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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
二日目
20/223

「……はあ」

 俺の楽しみにしていた、期待していたあの気持ちを返して欲しい。

 そもそも去年から銭湯は使っていたけれど、あの美女に遭遇したのは初めてじゃないか。昨日は偶然、運が良かったってだけ。

 何を調子に乗っていたんだろうか。

 そうだよ! 会えなかったんだよ! どうしよう。


 ①諦める ②もう一回行く ③待ち伏せする


 ー①にして下さいー


 でもだからって、会うためにそこにいるとか、ただのストーカーになっちゃうもんね。

 あくまでも俺は彼女を作りたいのであって、それを転じさせストーカーになりたい訳じゃない。

 好きとストーカーの境界は、ちゃんと弁えているつもりである。

 潔く諦めよう。

 それに、偶然だったからこそ、下心も何もなかったからこそ、昨日はそれなりに接点を持てたんだと思う。

 本当は今日の朝、話し掛けていったことも嫌がっていたのかも。

 彼女は美人だから言い寄られた経験とか沢山あるだろうし、そういうのは嫌いなのかもしれない。

 恋愛マスターになれるのはゲームの中だけだから、現実では、こういうときにどうしたら良いのかなんてわからないよ。

 多分、押し過ぎるのは駄目だよね。

 そう思ってあの美女のことは一旦忘れることにした。どうしよう。


 ①勉強 ②運動 ③ゲーム ④食事 ⑤寝る


 ーここも①といきましょうかー


 勉強をしていれば、そちらに意識が傾くから大丈夫だろう。

 何をするにもあの人のことが頭から離れなくて。なんて、一途な純愛は謳っていない。そんなことを言えるほど、彼女のことを知りもしないし。

 完全に浮かれモードな頭をリセットして、勉強に集中する。

 今日から普通に授業が始まって、既に置いて行かれつつある。

 リア充になりたいだとか、堂本さんのことだとか、授業中に考えていたことが主な原因だろう。

 勉強に集中することが出来ない訳ではないのだが、授業に集中するのは苦手なんだから不思議だ。

 そんなことを思っているうちに、復習も予習も終わってしまっていた。

 あれ、意外と悩まずにスムーズな感じに出来ちゃったな。

 時間としても、寝るにはまだ早いくらいだ。どうしよう。


 ①運動 ②ゲーム ③食事 ④寝る


 ーここで②を選ぶんですねー


 時間がある。ということは、ゲームをするということである。

 やることはやったんだから、だれに咎められる謂れもない。

 俺のことは構うなよ。俺がゲームしてようとなんだろうと、お前には関係ないだろ? 死ね。

 なんて、反抗期真っ盛りみたいなことは言わない。

 やるべきことを済ませてからゲームをする、俺は良い子なのさ。

 だから、彼女を募集しています。

 一人でそこまで考えてから、一人暮らし独特の寂しさを味わう。

 ゲームは決して、それを紛らすためにやる訳ではない。ゲームは現実逃避ではなく、素晴らしいものなのだ。

 そう思おうとするけれど、どうしても寂しさを感じてしまって。どうしよう。


 ①運動 ②食事 ③寝る


 ーここではもう③を選ぶのですー


 まあ夢中にならずに終わりにしたから、時間としても丁度良いくらいだよね。

 ポジティブな思考を持とうと決めたからには、そう考えることにして俺はゲームを片す。

 そして歯を磨いてそのまま眠りについた。


 これでやっと二日目までが終了したことになります。

 攻略対象となっている全員とは言わなくとも、この二日間でかなり多くのヒロインたちと、出会うことが出来たのではないでしょうか。

 これからハーレム完成へと向けて頑張らないといけませんね。くっくっくっく。


 翌日、目を覚ました午前七時。売り物にならない野菜や余ったものではあるが、一日を過ごすのに十分な食料だ。

 規則正しい生活を心掛けるということで、もちろん遅刻間際の登校なんてしない。

 そもそも、早寝早起き朝ごはんは基本である。

 去年までの俺とはおさらばして、全くの別人に生まれ変わるのだ。その為には、それくらいの努力は当然だよね。

 自分を変えようと決意して、高校二年生を迎えた。そこからまだ一週間も経たないというのに、世界はこんなにも輝きに満ちているのだ。周りにはこんなにも美女が溢れているのだ。今はいないけど。

 それだったら、頑張れる気がするし、頑張るしかないって思う。

 その幸運がいつまでも続くはずもなく、それからは今までの俺と変わらない感じになってたんだけどね。

 八百屋赤羽に赤羽琴音という女神が降臨することは、滅多にないのだと気付いたし。

 銭湯の美女とも、天沢さんともあれ以来一度も会っていない。

 変わったところといえば、堂本さんという友人と日々を過ごせているということだ。

 俺にとっては、それも大きな成長だよね。


 多くを望み過ぎていた。そう諦めていたところに、俺を試しているような、悪戯なチャンスが与えられた。

 もう四月も下旬。早めの登校にも慣れてきた頃。

 教室に入ると、すぐに違和感を覚えた。

 それがどこから発せられるものかと思えば、なんと教室に先生がいるではないか。

 一見するとそれは普通のことに感じられるが、我がクラスの担任である撫川先生は、登校完了を告げるチャイムが鳴り終わってから教室に入ってくる。

 生徒だったら遅刻になるような時間にやってくるのだ。

 それなのに、今日は少しどころではなく早い。どうしよう。


 ①様子を窺う ②怪しむ ③偶然だろう


 ーここは②を選びましょうー


 偶然だとは思えなかった。一分二分じゃない、三十分も早いのだから。

 何か理由がなければ、ここまで早い時間にわざわざ来たりしないだろう。時間があるなら職員室でコーヒーでも啜っていれば良い。

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