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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
夏休み 遊び編
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 どうして俺はその程度の気遣いも出来なかったのか。そして、いかに雪乃さんが妹想いの優しい姉であるか。

 やはり俺の優しさのふりをした下心とは違うな。どうしよう。


 ①神様 ②雪乃さん ③自分


 ーここは③を選びますー


 春香ちゃんが寂しがるから? 雪乃さんに迷惑だから? 神様に時間がないから?

 そうやって人のせいになどしないようになる必要があった。

 神様の迎えに来ていた車で家まで送り届けてもらって、それはありがたいことだったのだけれど、車を降りたときに、俺はひどく後悔した。

 一人で歩いて帰ったら良かったと思った。

 この暑い中を一人で歩いていれば、いきなりの一人に寂しくなることもなかったろうに。

 一人暮らしの静かさが、寂しさに感じられて仕方がない。

 それを埋めるようにゲームを手に取った。

 リア充を目指して努力していたからか、去年に比べてゲームに費やす時間が極端に少なくなってしまっていたので、ずっと握ってきたコントローラーが今は手に馴染まないような気がした。

 コントローラーが手の一部と化していた去年の夏休みと比べて、それは良い変化には決まっている。

 にしたって、熱中していたものだから、それにもまた寂しさを感じた。

 今の俺は、堪らなく中途半端なところにいるように思えるのだ。どうしよう。


 ①リア充 ②ゲーマー ③両方


 -ここも③を選んでしまいますー


 リア充になるために、ゲーマーであった俺は捨てなければならないとしたら?

 それだったら、それで本当に俺がリア充となれるのなれば、一切ゲームはやらないと言えるだろうか。たぶん、無理だ。

 だから中途半端になってしまっているのだろう。

 だから寂しくなってしまっているのだろう。

 どうせなら、どちらも捨てないまま、どちらも中途半端とは言えない……極めるほどに至るまでに達したい。

 時間が足りなくなることだろうが、忙しさを楽しむという感覚を楽しみたいのかもしれなかった。

 棚に並ぶこのゲームや本、アニメのおかげで、仲良くなれた人だっている。

 コノちゃんや天沢さんと継いでくれた俺の大切な()()たちに、誇りを持っているし感謝だってしている。

 ゲーマーでありリア充である。天沢さんはそれを見事に、究極なまでに実現しているではないか。

 彼女は外見が美しいというのもあるけれど、それだけではない努力を重ねている。

 外見は普通中の普通中の普通中の普通な俺だって、彼女ほどに努力をしていれば、叶わないことではないのだ。

 ゲームを続けたまま、ゲーム好き仲間と語らい、かつリア充らしくカレンダーを予定で埋め尽くす。

 一先ずの目標はそこだな。

 そこで終わらず、更に上を目指したいものであるが、上を見すぎるには今の俺が低すぎる。

 明日は神様と雪乃さんと一緒に遊べるんだ。

 リア充への道は近付いているのだから、頑張れば全てを掴んだ勝ち組へもきっとなれる。

 とりあえず、そんな今日を持ち、そんな明日を踏まえて今は。どうしよう。


 ①ゲーム ②用意 ③妄想


 -ここは①を選ぶこととなりますー


 ギャルゲーも乙女ゲーもあるけれど、恋愛シミュレーションゲームという気分でもなかったので、格闘ゲームに熱中した。

 気付けば、短い夏の夜は、もう明けてしまっているらしかった。

 朝方寝落ちするよりは断然良いのだけれど、徹夜で行かなければならないのは、少し辛いところがあるかもしれない。

 なんてったって雪乃さんがいるんだからね。

 姉らしいしっかりしたところを度々見せてくれるが、ベースとしてあるのは意味不明さなのだ。相手してあれほど疲れる人はいない。

 体力面が心配になりつつも、俺は手早く用意した。

 何か目的があるわけでもないし、必需品などは言われてないのだから、自分で必要だと思うものだけ持っていけば十分なのだろう。

 丁度、朝食を食べ終え片付けまでを済ませた、準備万端になったぴったりのところで、神様の声が聞こえて来た。

 外に出てそこで車が待機していれば、ぴったりではなく、ずっと待ったせてしまっていたという可能性も大いにある。

 けれどそれではなくて、丁度ぴったり玄関に立ったところで、神様の声が聞こえてきたのだ。

「突入するぞ!」

 なんて、可愛い声で。どうしよう。


 ①すぐに出る ②返事する ③待機する


 -普通に①で良いのでしょうー


 戸を開けば、目の前に神様は立っていた。

 もし慎重に開けていなかったら、思い切り扉が彼女に直撃していただろうと思うくらいの距離だ。

 どちらに開くタイプか見たらわかるだろうし、普通はその距離に立たない気がするのだけれど、まさかそうすぐに出て来るとは思わなかったというのが答えだろう。

 咄嗟に開く扉は避けてくれたが、驚きの表情でこちらを見ている。

「え、エスパーなの~? それとも、もしかして、声を掛けられるのそこで待ってた?」

 わざとらしさは少しもないから、本当に偶然だったのだろう。

 待ち合わせさえ何もしていないというのに、時間なんて決めていなかったというのに、こうもまで時間を揃えられるものか。

 あとは雪乃さんなのだが、彼女はどうなのだろう。

 これから向かって、迷惑な時間帯だったとかでなければい良いのだが。

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