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ここで一度、整理を入れたいと思います。
主人公の彼が困ってしまったのもありますし。
恋愛の神様、つまり僕の存在にも勘付き始めているようでもありますし。
コミュニケーションを取るのが難しいため、また氷のような美しさを持つという近付きがたさから、鬼山雪乃の攻略を優先した結果、他のキャラクターの攻略に煮詰まってしまったようでした。
天沢美海は約束がこの先に入っているとはいえ、今の段階では攻略が進んでいるとは言えませんし、他の先輩については全くでしょう。
後輩はだれもだれで、一応は登場しているので接点は持っているけれど、という段階です。
今のところは攻略が進んでいるだろうと判断が出来る堂本木葉ですら、進んでいるとは言えないでしょう。
なぜなら彼女は嫉妬深く、独占欲が強い人ですから。
そして彼女は優しく、自分よりも人の幸せを望んでしまう人であるからです。
彼女の卑屈さが変わらなければ、ハーレムルートにおいて彼女は恋人としてあろうとはしないだろうと考えられます。今回のように恋人に進むことがあったとしても、友だちに戻ってしまうのです。
ハーレムルートでは三角どころではないでしょうに、山内聖との三角関係がなければ堂本木葉の攻略は進められないものなのでしょうか。
一緒にいる時間こそ多いものの、どうにも進まないのは花空祭の攻略ですよね。
彼女はいろいろなことを話してくれて、それをきっかけに松尾クリスにも近付けるようにもなったのですけど、それは攻略の進行を止めることにもなっているようです。
ハーレムを作るためには、「祭ちゃんだけが好き」というようにも言っていられませんから、途中で明るいだけの”馬鹿”な彼女のままでいてもらうわけにはいきませんでした。
いきませんでしたけれど、少し早かったとでも言うのでしょうか。
今の状態では、まるで花空祭は松尾クリスへの橋渡しのようになってしまっており、時間を空ければ空けるほど自動で好感度が下がっていくようなのです。
夏休みにまでなったのにいまだに登場していませんけれど、これから登場するメインヒロインの曽都和百々。
三年五組手芸部という情報が僕には入っていますが、主人公は彼女の存在を知りもしません。
話したことどころか、一度も会ったことがないのです。
彼女と同じく手芸部の三年生の先輩で、こちらはメインヒロインには入っていませんが、鈴木知恵という女子生徒がいます。
どのようにすれば彼女を登場させられるのか、手芸文に入部するという選択肢を選ばずに進んだ今の時点では、もう僕にだってわかりません。
けれど曽都和百々の個人ルートを進めた際、そして赤羽琴音の個人ルートを進めた際、ともに主人公は手芸部に入ることになりました。
それはつまり鈴木知恵の存在がなんらかの影響を及ぼしているのではないかと僕は考えたわけです。
こうして主人公の恋の時計を止めてまで、僕が思考に入っているのは、さすがに焦りがあるというものでもあるのです。
今は夏休みの序盤ですから、一学期は終わってしまったにしても、チャンスはいくらだってあるでしょう。
メインヒロインの中でも、同級生たちとはそれなりに仲良くなっていないことはないのではないかと思いますから、そこに関しては僕も自画自賛を出来ます。
ですが、他学年が先輩にしても後輩にしてもひどいものなのです。
鬼山雪乃との時間を作るために、部活動に入ることを拒否したため、部活で接点を持つはずのメインヒロインたちがどうにも接点を持てずにいるせいでしょう。
勧誘されて文芸部に入りましたが、だからといって庄堂珠希と知り合うことが出来ただけに過ぎず、何も進展はありませんでした。ついでに言えば、活動もありません。
部活動についても、入ったからには何か用意する必要がありましょう。
鬼山雪乃、堂本木葉、松尾クリスの三人が主人公を通して知り合い、仲良くなったかはともかく会話を自然にするようになったということは、それなりに有意義な変化だったようにも思えます。
ここから持ち直せるはずもなく、仲良くなるでも楽しめるでもありませんが、夏休みに鬼山雪乃の家に行ったということは大きな事実であることでしょう。
怪しまれる前にこのイベントは強制終了とさせていただきます。
イベントを成功したか失敗したかは、それぞれの感じ方にお任せ致します。
是非、主人公には夏休みで様々なイベントを行い、出来るだけ多くのメインヒロインたちとの距離を縮めてもらいたいものですね。くっくっくっくっく。




