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「んん……はぁ。……よし!」


 涙をぬぐって顔を上げる。これ以上ララビィ達に情けない姿は見せられない。

 俺が今いるのは薄暗い森の中だ。やはりゲームとは考えられないほどリアルだ。さっきは混乱してちゃんと考えられなかったけど一体何が起きたんだ?

 ・・・考えてもわからないな。女神様が言っていた言葉を信じるならここがゲームではなく俺達とは別の世界で俺達の世界には帰れないらしい。あとは一年後に邪神が復活するから倒さなきゃいけないみたいだ。

  とりあえず森から出て人のいるところに行かないと、着替えとか食べ物とか欲しいものは沢山ある。解体した魔物の肉もあるししばらくは大丈夫だと思うけど、野菜も食べないと体に悪い。


 ぐ~~~~~。


 そういえばお昼食べてないんだよな。おなかがすいてきた。早速何か肉でも、と思ったところで火が無いことに気がついた。どうしよう。

 とりあえず使えそうな物が無いか所持品を調べるか。


ジョブ:〈魔物使い〉12(9)〈酪農家〉10(3) 〈料理人〉3(2)

能力値:筋力・・・8

    体力・・・8

    器用・・・8

    敏捷・・・4

    魔力・・・3

    精神・・・7

スキル:△使役13(11) △解体14(4) 料理3(NEW) 

称 号:駆け出し 魔物好き(NEW)


 あれ? 所持品と装備の項目がない。これじゃあ何を持っていたかわからないな。

 ……しょうがない、一旦全部出してみよう。

 俺は背負い袋からマヨイイヌの毛皮を何枚か取り出し地面に敷いて、その上に背負い袋の中身をぶちまけた。





 ……使えそうなのは何も無いな。


「せめて種火があれば……」


 種火さえあればここは森の中、焚き木には困らないのに。

 火について考え込んでいると誰かが俺のズボンの裾を引っ張る。邪魔だなぁと思ったらリザルドだった。


「どうした? かまって欲しいのか?」


 リザルドはくわえていた裾を放すと横を向いて、なんと口から火を吹いた。ろうそく位の小ささだけど。

 でもこれで火は何とかなりそうだ。


「リザルド!!」


 思わずリザルドの胴体に抱きつく。リザルドが嬉しそうに尻尾を左右に振った。


 

 じゅ~~~~~


「よし、こんなもんだろ」


 フライパンを火から下ろして地面に敷いた毛皮の上へ。フライパンの中身は焼いて塩で味付けしたベビーリザードのサーロインステーキだ。水は背負い袋に入っていた革の水筒にたっぷりとあった。節約して飲めば五日は持つはずだ。

 俺も毛皮の上に座ると、背負い袋から生のマヨイイヌの肉を取り出して包丁で丁度いい大きさに切ってレイドッグ、カー、リザルド、ゴブの前に置く。

 ララビィは周辺の草を食べるので用意してあげる必要は無い。用意できるものもないしな。

 あと、蜘蛛の巣につかまっていた蜂はまだ起きない。もう死んでいるかも知れないが、一応明日1日様子を見ようと思ってる。

 なにはともあれ晩御飯を食べよう。


「いただきます」

「ワン!」

「ガフ」


 さすがサーロイン、美味いな。



 肉を焼くのに使った焚き火に枯れ枝を投げ込む。辺りはもう真っ暗でこの焚き火がないと何も見えなくなってしまう。

 ぱちぱちと爆ぜる火を眺めながらこれからのことを考える。やることは決まっている、この森を抜けることだ。しかし、どっちに行けば森を抜けられるんだろう。

 南にいけばエニフの町があるんだけど、どっちが南かわからないんだよな。あぁ、どうしよう。


 そうやってしばらく焚き火を眺めていたらだんだん眠くなってきた。考えるのは明日にして今日はもう寝よう。

 寝床ももちろん地面に敷いてあるマヨイイヌ等の毛皮だ。




 朝になると体が痛くてたまらなかった。毛皮を敷いたくらいじゃ駄目みたいだな。町まで戻れたら寝袋を買おう。


 昨日の晩とまったく変わらない食事を済ませた。

 水を少し飲んで荷物の片付け。毛皮と使った調理道具などを背負い袋にしまう。水は節約しないといけないので洗い物は草で拭いただけだ。

 出発の準備を終えて皆を目の前に集めた。出発する前に皆の能力を知っておこうと思ったからだ。

 メニューからララビィ達のステータスを開く。


名 前:ララビィ

種 族:大兎8(3)

スキル:戦闘12(4)


名 前:レイドッグ

種 族:迷い犬7(6)

スキル:戦闘11(10) 集団戦5(4)


名 前:カー

種 族:草原カラス0

スキル:成長83(35)


名 前:ゴブ

種 族:草原ゴブリン5

スキル:戦闘7 集団戦2 槍術3


名 前:リザルド

種 族:ベビーリザード4

スキル:戦闘5 火吹2


 やはり戦闘向けのものばかりだな。森を抜けるのに役立ちそうなスキルがあればと思ったんだけど無いならしょうがない。


「ゴブ、槍を貸してくれ」

「ガフ?」


 首をかしげながらも槍を両手で差し出してくるゴブ。

 緑色の肌で子供のような体型なのに大人のような老けた顔をしていて見た目は不気味だけど、こうゆう仕草をすると可愛いく見えてくる。

 俺はゴブから槍を受け取ると地面に突き立て手を離した。

 ……よしっ、あっちだな。

 槍の倒れたほうを確認しその方向へ歩き出す。道がわからないときはこの方法に限る。

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