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学校での天沢さんは、完璧という設定なのだから、変態ゲーマーであることは隠さないといけない。
だから彼女としても、そうせざるを得なかったのだろう。どうしよう。
①咎める ②恍ける ③頷く
ーここも③を選ぶようですよー
余計なことを言ったら、天沢さんを困らせてしまうから、俺は頷くことで肯定の意を示した。
「放課後、校門を出たところで待っていて下さい。六時半までに行けるようにします」
困っている俺を見て満足そうに笑うと、天沢さんはそう告げて去っていってしまう。
六時半か……。部活動に入っていない俺にとっては、かなり遅い時間だし待っているにはかなり辛いし、でも天沢さんは待っていろと言っているし。
どうしたら良いのだろうか。
校門を出たところでずっと待っているなんて、怪しまれはしないだろうか。
春香ちゃんのように、俺のことをおじさんだと思う人だっている。
おじさんだと思われたならもう、高校の校門に立ち続けている怪しい人でしかない。
不審者として、通報されるかもしれない。
もう少し時間を早く、と思うけれど天沢さんにだって都合はあるんだろうし。どうしよう。
①もっと早い時間 ②もっと遅い時間 ③要求を飲む
ーここも③となりますー
俺よりも忙しい天沢さんなのだから、今日の六時半以降しか時間が開いていなかったのだろう。
だとしたら、俺は天沢さんに従うしかないのか。
彼女がドS好きだとはわかっていても、俺がそんな態度を取っても、腹を立てさせて終わりだろうからね。
もう天沢さんはいなくなっているし、探し出して時間を変えさせるなんて無理だし。
うん。天沢さんに会えるのだと考えたら、あの美女と待ち合わせているのだと考えたら、一人で待つ二時間も長いものじゃない。
全然、全く孤独なんかじゃないし。寂しくなんかならないし。
だって天沢さんとデートをするんだから、それくらいの代償は当然だよね。
どうせ六時半まで天沢さんがこないのなら、すぐに教室を出て行く必要もあるまい。
教室で勉強でもしていれば、ときどきゲームでもやっていれば、あっという間に時間なんて経ってしまうだろう。
そう思って、教室に残って勉強をし始めた。
提出物もきちんと期限通りに、完璧の状態で提出したし、この感じでいったらかなり成績が良くなっちゃうんじゃないかな!
調子に乗らないで、次のテストも頑張らないとだもんね。
「教室で一人お勉強なんて、真面目だね~」
声を掛けられたので、驚愕してそちらを見る。確認してみれば、時刻は五時十分。
待ち合わせまではまだ結構の時間がある。どうしよう。
①無視 ②困る ③笑う
ーここは②でしょうかー
俺に話し掛けてくれたのは、松尾クリスさんである。
同じクラスではあるのだけれど、同じ空間にいるとは思えないほどに、いつも輝く存在である、クラスのマドンナ的な美少女だ。
彼女がどれだけ人気であり、ファンも数多くいるということくらいはさすがの俺も知っている。
輝きが眩しすぎてあまりまっすぐは見られないけれど、可愛らしいなぁ、とは思う。
ハーフか何かなのか、ヨーロッパ系の顔立ちが、美しいその存在感を示す。
大きくて丸い目はぱっちり二重、瞳の色は透き通ったパステルブルー。その周りを縁取る睫毛は長く、人形のようだ。高い鼻も、日本人離れしたその容貌によく合っている。
唇は薄く整った形をしていて、ここで和を象徴するかのような、美しい桜の色をしているのだ。
肌は白く、触れてみたいと、あるいは展示しておきたいと思うような美しさ。
髪はふわりと柔らかそうで、少しカールの掛かった金髪。前髪は眉毛に掛かる長さ、後ろ髪は肩甲骨くらいまでの長さだろうか。
スタイルは幼気な彼女の顔に合った、そこそこの幼児体型。
とはいっても、完全に真っ平らなわけではなく、そこそこの幼児体型なのである。
身長は見た感じだけれど、百六十に届かないくらいではないだろうか。
男性ものの学園恋愛ゲームをプレイしていると、必ず一人はいる典型的な金髪の美少女。いいや、ゲームではなくてアニメにも、一人はいるタイプの美少女だろう。
それも、可愛い系ね。
金髪の女性には、巨乳美女と、ロリ美少女があるから。
綺麗系ではなく可愛い系の金髪美少女。それでも大人っぽい美しさがどこかにあるような気がするから、男子生徒たちを魅了するんだろうね。
本当に可愛らしい子だから、ファンになる気持ちもよくわかる。
別世界に住んでいるかのような可愛らしさだから、彼女にしたいとは思うこともなく、アイドル的に見てファンとして応援していきたいのだろう。
そんな存在の彼女に、声を掛けられてしまっても俺は困ることしか出来まいよ。どうしよう。
①逃げる ②話す ③追い返す
ーここも②を選びましょうー
彼女が時間を許すならば、彼女との会話を楽しみたい。
たった一度で良いから、彼女と会話を交わしたいと思っていたんだ。会話とは呼べないような、そう、それはたとえ挨拶だとしても構わないから、一度だけね。
だってこんないかにもな美少女、中々いないからね?




