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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
七月のクリスマス
184/223

 ゲームを取りに戻るだけじゃなくて、他にも生活に必要はものを持ってこなければならないだろうから、荷物は結構なものになるだろう。

 待てよ、天沢さん。いないうちに取ってこいとは言われても、鍵は持っていないよな。

 あの人はどういうつもりなのだろうか。どうしよう。


 ①開けっ放し ②尋ねる ③探す ④考える


 -ここは④を選びましょうかー


 何も言っていなかったが、普段から開けっ放しということなのか?

 失礼だがこんな家だし、泥棒が標的にしようとは思わなそうではあるけれど、無防備にも限度があるだろう。

 防犯意識どうなってんだ状態になる。

 ただでさえ、俺みたいなのを自宅に平気で上げて、それどころか眠るだとか家に一人残して出掛けるだとか、そんなことをしているくらいなのだ。

 だとしても、さすがに開けっ放しはないよな。

「はっ」

 そこで俺は気が付いた。

 あんな手紙なら意味もなく残していくほどのものでもないだろう。

 でもあそこに書いてあったのは、パンツ、パンツか……。

 それで本当にパンツを荒らしたら、完全に目的が言いわけにしかならなくなる。

 困ってしまったからであって、本当に下心とかではなくて、俺は彼女の下着が入っている引き出しを開けた。

 どうせ彼女は片付けなどしていないだろうし、彼女の悪戯はこんなものだろうと思ったからだ。

 前に片付けをしたときに場所は知っている。活用されていないことも知っている。

 開けてみると案の定、空っぽの引き出しに鍵が入っていた。

 隣には『いや~ん、えっち~』と落書きされたプリントの切れ端も添えてある。どうしよう。


 ①捨てる ②見なかったことにする ③放っておく


 -ここは②でしょうかねー


 面倒だから見なかったことにしよう。

 鍵を持って俺はそっと外に出た。

「メリークリスマス」

 自宅に帰ると、神様が待ち伏せしていた。

 笑顔でそんなことを言っているが、実際に言われても尚更意味がわからなくなるばかりだ。

 なぜこのタイミングでメリークリスマスなのだろう。

 この暑い夏の日に何を言っているんだか。

「メリークリスマス。こんにちは、キュートなサンタクロースだよ~」

 それは確かにキュートなサンタクロースだった。

 神様は可愛らしいミニスカサンタのコスプレをしていた。

 冬なら寒そうな露出度であるから、むしろ今の季節の方が合っているのかもしれないけれど、七月のメリークリスマスはわからない。

 どうして彼女が待ち伏せをしているのかもわからないし。

 昨日のことを恨んででもいるのだろうか。

 しかし彼女がそんなことのために時間を無駄にするとも思えない。どうしよう。


 ①逃げる ②返す ③固まる


 -ここも②を選んでしまいましょうー


 天沢さんの対応に慣れて、今は完全に天沢さんモードになっているからだろうか。

 本来ならば神様を相手にそんなことをするほど俺は度胸はないのだろうけれど、どうにも神様の行動が、天沢さんの悪ふざけのようなものに思えてしまったのだろう。

 いや、うん、天沢さんのせい。

「メリークリスマス!」

 思わず返してしまっていた。

 意味はわからなかったけれど、そこで困ってしまったら負けだと思ってしまったのだ。

 相手は天沢さんじゃないというのに、だ。

 ……相手が天沢さんだったらそれが普通なのもよくわからないけど。

「汚い家ね。でもサンタクロースがやってきてあげたから、序でに入って行ってあげるわよ~」

 どういう上から目線なのか理解は出来ないが、彼女は俺の家に入るつもりらしい。

 車が見当たらないということは、来てから結構経っているのだろうか。

 まさかこの暑く日差しも強い中、彼女を外に置いておくわけにもいかない。

 だが彼女には何か企みがあるに決まっている。どうしよう。


 ①受け入れる ②断る ③締め出す


 -ここは①を選びましょうかー


 せっかく彼女はここまで来てくれているのだ。

 事前に何も言っていなかったのは、まあ正しくは『メリークリスマス』という謎のメッセージは送ってくれているけれど、それ以外に何もなかったのは断られない自信があったからだ。

 人に断られるだなんてことを彼女は夢にも思っていない。

 来てくれているのだから、断るのなんてありえない。

「いらっしゃい。いや、本当に汚い家だけど、良かったら入って」

「良いよ~」

 にっこりと笑って入ってきてくれる彼女には、本当に全くの悪意がないのだかららしいものである。

 そういうところも可愛らしく思えるような気がして、騙されてしまいそうになる。

 神様にはそういうところがあるから怖い。

「なんか、すごいね~。こんな家に住んでる奴が、学校のアイドルと一緒に歩いてるんだ~」

 厭味ったらしい言い方であった。

 こんなことを言うために神様は俺の家にまで来たのだろうか。

 まだ彼女の目的はわかりそうになかった。

「ねえねえ、赤羽琴音先輩って知ってる? 学校の三大美女の残り一人なわけだけど、二人をコンプリートしてるんじゃ、知っているくらいはしてるんじゃない?」

 学校の三大美女って、そんな七不思議みたいなものがあるのだろうか。

 たぶん、この感じだと神様と天沢さんと琴音さんの三人のことなんだろうと思う。どうしよう。


 ①知っているよ ②知らないよ ③仲良しだよ


 -ここで選ぶのは①になりましょうかー


 琴音さんというよりは、八百屋赤羽を知っているという感じだから、琴音さん自身のことはあまり知らない。

 だが、知らないかと言われたらそういうわけでもない。

「知っているよ」

 迷った挙句にそう答えた。

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