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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
鬼山家にて
93/223

「本当に綺麗な人だよね。今日はちょうど部活もないし、彼女の家に行けるとなったら、コノも頑張らなくっちゃ」

 雪乃さんの去って行った方向を見て、笑顔でコノちゃんは呟いた。

 その様子から、コノちゃんも雪乃さんに惚れている、ということが伝わってくる。

 それはきっと俺が雪乃さんに抱いている感情と、同じようで違うようなもの。

 わかりそうで、わからないもの。どうしよう。


 ①同意 ②困る ③否定


 ーここは①を選ぶことが出来ますー


 そういえば、雪乃さんはどの部活動に入っているんだろう?

 俺は帰宅部だから、部活動とか考えていなかったけれど、コノちゃんの言葉に思う。

「だね。雪乃さんは別次元に綺麗な人だけど、一緒にいて話をしていると面白いし、コノちゃんもきっとすぐに仲良くなれると思うよ」

 彼女を相手に何を言っているんだ、と思う気持ちもある。

 しかし理解のあるコノちゃんだからこそ、俺は……そ、その…………好きになったんだ、と思う……。

「うん、絶対にあの美少女と仲良くなってみせるよ。二人で並んで歩いても、もはや引き立て役にもならないレベルの、桁違いな美少女っぷりだからね。微妙な美少女だと、引き立て役にされるから、それはそれで癪なんだもん」

 笑顔の発言じゃない気もするが、コノちゃんらしい。

「妬む気持ちさえ起こらないほどの美少女。その自宅だなんて、本気で楽しみ」


 随分とコノちゃんが楽しみにしていたようなので、雪乃さんには失礼かもしれないけれど、少しがっかりしてしまいはしないかと、俺は心配なくらいであった。

 放課後が訪れると、鼻歌交じりに荷物を手に取ったコノちゃん。どうしよう。


 ①微笑ましい ②楽しみ ③置いて行く


 ーここは②を選択致しますー


 コノちゃんを置いて、俺が一人で行ってしまったなら、雪乃さんの家を知らない彼女は、辿り着くことなど絶対に出来ないだろう。

 それならば、鼻歌を歌っている隙に、そっと一人で抜け出してしまおうか。

 そうとすら思ってしまうほどに、コノちゃんは楽しみにしているのがわかった。

 だけど別に雪乃さんは美少女ではあるけれど、高貴なイメージなんて特にないから、そこは大丈夫だろうか?

 変なことを心配するくらいなら、それで守り切れない嘘なんて吐くくらいなら、俺も同じように楽しみにした方がよっぽど良いよね。

「待ってくれている様子はないし、直接、彼女の家へ行ってしまって良いのかな?」

 教室の前でも待ってくれていないし、昇降口にもいないし、校門にもいてくれなかった。

 これより先にチャンスがあるとは思えないから、家を知っているんだからそのまま来いということだろう。

 通るかわからない学校外よりも、間違えなく通るであろう箇所で待っているのが当然のことだ。

「おじさん、おじさん、今日は遊びに来てくれるんでしょ? だからね、はるちゃんが迎えに来たの」

 記憶を辿って歩いていると、見知った小さな影が。

 今日はランドセルを背負っていないようなので、学校帰りではないようである。どうしよう。


 ①無視 ②紹介 ③一緒に


 ーとりあえずここも②を選びましょうー


 現役高校生である俺を、おじさん呼ばわりしてくる少女は、もちろん春香ちゃんである。

 コノちゃんと春香ちゃんとは、初対面になるのだから、両方の知り合いである俺が紹介をしておかないといけないだろう。

 あまりその感じはなかったけれど、雪乃さん曰く春香ちゃんは人見知りが激しいとのことらしいし。

 なんとかスタートから自然な会話? が出来ていたけれど、見るからにコノちゃんも人見知りをしているし。

 俺はどちらとも知り合いだから、緊張することはない、俺が紹介をするべきなのだろう。うん。

「迎えに来てくれたの? ありがとう、春香ちゃん。今日は彼女とも一緒なんだ、俺の同級生の子」

「え、おじさんのおともだちなの? よろしく、お姉ちゃん」

「彼女が前、話をしたでしょ、雪乃さんの妹の春香ちゃん。他にも彼女の兄弟はいっぱいいるんだけど、一番俺に懐いてくれているのが、春香ちゃんだよ」

「あぁ、この子が春香ちゃんね。堂本木葉です、宜しくお願いします」

 やはりどちらも人見知りしているようにも見えるけれど、二人が挨拶をする。

 俺がおじさんなのに、コノちゃんに対してはお姉ちゃんなところは少し、……いや、かなり気になるけどね! どうしよう。


 ①お兄さんに ②おばさんに ③別に良い


 ーここは①を選びますー


 この際だから、俺もはっきり言ってしまおう。

 おじさんと呼ばれる度に、地味に傷付いているんだから。

「ねえ春香ちゃん、このお姉ちゃん、俺と同い年なんだよね。あと、雪乃さんとも同い年」

 だから何とでも言うような、不思議そうな顔をされるけれど、俺はめげずに続ける。

「おじさんじゃなくて、俺もお兄さんだと思わない?」

「思わなーい!」

 元気に即否定されてしまう。

 どうして俺はお兄さんだと思ってもらえないんだろう。老けていると言われたこと、これまでにないんだけどなぁ。どうしよう。


 ①諦めない ②諦める ③助けを求める


 ーもうここで②を選んでしまうのですー


 思わないんだったら、仕方がないか。

 迷わず否定されてしまったら、もう諦めるしかなくなっちゃうよね……。

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