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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
天沢美海 中編
181/223

 今すぐにでもプレイし始めたかったが、せっかく貸してくれると言っているのだから、とりあえず帰るまでは我慢しよう。

 きちんと勉強しようと思っていた夏休みが、完全に潰れる予定が立ったな。どうしよう。


 ①責任を取ってもらう ②仕方がない ③両立チャレンジ


 -ここで①を選ぶことが出来てしまうのですー


 こうなったら、天沢さんに責任を取ってもらうしかない。

「多分、これほどのレアものを渡されてしまっては、夢中になってしまうに決まっています。予定が狂わされてしまうに決まっています。……だから、邪魔じゃなかったらなんですけど、時間が合ったら、一緒に勉強とか出来ませんかね」

 忙しい天沢さんだけれど、警戒も極度の気遣いもなくなってきている俺は、平気でそんな誘いが出来た。

 当然なことに言った直後の後悔はあるが、そんな俺を憐れんだり気持ち悪がったりするような人ではないと、もう天沢さんのことは信じているからだろう。

 だから言う前に怖がることはなくなったのだろう。

「独り暮らしだと言っていましたよね。私も独り暮らしだと伝えていますよね。それで、その、夏休みの間なんですけど、同居とかしちゃいません? そうしたら、タイムロスなくゲームを楽しめますし、少しでも時間を活用出来ますし、悪くないんじゃないかと思うんですけど。この汚い部屋が嫌だとか、自分の部屋に私なんかを入れたくないだとか、そういうことはあるでしょうから、無理にとは頼みませんけれど。それに私とは違って、部屋に友人を呼びたくなることだってあるかもしれませんし……」

 少しずつ天沢さんの声が小さくなっていった。

 声量云々の問題ではなく、俺には天沢さんが何を言っているのかさっぱり理解が出来なかった。

 聞こえていて、耳には入っていても、脳には届いていなかった。

「駄目、ですか……?」

 わざとなのか天然なのか、きゅるるんと背後に見えるくらいの可愛さで見つめてくる。どうしよう。


 ①押し倒す ②共感する ③怒り出す


 -ここは思わず②を選んでしまうのですー


 夏休みの間だけだったとしても、天沢さんはほとんどの時間を出掛けてしまっているのだとしても、どう考えたって同居は不味いだろう。

 いけないに決まっているのに、本能が先に出ていた。

「名案だと思います。遅い時間になってから、どちらかの家を訪ねるのでは負担が掛かるかもしれませんが、帰宅したらそこにいてくれているのでしたら、より自然に深夜のゲームを共に出来ましょう」

 自分で言ってしまってから、これはセクハラかと不安になった。

 深夜のゲーム、セーフだよね? 所々に入る天沢さんの発言に比べて、全然セーフだよね?

「欲情してしまったら、最悪、私が眠っているときならば使ってくれても構いませんから。条件は、絶対にバレないように、証拠を隠滅してくれることだけです」

 何を言い出すかと思ったものだけれど、思っていた以上にストレートに言ってきたものだから驚きだ。

 にやにやと笑っていて、正直、変態おやじにしか見えない。どうしよう。


 ①了解 ②了承 ③照れる


 -ここは①を選びますー


 変態おやじでしかないような笑みでも、元が美女なのは誰が見ても間違えようのない美女。

「わかりました。完全完璧に証拠を隠滅するとします」

「え、えと、正気ですか?」

「そりゃまあ正気ですよ」

「あの、それほど意地っ張りな方ではないと自分では思っていますので、もう言ってしまいます。同居がなんだもネタのつもりでした。だから、えっと、本気で言ってます?」

 悪戯っ子らしくしていたくせに、小悪魔の雰囲気を出していたくせに、こちらもノリを返すと、彼女は初心すぎるほどに赤面した。

 同居がネタのつもりだったのだとしたら、そのまま返した俺は恥ずかしい人間なんじゃないか?

 友人なのに勝手に男を出して、モテない可哀想な男になってしまったか。

「嘘です。その、本当は逆です。ちょっとくらい、手を出すにしても、匂いくらいは残してください。もし私が寝ていたとしても、ほんのりと、私を可愛がった痕跡は残してください」

 思考回路を遮断された気がした。

 返事をしようと考えているうちに、彼女は走り去ってしまった。どうしよう。


 ①追い駆ける ②追い掛ける ③呼ぶ


 -ここは③を選ぶことになりますー


 彼女には悪いけれど、この狭い部屋の中でどこへ行くのだろう。

 他にはキッチンとトイレとお風呂くらいなのか?

 少なくとも、他にちゃんとした部屋らしい部屋はなかった気はする。

「天沢さん!」

 呼ぶと素っ頓狂なほど明るい声が返ってきた。

「すみません、トイレに行っています!」

 遠くから彼女の声が聞こえてきたのは、トイレから叫んでいるからなのだようだった。

 気にしているのかと思ったのだけれど、ちょっとでも気にした俺が結局は恥ずかしいほど、全くもって彼女は何も気にしていないのではないか。

 やはり俺を弄んでいるだけの小悪魔なのか彼女は。

「トイレからの声で失礼します。会話をしたいのです。静かになってしまうと、この家、トイレの音も丸聞こえですので、それはさすがに女としてどうかと思う私もいないではないのですよ!」

 小悪魔がこんなことを言うだろうか。

 正直、天沢さんはただ単に何も考えていないだけのように思えてきた。どうしよう。


 ①小悪魔 ②小学生 ③初心な乙女


 -ここを③として判断しますー


 まさか雪野さんではないのだから、クールに見えてすっからかんということはないだろう。

 人付き合いが豊富であるのに、彼女の中身が初心な乙女であることは彼女自身が見せてくれているのだから、素直な心を示して彼女は言ってくれているのだろう。

 彼女の言葉は、下ネタと変態発言は除いて、大体はそういうことだと思おう。

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