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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
修学旅行へ
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 これは、山内さんを断る理由なんてどこにもないな。

 どうやら堂本さんも彼のことを嫌がってはいないようで、彼女は既に彼を同じ班に組み込んでいる様子だし。

「俺みたいに余った人を、もう一人探し出せば、リア充に主導権を握られずに済むのではないでしょうか」

 山内さんは同じ班に決定したと考えて、俺はもう一人探し出す案を提案した。

「班は最大で六人です。どこかにもう一つ三人班があったとしたら、強制的にその班と組み合わせられることになり、最大人数な上に主導権を奪われる苦しい状況に陥ることになりますからね。油断は出来ませんよ。せめてコノたち三人でいればぼっち感は拭えるかもしれませんが、自由を分け与えられることはないでしょう」

 堂本さんのこの言葉は、俺の意見に賛成してくれているのだろうか。

 そして隣で強く頷いている山内さん。彼は賛成してくれていると考えて良いのだろう。

 満場一致、だな。とはいえ、もう一人を探し出す方法というのが何も出ていない。どうしよう。


 ①教室内を見渡す ②出陣 ③待機


 ーここは驚くことに②を選ぶのですー


 余りものは目立たないところに隠れているだろうから、それを探しに行くしかないだろう。

 急がなければ、続々と班は決まっていっているのだから、無理矢理な決め方をされてしまうかもしれない。

 早いもの勝ち制度が取り入れられているところもあるし、急ぐに越したことはない。

「考えている暇はありません。もう一人を、どこかから探してきましょう。リア充たちの班が決まるより先に、俺たちが班を成立させるのです。班が結成させるまでではありません。用紙を提出するまでが、俺たちの戦いなのでしょう。同じ班になろうと俺たちの中で決めたところで、リア充たちにとっては、そんなことは関係ないのですから」

 堂本さんも山内さんも嫌そう。俺だって嫌だ。

 だけれど、そうしなければいけないのだとしたら、俺は行動を起こしてみせる。

 今こそ、俺のコミュ力を発揮するとき! 恐れるな! 恐れるものなど何もない!

 修学旅行中の自由を手にするためだと思えば、恐れている時間すらない。

「そう、ですね。山内さんのように、いらっしゃって下さる方が、他にいるとも思えません。だとしたら、こちらから探すしかないのでしょうね」

 山内さんはまだ躊躇っている様子だけれど、堂本さんの言葉を聞いて、彼も覚悟を決めたらしい。

 班を決める話し合いが行われている中、一人だけ席に座ったまま、俯いてしまっている人を探し出すんだ。どうしよう。


 ①それぞれで ②一緒に ③順番に


 ーここは①となりましょうよー


 分担した方が、一度に多くの人へとアタックすることが出来る。

 それぞれでターゲットを見つけ、なんとか勧誘をするんだ。

 三人の中にたった一人、勧誘を成功させた人がいれば良い。

「それじゃあ、無理はしないで下さいね」

 堂本さんの言葉に頷くと、三人は一斉にばらばらの方向へと歩き出した。

 リア充たちならば、友だちが多いから班もすぐに決まるのだろうと思っていたが、そうでもないらしい。

 友だちが多いがゆえに、どのように班を分けたら良いのか悩んでいる。それか、仲良しのふりをしているだけで、なんとか別の班へ追いやろうとしている。もしかしたら、見えないところでグループ内苛めとかも行われているのかもしれない。

 勝手なイメージからそう言うことを、勝手に考えながらも、俺は一人離れた場所にいる人を探す。

 それがいない場合は、一人で真ん中に連れていかれている人というのも、選びどころだったりする。

 その人が逃げ出せない状況にある場合。その人が自ら望んで真ん中にいる場合。この二つの場合だと、物凄く恐ろしい事態に発展することがあるから、そう簡単に話し掛けることは許されないけどね。

 だってリア充の中心的な人を敵に回すことになってしまうのだから。

 わからないリア充間の人間関係に頭を悩ませながらも、最も我が班に入ってくれそうな雰囲気の人を探す。

 それとも、俺と堂本さん、山内さん以外に、そんな人はいないのだろうか……。

 そんな人というのは、ぼっちという意味じゃなくて、大人しいという意味で受け取ってくれるとありがたい。

 たった一人でも馬鹿みたいに騒げるような人は、リア充じゃなくても遠慮したいし。どうしよう。


 ①片っ端から ②なりふり構わず ③なんとしても探し出す


 ーここは③を選ばせて頂きますー


 丁度良く主張があって、なんとなく雰囲気が一致する。大人しい人を探したい。

 それとも、俺の注文が多いのだろうか。

 所詮非リアの残念系のくせに、調子に乗って人を選ぼうとしているのがいけないというのだろうか。

 俺は琴音さんや天沢さんと会話を交わすことにより、自分が特別だという勘違いをしてしまっている。

 自分に対してそう思えば、もっと注文を減らして広い気持ちで班員を探すことが出来るのだろう。

 まさか俺って、元から自意識過剰な何様男系だったりするの?

 友だちがいないのは、俺にそういった問題点があるからだったりするの?

「班員を連れて参りました。これで四人となり、一つの班を結成することが出来ますよ。誘ったというより、押し付けられたという方が相応しいような形で、彼女を誘うことになってしまいましたが」

 俺が一人で落ち込んでいるうちに、山内さんは任務を成功させてくれたらしい。

 結局だれのことも誘わないという提案しただけな使えなさのまま、俺は席に戻ることになってしまった。

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