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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
初恋人
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 俺たち二人の共通の友人、山内聖さんである。

 共通の友人と言ったら出会ったきっかけみたいだよね、なんか。

 結婚式で絶対にスピーチをしてもらわなければいけない人だ。

 って、なんで結婚式のことなんて考えてんだよ、俺。

「何を真っ赤な顔をしているのです? まさか自分を見て興奮してしまったのではありませんか? もう、えっちな人」

 山内さんは何を言っているのだろう。

 彼のイメージとは遠く離れたような言葉だったが、それはそれで彼らしい感じもして、なんだか不思議なものである。

 まぁ深く掘り下げないで、そういった冗談で流してくれるのはありがたい。

 優しくて神対応の山内さんだから、俺の代わりに恥を被ってくれたのかもしれないし。どうしよう。


 ①肯定 ②否定 ③動揺


 ーここは①を選択するのですよー


 否定してしまって、図星を突かれたなら、それはひどく恥ずかしい。

 そのことを考えたら、せっかく山内さんが用意してくれた逃げ道へ、逃げないという選択肢はないだろう。

「はい、そうなんですよね。急に話し掛けられたもので、驚いてしまいましたから、興奮もしてしまったのでしょう」

 驚いてしまったから興奮してしまった、というのもよく意味がわからない。

 まぁ何にせよ、赤面するのを止められなかったときには、大人しく逃げ道へ逃げるに限る。

 結婚式の妄想なんてしていないし、ウエディング姿のコノちゃんの姿なんてもっと妄想していない。

 驚いてしまい、つい興奮してしまっただけ。

 って、興奮しただなんて、口走る必要あったか?

 驚いて興奮するくらいなら、驚いて赤面してしまった。で良かったのでは?

 自分は何を言ってしまったのだろう。取り返しのつかないことをしてしまった。

「まぁ、なんと破廉恥な。コノというものがありながら、他の女のことを考えているかと思えば、山内さんのことだったんだね。さっきのことも、ずっと山内さんのことを考えていたんだねっ」

「ちがっ、そうじゃ、……ないんだ。俺はコノちゃん一筋だ。あんな女のこと、考えていたわけがないじゃないか」

 コノちゃんが腐女子じゃなくて助かった。このノリで流してしまおう。

 赤面を察せられたのは良くないことだが、コノちゃんより先に山内さんが指摘してくれたのは、救いだったのかもしれないな。

「ひどいです。それでは、自分に囁いてくれた愛の言葉の数々は、全て……全て嘘だったというのですね……。本当に嬉しかったのに、なんでそんなことをするんですか? そんなひどいこと、どうして、どうして……」

 意味もなく修羅場を作り出されているのだが、どうしたら良いのだろう。

 救ってくれはするけれど、多少は遊ぶんだよね、山内さん。

 そりゃコノちゃんも楽しそうに話しているから、三人で遊んでいるに過ぎないんだけれど、なんだよこの修羅場ぁ。

 捌くのはかなり困難だと思われるね。どうしよう。


 ①諦める ②捌ききる ③ヘルプ


 ーなんとここでは②を選ぶのですよー


 でも良いだろう。受けて立つ!

 二人のボケを一人で捌ききろうじゃないか。それでこそ、プロというもの。

 実際にこんな修羅場を経験することになったとしても、ここでの体験はかなり役に立つことだろう。

 ……うん、この時点で意味不明だね。

「ここではっきりさせておきましょう。ね、山内さん」

「そうですね。堂本さんとの決着をつけるとき、遂に訪れたようです」

 怒っている風を装っているが、二人とも笑顔を消せていない。

 困っていようとする俺の方も、完全に笑顔を消せてはいないだろうけれどね。

 だって本当は、本当に楽しいのだから、仕方がないじゃないか。

 大嫌いな学校にいるとは思えないほど、この時間が楽しいんだから、仕方がないじゃないか。

「自分と」

「コノ」

「「どちらを選ぶのですか?」」

 今この瞬間で完璧に打ち合わせたのだろうか。

 タイミングはぴったりで、まるで何かのゲームのようだった。

 というよりも、どう考えても何かのゲームだろう? そんなセリフ。どうしよう。


 ①コノちゃん ②山内さん ③どちらも


 ーここは③なんですねー


 しかしゲームをプレイする前の、予告や宣伝によくあるセリフだ。

 大体は、だれを選ぶのか、という問いが出てそのまま終わってしまう。

 アニメ化されたときには、だれも選べないという選択肢を選ばれることが多い。

 それは実際にゲームをプレイする際に、全員を平等の立場にさせておくためだろう。

 だれがメインキャラクターだから。とか、そういったのは良くないもんね。

 みんなが主役さ。だから俺は。

「二人のうちのどちらかなんて、選べないよ……。どちらも、俺にとっては大切な人ですから」

 という、アニメ化パターンの選択肢を取るのだ。

 普通に考えたら、本当にこの修羅場にあるとしたら、許されない選択肢だろうね。これじゃあ、経験として駄目じゃないか。

 こんな修羅場に出くわすことなんて、一生ないだろうと思うけどね。

「キュン。大切な人だなんて、嬉しいです。一番になれなくても、その言葉は自分にとっての宝物です」

 自分の口でキュンと言ってしまうあたり、山内さんは最後までやりきったといえるだろう。さすがっす。

「ズッキューン。コノも、とても嬉しいな。そうやって言ってもらえるとは、思ってなかった。てっきり、コノちゃんだよ、って言ってくれると思ったから。どちらもという選択肢、大切という表現、とても嬉しいよ」

 更に上を狙おうとしたのか、コノちゃんはズッキューンだなんて。

 漫画の効果音ですらもはやほとんど見ないような言い方である。

 その後に続くセリフが、喜んでいないような気がするのも、ちょっと裏のあるキャラっぽくて良い。

 ……これじゃ、ただのアニメファンたちの集いだな。

 山内さんのアニオタ情報はないけれど、これだけノれたことを考えると、彼もそこそこ腕の立つアニオタなのだろうか。どうしよう。


 ①真意を確かめる ②きっとそうだ ③違うだろう


 ーここは①を選びましょうよー


 これは、真意を確かめなければいけないな。

 なぜだかあちらから話し掛けてくれるし、とても話が合うしで、すぐに打ち解け合うことが出来たけれど、その上でも共通の趣味というのはかなり大きいはず。

 コノちゃんとは、趣味の話が入り口なわけだしね。

「もしかして山内さんって、高レベルアニマーだったりするんですか?」

 どれだけ以心伝心なのだろう。俺がしようと思っていた質問をコノちゃんがしてくれた。

 考えることが同じなのだろうな。運命なのだろうな。

 っと、これ以上を考えると、また恥ずかしくなってきそうだからやめておこう。修羅場の第二劇は辛いからね。

「アニマーって、アニメを好きな人ということで良いんですよね? ちょっと、その言葉を知らないのですが」

 突然の質問だったためか、山内さんは戸惑い気味に返す。

「ええ、そうですよ。その言葉でしたら、知らなくて当然です。コノが今作りましたから。サーフィンがサーファーとなり、ゴルフがゴルファーとなるように、アニメもアニマーに変化するのではないかと思い、突然の思い付きでそのまま使ってしまっただけです」

「あっ、そうだったのですか。で、アニメですよね。残念ながらあまり見ないですけど、どうしてですか?」

 突然の思い付きで作り出した言葉をそのまま使うコノちゃんもコノちゃんなら、そうだったのですかで流してしまう山内さんも山内さんだな。

 それよりも普通に彼の答え。

 あまりアニメを見ないだと? 反対に考えれば、あまり見ないのに、これだけの設定を作り出せるということだ。

 先程の彼女の言葉を使うなら、アニマーの素質があるんじゃないかな。どうしよう。


 ①語る ②誘う ③諦める


 ーここで②を選ばずにどうしますー


 せっかくだから、山内さんにもこちら側に染まってもらわなければ。

 彼ならば絶対にアニメの魅力をわかってくれるはずだ。

 かなりどうでも良い、ストーリーには全く関係ないような回です。別に複線的なものも全くありません。

 そのはずなのに、普段よりもかなり長くなってしまいました……。


 伝えたかったのはこのことじゃないのですよ。

 なぜに滅多に書かない後書きを書いたのかと言いますと、次か次の次くらいからでしょうか。修学旅行編が始まります。

 修学旅行編がかなりの長編となるであろうことと、本格的な恋愛ものとなるであろうことを、報告というか伝えるというか自慢というか。そういうことです。

 もう、そういうことです。


 ここまで読んで下さっている方なのですから、わかって下さいますよね?

 拙作のために貴重な時間を割いて下さり、誠にありがとうございます。少しでも楽しい時間をお届け出来ていたら良いな、と思います。

 これからも宜しくお願い致します。

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