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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
夏休み デート編
141/223

「いいや、芸能人などではありませんよ。だれに似ているでもなく、芸能人の方ではないかとは、変わった問いですね」

 雪乃さんの兄だというのだから、雪乃さんと同じ血を引いているというのだから、わざとやっているとはとても思えない。

 失礼かもしれないけれど、失礼とも思えないほどに、雪乃さんは思っているよりも馬鹿だ。

 オブラートに包むことすら忘れてしまうほど、彼女の言動はひどい。

 その兄なのだし、無意識にこのオーラを放っているということなのだろう。どうしよう。


 ①距離を取る ②距離を取らせる ③耐える


 -ここも③にはなってしまうのですよねー


 面食いを鼻で笑うような神様でも、これほどの美形を前にしては、恋に落ちてしまうのも時間の問題だろう。

 それを考えたなら、彼からは離れた方が良いのかもしれない。

 だが彼が悪いことをしたわけでもないのに、外見が美しいという理由で避けるのは、どこをどう頑張っても正しいことをしているとは思えない。

 元々、正しいことしかしないような、俺は正しい人間を目指しているわけではない。

 だけど、秋桜さんはきっと良い人だと思うから、避けられない。

 冬華ちゃんだっていることだしね。

「この半端じゃないイケメン、キミの友だちなの~?」

「ううんと、友だちのお兄さん、かな」

 これで雪乃さんに友だちじゃないと言われたら悲しい。何度か家にお邪魔しているし、一緒に勉強して、一緒に遊んで、それって友だちで良いんだよね。

 雪乃さんに否定されたら、春香ちゃんに頼むしかないか。

 空しいとか思わないからっ! どうしよう。


 ①自信を持つ ②自信喪失 ③どちらでも良い


 -ここは②になるのだそうですよー


 確かに雪乃さんはフレンドリーなタイプじゃないだろうけれど、だからといって人見知りするようにも見えない。

 神様のようにちやほやされる道を選ばなかっただけで、彼女がそう望めば、それは簡単に叶うことだろう。

 これは神様の努力を否定するわけではないが、あまりに雪乃さんは可愛らしく美しい。

 見た目だけなら賢そうだから、高嶺の花、あまりに高い手の届かない人と思われているのかもしれない。

 笑顔の多い人ではないし、喋り方も相まって、クールな印象を受ける。

 春香ちゃんに至ってはあの明るい性格だし、きっとみんなの人気者なのだろうな……。

 大勢の友だちの中の一人というのが、悪いとするわけではないけれど、そう思うと少し寂しいような気がした。

 嫉妬深さは友だち作りには障害なのだろうけれど。

「それで、あなたも雪乃の同級生の人なのですか? あの子は本当に馬鹿だから、果てしなく馬鹿だから、どこまでも馬鹿だから、仲良く出来ているか心配でならないのですよね。……やれば出来るのですがね」

 秋桜さん、同感だけど馬鹿って言い過ぎ。

 それに、神様が圧倒されてしまっている。どうしよう。


 ①助けに入る ②放っておく ③冬華ちゃんっ!


 -ここは①を選択致しますよー


 神様はコノちゃんとは違う。

 友だちを作ることが苦手な理由は、人見知りが激しいからだとか、会話が苦手だからだとかではない。

 そのはずなのだが、秋桜さんに完全に圧倒されてしまっている。

 ただでさえ外見の時点でそれを感じたのに、秋桜さんが返答に困るような言葉を投げるものだから。

 だれだって、どう返したら良いか困ることだろう。

 神様が雪乃さんのことをどの程度知っているかもわからないが、仲が良いわけではないだろうと思われる。

 そうしたら、頷くわけにもいかないだろうが、それだけ押されて、よく知らないのに否定をすることも難しいだろう。

 結果、どうしたら良いか困るというのが正解なようにも思えるほどだ。

「彼女も雪乃さんとは同級生ですけど、クラスが違うものですし、接点がなくあまり話したことがないようなのです」

「雪乃お姉ちゃんお友だち少ないですもんね」

 俺は秋桜さんに答えたのだが、笑顔の冬華ちゃんからとんでもない暴言が入った。

 幼稚園性って怖いわー。どうしよう。


 ①多い ②少ない ③秋桜さん


 -ここは③を選ぶようですー


 妹の発言について、兄の様子を窺ってみる。

「そうだね。雪乃は友だちが少ないよね。冬華みたいに頭が良くはないけど、雪乃も優しい良い子なんだけどねー」

 出方を待てば、どうやら頷いてしまって良いらしい。

「学校での雪乃さんをほとんど見たことはありませんが、あまり友だちと騒いでいるイメージはありませんね。目立つことをするイメージもありませんし。あれって本当に友だちが少ないってことなんですか? なんか、そのイメージもなくて」

 何がおかしかったのか、俺の質問に秋桜さんは声を上げて笑った。

 真似をしているだけなのか、それとも何かおかしかったのか、冬華ちゃんも笑い出す。

「雪乃は基本的に冷たそうに見えるでしょう? どうしても近寄りがたいのでしょうね、馬鹿なのに」

「馬鹿押しがすごい……」

 思わず声に出してしまい、慌てて口を押さえる。

 そうしてから、口を押さえることもなかったと思い直す。

 にしても、家族内で雪乃さんの扱いはどうなっているんだか。どうしよう。


 ①心配 ②憐れみ ③ネタ


 -ここで選ぶのは①になりますー


 ネタにしようとも思うが、これだけ小さな妹にも定着してしまっていると思うと、もはや雪乃さんが心配にすら思えた。

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