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第6話:牙の掃除屋

 運営様より、R18指定を受けたため大幅修正いたしました。(2019年3月1日)


 元の小説は修正作業が終わり次第、『ノクターン』に掲載予定です。

 ここはドレバス・シティ。この物語の主人公であるイングリッドのホームタウンだ。


 この街には大勢の触手狩りを主にした掃除屋がわんさか居り、玉石混合とはいえ高レベルの掃除屋が多い街だ。ざっと人口の1割ほどが掃除屋である。


 当然、こんな世界では腕っ節が自慢な者がそれだけいれば、イングリッド以外にも腕が立つ掃除屋はいる訳で、それが良識ある者ばかりであれば良いのだが、基本的にはイングリッドと似たり寄ったりな癖の強い者ばかりである。


 その中でも飛び抜けて癖の強い掃除屋がイングリッドの家にやってきたところから今回のお話は始まる。



「……依頼の手伝い?」

「そう! あたしの依頼なら引き受けてくれるだろ? イングリッドぉぉぉ~ん♪」


「おいおい、泣きつかなくったって聞いてやるって。

 あんま、引っ付くな。性欲が増して話が出来なくなる」



 イングリッド邸の応接室にてソファーに腰掛けるのは、イングリッドともう一人。


 彼女の友人の一人でもあり恋人でもある同業者、キーバ・グッドサウンドである。



「いや、言いたい事は分かるぜ? 依頼の手伝いって言葉通りなんだろ?

 でもさ、お前の腕ならワタシの助けは要らないだろ?」


 それともまた体が目当てか、と問うイングリッド。


 それもさもありなん。

 イングリッドの体は象牙の塔の如く気高い美しさがあり、彼女に惚れた者は老若男女問わず惹きつけられる。

 それもイングリッドの恋人にして、何度かベッドを共にしたキーバのことだ。


 イングリッドのテクニックと、吸いつくような柔らかさを懐かしんで求めてきたと思われても仕方がない。



「ん~も~、イングリッドったら深読みし過ぎ!

 確かにあたしはお前の肉体の虜で恋人だけれど、仕事は仕事で分けているぞ!」


「それじゃ、ワタシの技前は披露しなくていいのか?(もみっ)」


「ん……はぁう♪ 意地悪だぞ、イングリッド♪」


 何だかんだ言いつつ、元々そのつもりで来たのだろう。


 短いスカートの上に手を這わせ、キーバのお尻を撫でまくるイングリッド。


 ケツに火が付くという表現があるように、摩擦熱でお尻を熱くしてヤル気を出させるという至極真っ当な激励だ!


 手を触手状にした訳ではなく、指関節のある人の手のままだが、それでもキーバの腰を震わせるほどの燃えるヤル気を与えている。


 だが、焦らすのも大好きなイングリッドは話を続けるため、すぐに手を離す。


 自分の手に残る熱と艶っぽい熱を名残惜しそうにするが、仕事は仕事で真面目にしなければ。


 キーバからは「生殺しだ」と言わんばかりに睨まれることになったが。



「悪い悪い。で、それじゃあ一体何だってんだい?」


 気を利かせてクラミルが運んできた紅茶を一息に飲み干してキーバは語る。


 前置きを長く、声のトーンを変え、時には苛烈に、時には核心を突く言葉で。


 ようするに長ったらしい演説口調も好きなのである。


 ちなみに要件は割とレベルの高い触手が大量発生しているから高ランクの掃除屋に片っぱしから声をかけているのだとか。


 ようはギルドの使いである。



「で? 数が数だけにワタシが出るのは吝かじゃないけどさ。

 何でまたお前が来たんだ?」


「それは勿論、イングリッドを抱いて抱かれて燃えるヤル気を蓄えるためだぞ!」



 キリッと目を輝かせ、それはもう存在そのものが絶対正義であるかのように語るキーバ。彼女もまた、イングリッドが好き好きなのだ。


 先ほど、イングリッドに惚れた者は大なり小なりおかしな者が多いと語ったばかりだが、このキーバの特異性はレズの百合というだけではない。


 彼女の性癖……触手好き、ということがイングリッドに惚れた大きな要因と言えるだろう。



「やっぱりイングリッドの体は良いなぁ~♪

 普通に手をさするだけでこんなにも気持ち良くなれるだなんて、ありえないぞ♪」


「そりゃワタシが触手と人間のハーフだからだろうな。

 ってか、ワタシの手を勝手にさすってんじゃねぇよ!

 何か汁が出たらどうする!?」


「美味いからいいさ♪

 イングリッド汁はドレッシング代わりにもなるからサラダとも合うんだぞ♪」


「(イングリッド様は半分は触手だけど半分は人間だけど、食べる分にはそういうのは気にしないのかな?)」


 

 部屋の隅で、針より細い人参スティック(ダイエット用)をポリポリと食べながら考えるクラミルなのであった。


 当然、彼女はイングリッドや周りの人間が騒動を起こすのを当たり前と捉えているので止めたりはしない。



()ーったから、いい加減離せ!」


「ちぇっ、もうちょっと揉ませてくれてもいいのに」


 イングリッドの指先から二の腕にかけて揉み揉みしていたキーバは名残惜しそうに離れる。


「それで、触手の群れってのは何処に何時来るんだ?」


「今日この街にあと1時間もせずに来るぞ♪」


「早ぇよ!」


 時は金なり。


 あぁ、何と言うことだろう。キーバはイングリッドと遊んでいたがために、この街の最高戦力は自身の暮らすホームタウンの危機に気がつくのが遅れてしまった!


 しかし大丈夫。こんな時のためにイングリッドにはクラミルが付いているのだ。



「クラミル!」


「はい、イングリッド様。

 こんな事もあろうかと、対・触手の群れ用装備一式を揃えてあります♪」


 クラミルが取り出したのは自分とイングリッドとキーバの三人用触手迎撃装置。


 流石はクラミル。こんな時でも慌てずにマイペースだ!


 そしてイングリッドはカッコ良くソファーから立ち上がると、ここ一番で言えば間違いなく誰もが惚れるセリフを言うのだ。



「それじゃ行こうぜ二人とも。

 ワタシ達の愛の巣を守るためによ♪」



 キラリと輝く白い歯と、いつもと変わらぬ露出過多の普段着ビキニ姿で振り返るイングリッド。


 プリっとはみ出たお尻の肉が眩く輝いている! これはカッコいい! 惚れるしかないだろう!!


 恋人であるキーバだけでなく、一番側にいて慣れているはずのクラミルでさえも頬を紅潮させる程度にカッコ良すぎるくらいに決まっていた。


 そりゃそうだ。なんたって、イングリッドは恋人を泣かせるような真似はたとえ天地が引っくり返っても絶対にしないのだから。


 こうして、ドレバス・シティにおける大規模戦闘が幕を開けるのだった!



 PS,イングリッドの拳で触手軍は消し飛んだ。



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