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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
天沢美海 後編
222/223

 お久しぶりです。お久しぶりにもほどがあるって話ですよね。

 受験期よりも更新が少なくなるなんて大事件を発生させて申し訳ございませんでした。

 九月より、完全復帰を果たしました!!

 どうして俺はこんなにも天沢さんに悲しそうな顔をさせてしまっているのだろうか。こんなにも悲しそうな笑顔をさせてしまっているのだろうか。どうしよう。


 ①終わりにする ②諦める ③コーヒーを飲む


 ーここでもう①を選ぶのですー


 天沢さんにも雪乃さんにも何も言えない俺は、やはりこんな場を作ってしまったことは間違っていたのだと思って、逃げという解決策を提案することしかできないのだ。

 このまま雪乃さんに任せていれば話は進むのだろうけれど、決着がつくまでの間にどれだけ天沢さんを傷付けることになるのだろう。

 それで俺が天沢さんに嫌われるのは自業自得だがそれだって耐えられないくらい嫌だし、きっと俺のことを嫌いになったからといって、天沢さんが傷付いたままになってしまうだろうことが嫌だった。

 もしかしたら俺が天沢さんを理解している気になってしまっているだけで、本当の天沢さんはそんなことを気にするような人ではないのかもしれない。

 それでもたぶん天沢さんは気にしてくれてしまうだろうと思うから、雪乃さんを連れてくるべきではなかった。

「恋人候補はたくさんいるから、恋人になりたいってことならばお断り、縁も切るって、そういうこと? そういう目で見ているところがあるなら、友人としてだってやっていけないって、そう言いたいの?」

「縁を切るなんて、そんなこと言っていないではありませんか。私は、私はただ……ゲーム仲間でいてもらいたかったんです。それがそんなに悪いことですか?」

 天沢さんの声が震えていくほど、彼女の笑顔は完璧なものになっていく。

 その輪に加われない俺だから中々見かけないけれど、学校にいるときの天沢さんはこんな笑顔を振り撒いているイメージだ。女神のように、美しい。

 今年に入ってわかった、きっと勘違いしやすい俺なのだから、天沢さんが美女だからというわけではないのだと思う。

 彼女の外見の問題ではなくて、女子と一緒にいて話をしてとしていられたら、そのうち好きになってしまうというものだ。

「天沢さんにとって男子生徒と付き合いがあることは普通のことなのかもしれませんが、俺にとって女子生徒と仲良くするということはそうあることじゃないんです。一大事なんです。だから、いつの間にか自分の気持ちがわからなくなっていってしまったんだと思います。……ごめんなさい」

 何かを言おうとしていた雪乃さんを遮って、元凶でありながら強制終了させようと俺は謝った。

「なんですか、それ。意味わかんない、意味わからないじゃないですか。じゃあ結局、今までと同じように接してくれるということですか。そうだとしても、ただ私の言いなりになるのが嫌で、代理として気持ちをこれ以上ないくらい言わせたんですね。それもわざわざこんなに可愛い子を使って……っ!」

 悔しそうに唇を噛み、それから天沢さんは完璧な笑顔を作り直した。

 こうして雪乃さんに向かって笑顔だけを向けようとしているところを見ると、どれだけ俺を信じてくれて天沢さんが悪ふざけをしていてくれたのかがわかる。どうしよう。


 ①謝り続ける ②店を出る ③俯いている


 ーここは③で構わないんじゃないですかねー


 この状況で何を言ったら、なんて考えるだけでも間違っているんだと思う。何を言っても駄目に決まっているから。

 この状況を作ったのは俺ではなく雪乃さんだと、雪乃さんのせいにしてまた黙って俯いてしまうことしか俺には出来なかった。

「じゃあさ、代わりに私が彼女になるってのはどう? だって恋人になりたいのに友だちとしてって言われても難しいでしょ? でも別に彼女がいたらそういうような気持ちになるはずがないじゃない。ねえ、悪くないとは思わない?」

「は?」

 唐突に思いがけない提案を雪乃さんがする。

 顔を上げられなかった俺も思わず雪乃さんの方をまっすぐ見て驚きに目を見開いてしまった。

「ふふ、随分な策士じゃありませんか」

 響いたのは天沢さんの低い声だった。

 驚きの顔のまま天沢さんの方へと向けると、作られた笑顔を貼り付けるのではなく彼女は心から意地の悪そうな笑みを浮かべていた。

「わざわざ会いたがるなんておかしな話ですもんね。そうですか、そういうわけですか」

 天沢さんは本当に悪い顔をしていた。そして雪乃さんはなぜかその表情を真似しようとしているようだった。

「待ってください。雪乃さん、説明をお願い出来ますか?」

 完全に天沢さんの中では結論付けられているようであるし、問題の雪乃さんも完結しているような感じを出しているものだから、俺が尋ねるしかなかった。

 これは天沢さんからしたら俺がかなり鈍感であるように映っていることだろうが、雪乃さんのことだから話をよく聞いたら全く違うことを言っていたという可能性もある。聞かないわけにはいかなかった。

「普通、彼女って一人じゃないの。だからあんたが彼女がほしくて、それでもその人が嫌だっていうんだったら、私があんたの彼女になるしかないじゃない。それで万事解決でしょ?」

 改めて聞いたけれど、改めて意味がわからなかった。どうしよう。


 ①混乱する ②聞き続ける ③要するに


 ーここも③を選ばなければなりませんよー


 何をしても意味がわかる気がしないけれど、とりあえず彼女の言葉を俺なりに解釈して確認するしかない。

 雪乃さんが悪い提案をしているわけではないのは間違いないだろうから、少しずつ彼女が言おうとしてくれていることに近付いていくしかないだろう。

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