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夢に響く歌  作者: 瑠璃
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4

――― 母の手に抱かれて

愛しい我が子

優しい夢を ―――


歌が、聞こえる。

はっきりと、すぐ近くで。

目を開けると、母さんの優しい笑みが僕を覗いていた。



「健ちゃん」

母さんが乗り出すように僕の顔を覗きみる。

でもその表情を知ることはできない。

僕の目は固く閉ざされ、開こうと力を入れてみても空回りしているような感覚だ。

でも母さんの表情はすぐに窺い知れた。


「健ちゃん、ごめんね…」

母さんはすすり泣くような声で言った。

「痛かったね。辛かったね」

腹の上で組まれていた僕の手を、少し小さな手が擦る。

涙を拭ったのか、少し湿り気を帯びた手。


やっぱり僕は死んだんだなぁ。


いつも会う度に抱き寄せてくるから鬱陶しく感じていたけど、今僕は心からこの手を握り返したいと思った。

手は動かない。


冷たくしてごめん。

そう言いたいのに、貼り付いたような唇はほどけない。



「健ちゃんがお腹に戻れたらいいのにね」

母の切なげな声が聞こえた。

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