちゃうよっ!」

 謝って、お兄ちゃんに訂正しろと、そう言うところまでは良かったと思う。

 その先は少し残念だったかな。

 冬華ちゃんが持っている、おじさんのイメージが謎なんだけど。

「お兄ちゃんは優しいもん! おじさんじゃないんだよ!」

 うん、おじさんを否定してくれるのは、そりゃ嬉しいしありがたい。

 だけど別に、おじさんだからと言って、食べられはしないと思うし、優しいおじさんもいると思うよ?

 小さな女の子にとって、おじさんってそんなように映っているのかな。

 だとしたら、気を付けないといけないんだろうな。

 とにかくロリコンと思われることは、ないようにしていかないとだ。

「優しいけど、おじさんはおじさんだもん。ねえ、おじさん」

 嬉しいことに春香ちゃんは、俺のことを優しいと思ってくれているようだ。

 頑なにおじさんだと言い張って、そこを変えてくれる気は微塵もないようだけどさ。どうしよう。


 ①諦める ②諦めない ③進めよう


 ーここで遂に①を選んでしまいますー


 どう頑張ってもこの子は無理そうなので、やはり諦めるしかないようだった。

 話が進まないし、おままごともこれじゃあ始まらないし、そう思って二人を止めようとすると、さすが雪乃さんは二人の姉である。

 彼女が二人の頭を撫でたら、二人とも嬉しそうな笑顔になって、静かになったのである。

 あの手には魔法が掛かっているとしか思えないレベルだ。

「優しいおじさんってことで良いでしょ? だから近所のおじさんじゃなくて、近所の優しいおじさんにしてあげよう。春香も冬華もそれで良いわよね?」

「「うん」」

 雪乃さんの言葉に、二人とも素直に元気に返事をし、俺は近所の優しいおじさん役に決定してしまった。

 フォローしているようで、フォローしてくれていないのだよね。

 あの人は、俺が同級生だということを、わかっていておじさんだとか言っているのだろうか?

 傷付くなぁ、もう。

「隣で笑っているコノちゃんも、同罪だからね」

 おかしそうに腹を抱えている彼女に、そう言ってやれば、コノちゃんはペロッと可愛く舌を出す。

 そんな可愛いところ見せてくれても、許さないんだから。

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