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パーフェクト美女であるのに、一緒にいて面白さの方が勝ってしまうのはどうしてなのだろうね。
「早速、ゲームをするとしましょうよ! ちょっとずつゲーム好きの断片は見せていると思うんですけど、天下の天沢美海がゲーマーだなんて知っている人は学校にはいません。興味があるんだよねって言っても、しょうもないようなゲームを勧めて来るのが大概で、ああゲーマーなんてくそキモいは、ヲタクなんて消え果てろって、そんなことばっかりだったんです。だから一緒にゲームが出来るってことが、とっても嬉しいんです!」
ハイテンションなのは演技ではなくて、本当に天沢さんはテンションが高いのだということだろうね。どうしよう。
①ゲーム ②揶揄う ③勉強
-これなら①で十分なのでしょうー
これだけゲームをやりたがっているのだから、ゲームをやるしかない。
天沢さんは大学に進学しないのか。受験生なのではないのか。夏休み、ゲームばかりやっていて良いのか。
ちょっと気になるところだけれど、俺が心配するようなところでもない。
遊び回って忙しくしている天沢さんでも彼女の成績が悪いはずがない。
「それじゃあ何をするとしましょうか。やっぱり通信が出来る奴ですよね。うーんと、同じものを持っていますかね。一応、一台で大人数いける奴もありますけれど、大人数でやったことがないから楽しいのかどうかはわかりません。一人でやっている分には、やり込みゲーという認識でしかありませんし」
天沢さんが作ってくれたスペースに腰を下ろして、ゲームソフトを並べながら言う。
「あっこれ、私は持っていません!」
「じゃあなんでわざわざ言ったのですか。持っているのを言うのならわかるけど持っていないんだったら」
「まあまあ、やってみたいんで貸してくださいな。流行りましたよね」
「みんなが持っていて、一緒にやっているような噂を聞きながら、家で一人でやっていましたよ」
「寂しいこと言うなや!」
テンションが高いのはわかるけれど、天沢さんのボケの勢いもツッコミの勢いもすごい。
「本体は持っているんですよね? じゃあちょっと待っててくださいね。通信でやりましょうか」
俺が準備を始めると、天沢さんも部屋を荒らしてゲームを発掘する。
「ほんじゃやりまひょか! と思ったら、どうなっているんです。どうやったら入れるんですか。通信なんてやったことないし、一緒にゲームやる友人なんていませんもん!」
「だったら寂しいこと言うなやはブーメランじゃないですか。というかちょっと待ってください。まだです、こっちがまだなんです」
俺が招待をした瞬間に天沢さんが入って来た。
お互いにこの手のゲームを複数人でプレイすることは初めてだということだが、さてさてどうだろう。
格ゲーなら俺はオンラインで対戦経験あるけれど、リアルにリアルの人間と、本当に近くでやらないと通信になってくれないようなゲームは、俺に経験あるわけがない。
だれとも会話をしないと言うほど尖ってはいないし虐められていたわけではないけれど、学校以外で会うほど仲の良い人はいない。
小一からずっと、メンバーが変わっているはずなのにずっとその姿勢で来ている俺だ。
一緒にゲーム? とんでもない。だから今もそれなりに緊張を……。どうしよう。
①手を洗う ②手を拭く ③手を吹く
-ここは②で良いでしょうよー
天沢さんが美人なのはずっとそうだし、天沢さんと一緒にいられることも、はい今更ってところでもある。
自然に話せるようにもなっているはずだ。
ゲームをやるのもいつものこと。話をするのも珍しくない。
それじゃあ俺は何にここまで緊張をしているのだろう。
ハンカチでて汗を拭う。
「あっ、待ってズルい。そっちがハンカチなんじゃ、私はタオル持って来ますね」
謎の理由で天沢さんは走り去って行く。
そして真っ白のタオルを持って来て手足、顔まで拭き始めた。
「暑いよ馬鹿、馬鹿じゃないんですかね。地球はクレイジーなんですかね」
緊張して俺は手汗を拭いたのだが、天沢さんは普通に暑くて汗を拭いたらしい。
この真夏の暑さで、このテンションによる熱気なのだから、この室内は暑いなんてものじゃない。暑いなんてレベルじゃない。
ゲームを始めたらもっと熱くなるのだろう。
「俺らの熱さで地球を冷やしちゃいましょう」
「ええそうですね。って、どないやねん!」
意味のわからないことを言った自覚はあったが、更に意味のわからないツッコミで越えて来るとは思わなかった。
え、どないやねんってどゆこと? どういうことなの?
絶対に使い方が間違っている気しかしないんだけれど。
「とりあえずゲームを始めますよ」
首を傾げている俺を無視して、ゲームソフトが入っていない方のくせして、天沢さんはゲームをスタートしている。どうしよう。
①主導権を取り戻す ②ガチゲーマー化 ③笑う
-ここも②を選ばないというわけにはいきませんー
ゲームのこととなると、どうしたって手は抜けないしふざけられない。
人とゲームをやるなんてことはなかったから自分でも知らなかったけれど、ゲーマーとして、ゲームに対して失礼なことは出来ない!




