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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
七月のクリスマス
191/223

 中途半端に俺がイケメンだったなら、一緒に歩いていることで交際しているような勘違いも生まれたのだろう。

 校内トップクラスの美少女と休日一緒に買い物に行くというのに、付き合っていると揶揄われることもありそうにないとは、嬉しいような悲しいような。

 見つかってもそれなら尚のこと悲しい。どうしよう。


 ①付き合う ②デート ③交際


 -どれが良いのでしょう、①ですかねー


 不釣り合いであるおかげで、嫉妬を買うことすらないというのだろうか。

 神様と一緒にいる機会があるのに、明らかにだれがどう見たとしてもそのだれよりも俺が劣っているものだから、その機会を妬まれることすらないのだ。

 悪いことではないのだけれどもなんかどうにも悲しいんだよね。

 不思議なことだね~。

「それじゃあ、いっそのこと付き合っちゃう? どこまで行ったら疑われるのか、なんて」

 冗談だよってすぐに笑うつもりだった。

「楽しそうだね~、賛成! どこまで行ったら、ワタシとキミの不釣り合いすぎる信じられないカップルの存在を疑われるか。それと、どこまで行ったら、キミが本気でワタシのことを好きになるか。二つの実験だよ~」

 気持ち悪いと言われるくらいの覚悟はあったけれど、どうせ彼女ならば笑い飛ばしてくれるだろうという油断があったのだけれど、意外なことにひどく乗り気だった。

 勝手に実験を二つにされてしまっている。

 たぶん、キスシーンを捉えらえるとかでもしない限り、俺と神様の不釣り合いはだれも信じようとしないだろう。

 俺の方から自首したとしても、わかりやすい嘘だと笑われよう。

 しかし神様が付け足した実験、俺が本気で神様のことを好きになるところ、そんなものはすぐそこだ。

 それを本気というかはわからないけれど、少なくとも俺の意思の上ではそこに本気の好きが芽生えてしまう。

 神様の美少女さと俺の防御力の低さを考えたら、考えなくてもわかることだ。どうしよう。


 ①冗談 ②本気 ③面白い


 -主人公も主人公で③を選びますー


 ただ、そんなゲームで偽物が本気になったならどれだけ幸せなことだろうと、そういった下心があった。

 それに、ちょっとその実験は面白いとも思った。

 だれとだれが付き合っているだとか、だれとだれが別れただとか、絶え間なくクラス内で流れている恋愛の噂。しょうもない噂。

 その話題に俺が上がることはなかったし、その話題に俺が入ることもなかったけれど、そんな俺がスキャンダルの中心に君臨するかもしれないのだ。

 もちろん、良いことではないのだけれど、慣れないことへの興味と言ったら良いのだろうか。

 人気者みたいで、ちょっとした憧れはあった。

「あともう一つだけ、ワタシたちの関係が噂されることよりも、キミがワタシを本気で好きになることよりも、もっともっとありえない選択肢を足すね~。どこまで行ったら、ワタシはキミのことが好きになるかな。このワタシが、本当の恋っていうのを知ることになるのかな~」

 それは確かにありえない可能性だった。

 あれだけいろいろな男子にチヤホヤされることに慣れていて、自分は可愛いのだからそれも当然だと考え男子を見下すような神様が、俺みたいな男に恋をするなんて。

 何がどうなって、どう転んだとしてもありえない可能性だ。どうしよう。


 ①好きにさせる ②好きになる ③噂される


 -ここで選ぶのは①だそうですねー


 俺のことを彼女が好きになることはありえない。

 だから俺と彼女が付き合っているような噂が立つこともありえない。明らかに不釣り合いだということを、周囲も知っているであろうから当然だ。

 その二つがありえそうにないことであるのに、俺が彼女のことを好きになるというのは当然に、簡単に起こってしまうものだ。

 なんてものを同列に並べてくれているのだろう。

「俺と付き合い始めたこと、後悔するようになるくらいに好きで好きで堪らない状態にさせてやるから。叶いそうにもないことだから、叶えるよ」

 わかりそうで意味不明な俺の発言を神様は笑った。

「あんまりにキミがどうしょうもなくって、噂を発たせようって実験にもならなくって、何をさせられてるんだって周囲に笑われるくらいになったら、キミと付き合ったことを後悔することになるかもね~。だけどそれはあったって、好きで好きで堪んないだとか、それはさすがに間違ったってないでしょ」

 相変わらずだから神様らしいことではあるが、はっきり言ってくれる。

 気を遣うようなことがあれば、ましてそれが上手ければ、明らかに神様としてはおかしなことだ。

 彼女の語る後悔パターンが不思議な話でもないことがまた怖い。

「も一回言うけど、このワタシが、だよ? まさか恋に落ちるなんて、できるものならやってみろって感じだよね~」

「できそうにはないけどやってみるよ」

 いかにも余裕そうなのが悔しくもあったが、神様が可愛いのは紛れもない事実なのがズルいんだって、本当にズルいって!

 こう返すことしかできないじゃん。どうしよう。


 ①手始めに ②緊張する ③撤回する


 -ここは②を選択しますー


 考えていて緊張してきた。

 勢いとはいえ、あの松尾さんと付き合っているなんて……。

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