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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
恋人と友だちと知り合いと、初めましての微笑みを。
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 帰宅部の俺は気付かなかったけれど、テスト前期間ということで、放課後の活動がなくなっている部活がほとんどなのだ。

 帰ろうとしたときに、いつもより人が多いと思ったら、そういうことだったのか。

 恐らく昨日から部活動がなくなっているのかな?

 どう考えたって運動部な二人と一緒に帰ったのだから、不思議に思っていれば気付いただろうにな。今日になってやっと気が付いた。

 新木さんと金子さんは、今日はどうやら二人で帰るらしい。どうしよう。


 ①話し掛ける ②距離を取る ③迷う


 ーここで選ぶのが③なのですねー


 昨日だって二人で帰る予定だったのだ。

 偶然そこにいたから、俺は誘われたというだけ。

 でもあの感じで行ったら、今日も一緒に帰ろうと、話し掛けても良いような流れだったのだろうか。

 それなら一人で帰るよりもずっとそちらの方が良い。

 俺が迷っているうちに、二人はさっさと歩いて行ってしまい、完全に見失ってしまった。

 探し出す勢いで追い駆けたら、それはストーカーだし、怖い人になっちゃうよね……。

 別に一人が普通だから、何か思うわけではないけれど。

「こんにちはー。ははは、こんなところで会うなんて、これは運命ですね。それに、今日は私、予定がなくなったので、時間があるのです。あー、こんな日に会えるなんて、本当に運命ですね」

 少し寂しい気持ちで角を曲がると、いきなり天沢さんが出現した。

 運命ですねを連呼する辺り、絶対に待ち伏せていたのだろう。

 しかしそのようなことをするからには、何か重要な用事があるのだろう。どうしよう。


 ①理由を問う ②運命を信じる ③連れ攫う


 ーここは①を選びますよー


 今年は勉強も頑張ると決めたのだから、テスト前にはゲームを封印しているという、真面目っぷりを俺は発揮している。

 出来るだけ遊ぶこともなく、少なくともテスト前の一週間だけは、勉強だけをするようにしているのだ。

 ただ、天沢さんは時間があると言っている。

 これはつまり、これから何かをすることは、確定と見て良いのだろう。

「どうなさいましたか? 待ち伏せなんて趣味が悪いですよ」

「待ち伏せなんてしていません、運命です!」

 気持ち悪いほど即答した後、深呼吸をして落ち着くと、彼女は本題を告げてくれた。

「本当はファンの方とお茶会の予定だったのですが、それが中止になったのです。参加者の中でトラブルがあったとかで。ですから、何もなくなりまして、これはチャンスなのではないかと思い話し掛けたわけですよ。それと、運命は運命ですから」

 お茶会とかいう、ファンサービスを行っている。そういう認識で良いのかな?

 改めて彼女の人気を思い知らされる。

 そりゃそうだよね、こんなに美人なのだから。それでいて、学校内では、完璧美少女を演じているとのことらしいし。

 意地でも運命を言い張るような、意味不明気味な変態ヲタクなのに。どうしよう。


 ①運命って ②納得 ③逃亡


 ーここでは②を選ぶのだそうですねー


 面倒だから、運命はツッコまなくて良いかな。

 説明がなさすぎて、他にもツッコミどころはいくつかあるけど、無理矢理に納得させる。うん、大丈夫、つまりはそういうことなんだよ。

 そういうことがどういうことなのかは、そういうことだよ。

「私の家へ来ては頂けませんか。予定が具体的にわかってきましたし、デートの日取りを決めないといけませんからね」

 デートというのも、ツッコむ必要はないのだろう。

 彼女の悪戯っぽい発言を、一々意識していた頃が懐かしいくらいだね。

 友だちとして心を許してくれているから、冗談を言ってくれるのだろうし、それは素直に嬉しいと思うけれど。

 それともう一つ言うなら、これから天沢さんの家に行くんでしょ。

 圧倒されるほど大きな家だとか、女の子らしいピンク色の部屋だとか、そういったことはなかった。

 俺の部屋ともそんなに変わらないほどだったと思う。

 けれどもそこに天沢さんが暮らしているからには、意識しない人がいるわけがない。

 変態だし同士だけど、彼女が美女であることも事実なのだから。どうしよう。


 ①行く ②行かない ③喜んで


 ーここは①を選びますよー


 誘われたのを断ったら、反対に、更に彼女を意識してしまうだろう。

 それに断ることを純粋に、もったいない、そう感じる気持ちもある。

「わかりました。では、行きましょうか。テスト勉強もありますから、あまり長居は出来ませんが」

 嘘だ。テスト勉強も理由の一部ではあるけれど、彼女の部屋に長居が出来ない理由は、意識をせずにいられないからだ。

 しかしナルシスト台詞をよく言うくせに、そんな言葉を彼女は信じたようだった。

 それは根のネガティブヲタクな彼女のせいなのだろう。

 ときどき、彼女の言うナルシストな言葉が、自分に言い聞かせているようにも聞こえるくらいだし。

 きっと彼女がキャラクターを演じる上で、それが大切なことなのだろうね。

「あっ、それでしたら、私が勉強を教えましょうか? 二年生の内容でしたら、教えられるはずですよ。お礼の意も込めて、協力させて下さい。それに、私にとっても良い復習になりますし」

 俺と一緒にいるときはキャラクターを演じないから、だろうか。

 自分がどれだけ魅力的なのかということを、天沢さんは忘れているように思える。

 だって勉強を教えてくれるだなんて、そんなのって、俺にとっての得があまりに大きいじゃないか。

 雪乃さんに対しては、俺が教える側だった。

 だから一方的に俺が得をしている、という感じではなかっただろう。コノちゃんにも、俺が勉強を教える側だから、というように言って納得させたと思う。

 それが反対になってしまったら、コノちゃんは何を思うのか。どうしよう。


 ①断る ②受け入れる ③頼む


 ーここで③を選んでしまうのですよねー


 それとも、相手がここまでの美女だったら、コノちゃんも許してくれるだろうか?

 雪乃さんに対してだって、嫉妬すらしないレベルの美女だから大丈夫、彼女はそう言っていたのだし。

 せっかくの天沢さんの好意、ありがたく頂戴するお願いする他ない。

 相手が全く意識していないのなら、浮気には含まれないはずだ。

 天沢さんがいかにゲーマーかを知ったら、コノちゃんだって友だちになれると思うし、同士として認識してくれるだろうし。

 問題ない。問題ないから、心配もいらない。

「ありがとうございます。それは助かります。相談がなんとなく済みましたら、先生、お願い致しますね」

「ええ、お任せ下さいっ」

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