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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
放課後の教室
41/223

 何にしても、一度だけで良いから、マドンナたちを連れ歩いてみたいものだ。

 注目の的となること間違えなし。きっと妬み殺されるだろうが、それも構わないとすら思えるね。

「ふ~ん、上手だなぁ。マツリちゃんとのことは、遊びじゃないんだよね? 巧みな話術で騙しているとかじゃないんでしょ?」

 は、……は? はぁ? 何を言っているんだろうか。

 マツリちゃんというのは、花空祭さんのことを指しているのだと考えて良いのだろうか。

 しかし彼女とのこと、と言われてしまうと、ほとんど接点がなくて困る。

 同じクラスだから知ってはいるけれど、みたいな状態だ。決して親しくはないだろう。どうしよう。


 ①問う ②確認 ③肯定 ④否定


 ーここは①を選ぶとしましょうかー


 あまりにも身に覚えがないことなので、もしかしたら花空さんのことではないのかもしれない。

 問題点としては、彼女以外にマツリちゃんと呼ばれそうな人を、一人も知らないということである。

 特殊な呼び名として、本名とは関係なくそう呼んでいるのかもしれないと、松尾さんに訊くことにする。

「えっと、なんのことでしょうか。マツリちゃんというのがまずどなたなのか……」

「同じクラスでしょ? 花空祭。ファンとして、男女交際しているんだって聞いたんだけど?」

 即答である。

 常識かのように、さらっと即答されてしまった。

 まずマツリちゃんが俺の思う人と一致した。のだが、関係性が全く一致していないので、別人なのだろうと思う。

 そもそも、松尾さんが思っている相手は俺ではないのだろうと思う。

 人違いなのだとしたら、教えてあげないといけない。どうしよう。


 ①正直に ②恋人のふり ③疑問が


 ーここは③になってしまうのですー


 それは多分、俺のことではない。彼女が勘違いしているようなので、教えてあげようと思った。

 しかしそれ以上に、疑問ばかりが湧いて出て、俺は言うタイミングを失ってしまった。

「ファンとして、男女交際? その言葉自体、少々理解に苦しいのですが」

 そんなことを言いながら、数少ない花空さんとの会話を思い起こす。

 ファンサービスとか言っていたような気もしないでもない。一人で騒いでいる苦手なタイプだけれど、クズを軽蔑するタイプではないと思ったから、たまには悪くないかと彼女に声を掛けた。

 今思えば、堂本さんという友だちが出来たことにより、随分と調子に乗っていたものだ。

 いやいやでもでも、他に彼女との接点はなかったはず。

「じゃあ本当は、マツリちゃんを弄んだだけだというのなら、本当の彼女って?」

 俺は、彼女にひどい誤解をされているのではないだろうか。

 弄んだ覚えなどないし、彼女なんて出来た記憶もない。どうしよう。


 ①正直に ②戸惑う ③嘘を


 ーここは①を選べますー


 相当、俺に対して真逆のイメージを持っているようだから、それをなんとか正さないといけなそうだ。

 正直なことを言えば、憐れまれるかもしれないが、誤解をされることはなくなるだろう。

「花空さんとは、クラスが決まったあの日、少し言葉を交わしたくらいです。それ以来、一言の挨拶すら交わせていません。同じクラスでご覧になっていたならば、交際などしていないのは、明白だったと俺は思うのですが、どうしてそう思われたのでしょう」

 丁寧な言葉を選びながら、最も不思議な点を松尾さんに問い掛けた。

 何が俺と花空さんが交際しているなどという、とんでもない誤解を生んでしまったのか。

 そういったスキャンダルとは全くの無縁で生きてきたから、嘘の噂ではあるのだけれど、喜びも感じてしまっているんだけどね。

「だってそれは、マツリちゃん本人から聞いたんだもの。キミとマツリちゃんとが、好き合っているんだって」

 ほ、本人ですと?

 俺はこの美少女に遊ばれているのだろうか。今こそ俺が、弄ばれているのだといえるのではないだろうか。

 本人が嘘の噂を流すなんて、それじゃあるで、そのことを望んでいるようではないか。

 松尾さんの言うことが本当ならば、花空さんは俺のことが好きだということになる。

 あ、あぁ。う、嘘に決まっている。怪しいも嘘は早く掻き消さなければいけない。でもどうして、松尾さんがそんな嘘を言う必要があるのだろう。

 嘘なんて言いそうにないし、やっぱり本当のことなのだろうか。どうしよう。


 ①本当だ ②嘘だ ③確認を


 ーここは③となりましょうー


 どちらなのだろうか。

 俺に覚えがないのだから、本当とは考えられない。しかし松尾さんの目を見ていると、どうも、嘘とは断定出来ない。

 花空さんは、何を思ってそんなことを言ったのだろうか。

 突然、仲が良いわけでもない、同じクラスの女子に声を掛けるなんて。その上、内容も内容なわけだし。

 かなり俺にはきついことだけれど、変な誤解があるままだと更に困るだろうから。

 お互いのためにも、今のうちに勇気を出して、どういうことなのか確認しておくとしよう。

 明日にでも明後日にでも、心の準備が整ったなら、チャンスが訪れたのなら、出来るだけ早く確認しよう。

「本人が言うんだから間違えないだろうな~って思って、でも学校でそんな様子はなかったから、内緒にして外でイチャイチャしているのかな~なんて」

 なるほどね。意味がわからないや。

 この話はきっと、花空さんがいない限り纏まらないだろう。

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