表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/28

森の終わり

 朝起きたら、5匹のブラウンバットの死骸と寝ていた。噛み付かれたような痕や突き刺されたような痕から、ミツバとコウとモリーが倒したんだろう。朝から血なまぐさい作業をしないといけない。




 森を彷徨って今日で三日目。同じような風景、代わり映えのしない魔物達、肉ばかりの食事とそろそろ嫌気が差してきた。変化があったのはララビィ達地上戦力も森の魔物を倒せるようになったことぐらいだ。


 ララビィ達はミツバ達に命じる前に蜂の群れに近づくと、敵が近づくのを待ち、ある程度高度を落としたところで跳びかかった。あいつらもストレスがたまってるんだろうか。




 そしてその夜、事件は起こった。というか俺が起こした。

 肉ばかりの食事に我慢できなくなった俺が、そこらへんにあるものを炒めて食べたのだ。食べたのは確か、アキの実とフシュテ草後は流血茸りゅうけつだけだ。今考えれば流血茸は確実にアウトだと思うがそのときの俺はまともじゃなかった。

 皆のご飯を先に出すようにしていてよかったと思う。皆にひもじい思いをさせずに済んだのだから。


 炒めたアキの実とフシュテ草は問題なかった。美味しいわけではないがフシュテ草の苦味は肉ばかり食ってた俺を癒してくれた。

 問題はやはり流血茸だった。ひと口食べた途端からだの中が燃えるように熱くなり、信じられない速度で心臓が動きだす。しばらくすると身体がしびれて動けなくなり、その場に倒れてしまった。

 皆が俺の周りを囲むが、どうすることも出来ずただ心配そうにしていた。

 そんな中で俺を助けてくれたのはコウとモリーだった。2匹が俺の首筋に噛み付き血を吸いだす。と、最初は症状の進行が止まり、そこから徐々に楽になっていったのだ。

 ただ、2匹にできたのはそこまでだった。身体の麻痺は取れず、その日はそのまま地面に寝ることになった。ララビィとレイドッグがくっついて寝てくれたので寒くないどころか幸せな気持ちで眠ることが出来た。




 翌朝になると身体の痺れは取れていた。毒の後遺症もなさそうだ。

 昨日の夜からほとんど何も食べてないから空腹だけがつらい。早くご飯にしよう。もちろんメニューは肉だけだ。


 ララビィ達が料理のにおいに眼を覚ました。起きた奴から俺に近づいてきて、心配そうにこちらを伺う。そして、大丈夫そうな俺を見るとほっとしたような表情をする。

 ほとんどの奴らが同じような行動をとるのを見て、謎の光に包まれてから人間臭くなりすぎじゃないか、なんて思った。

 コウとモリーだけが少し苦しそうにしていた。たぶん昨日の夜に俺の血を飲んだせいだと思う。


「ありがとうな、コウ、モリー。お前達がいなかったらどうなっていたか……」

「「ギー」」


 低い鳴き声が苦しさを強調する。こんなになるまで頑張ってくれたのだ。心から感謝させてもらおう。






 その後も肉だけの食事をしながら、同じような風景の中を歩き、代わり映えのしない魔物達と戦うこと2日、とうとう森のはじっこについた。

 まだ町は見えないけど森から出られただけで嬉しくて踊りだしたくなる。後は森を背に歩き続ければ、そのうち町も見つかるはずだ。

 俺達は一面に広がる草原に向かって歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ