表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
放課後の教室
43/223

 って、それはさすがにリア充に対する偏見がひどいかな。

 リア充だって、だれもがチャラいわけではないんだよね。どうしよう。


 ①チャラく ②真面目に ③自由に


 ーここは②となってしまうようですー


 自由気ままといえば聞こえはいいかもしれないが、自分勝手にしていたら、恋人どころか友だちだって出来ないだろう。

 出来たとしても、強引さに断りきれずやむなく付き合っている。みたいなものだ。

 そこまで忌まわしく思われ嫌われてしまうと、俺のメンタルが持たなくて一人だった頃の方がましだ、とか思ってしまう。

 これも偏見だということはわかっているのだけれど、リア充は遠慮という言葉を知らないと思う。

 だから俺は、遠慮を捨てて、内気な俺も一緒に捨てて、自由に欲望のままに生きてみるのも……。

 そういったことを思ってしまったのだ。

 しかしリア充だって当人たちなりに仮面を被っているのだろうから、自由なのも良くないのかなって。

 まあ、あれこれ考えた結果として、俺は真面目なんだなと思ったわけ。

 真面目なリア充がいないわけじゃないんだから、引かれない程度に空気を読みながら、真面目を極めていこうと思う。

 そんな俺の考えを知ってか知らずか、松尾さんは薄ら笑いを浮かべている。どうしよう。


 ①憤慨 ②微笑み ③無表情


 ーここでも②を選んでしまうのですー


 でも……、俺の言葉は、松尾さんにとって、笑ってしまうようなこと、だったんだろう。

 何人もの男を手玉に取ってきたのだから、当然ということになってしまうのだろうか。

 彼女だって相当モテているだろうに、天沢さんは決して、そんな表情を浮かべることなどなかった。

 人を比べるのは良くないことなのだろうが、雪乃さんほどの美貌の持ち主でも、こんな俺を軽蔑はしないでいてくれた。

 それどころか、頼ってまでくれた。

 それは、松尾さんが俺に頼るようなことはないから、なのだろうか。

 いいや。頼ることがないとしても、彼女は他人ひとを馬鹿にするような人に見えない。

 俺の思い違いだよな。ほら、彼女はどう見ても、優しく楽しげな笑みを浮かべている。

 さっきの薄ら笑いの面影がなさすぎて、虫酸が走るほどに……。

 この人は苦手なタイプだな。本気で無理だから、近付こうという意思があっても本能が避けてしまうほどだろう。

 だって明らかに裏がありそうじゃん。

 どんなに仲良くなったところで、裏では悪口を言っているんだ。そうに決まっている。どうしよう。


 ①避ける ②逃げる ③普通に ④仲良く


 ーここでは③を選びますー


 わざわざ避けたり逃げたりしたら、きっと目敏くそれを見つけて、処刑されてしまうことだろう。

 彼女が”だれだれに避けられているみたいなの”と言えば、ファンの皆様方がすぐにでも、そいつを殺すに決まっているからね。

 自分は手を汚すこともなく、気に入らない人は消し去ってしまうのだ。

 ああ、怖い怖い。

 それを考えると、あまり関わろうとしても危険が多いだろう。

 避けるとはいかなくとも、近付くような行為はせず、今までどおりを保っていけたら良いのだろう。

 今までファンの人に捕らえられた経験はない。

 つまりそれが正しい対応なんだ。

 普通に、今までと同じように、それなりの距離を取っていこう。

 松尾さんの方から話し掛けて下さったなら、ありがたくお話をさせて頂く。その程度がベストなんだ。

 そんな風に思うと、自然といつものような微笑みを浮かべることが出来ていた。

 仏頂面はNGだから。微笑んでさえいれば、そうそう嫌われはしないはずだから。

「遊びか~。ひどいこと言ってくれるね~。ワタシはわりと本気だったんだけどな~」

 本気なわけがあるか。

 心の中ではそう思いながらも、俺は微笑みを崩さないように努力する。どうしよう。


 ①遊び? ②ひどい? ③本気?


 ー意味がわかりませんが③で良いのでしょうかー


 しかしよくぞまあ、平気な顔をしてそんなことが言えるものだと思う。

 俺だって表情はかなり覆い被せて隠しているつもりだから、人のことを言えはしないかもしれない。

 そうかもしれないが、本気だなんて、本気な顔をして言うんだから。

 本気なわけがないくせに。人の心を弄ぶのがさぞ楽しいんだろうね。

「へえ、本気だったのですか。本気で俺と付き合いたいと言っているのなら、キスくらいは出来ますか?」

 負けず嫌いの自覚はなかった。だけど、松尾さんに遊ばれているのもなんだか悔しくて、俺はそんなことを言ってしまっていた。

 彼女を敵に回したら、リア充の夢なんて完全に途絶えてしまう。わかっているのに。

 外見だけで人気者となっている彼女を、妬ましく思ったというのもあるだろう。

 嫉妬なんて醜いと思っているし、俺らしくもない。そうは思う。

 ただ単純に、気に入らなかったということもあるのだろうか。

 告白なんてそう簡単に出来ることじゃない。軽い気持ちでして良いものじゃない。ゲームではなく現実世界なのだから、人の気持ちには、必ず傷付く人が生まれる。

 ストーリーも用意されていないモブキャラなんて、一人も存在しないはずなのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ