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第16話:デデーン

 運営様よりR18指定を受けたため少し修正いたしました。(2019年3月3日)


 元の小説は修正作業が終わり次第、『ノクターン』に掲載いたします。



 ダッダカダッダカ、駆けるは一人と一頭。

 クラミルに跨り荒野を駆けるイングリッド。今日も相変わらずの美しさと力強さを見る者に示す勇姿である。

 風になびく大森林めいた緑髪は今日も神々しい。中身は百合に染まっているが。


 イングリッドが一番輝く場面というのが百合行為でときめいている時であるため、仕事の最中はどんなに輝いていても、ときめき不足で輝きは足りない。


 だというのにこの美しさ! 流石はドレバス・シティを代表する掃除屋であると言えよう。



「そろそろ目的地に着くが、気配察知を頼めるか?」


「言われるまでもなく、すでに実行中です。

 ですが人の気配はまるで無いんですよね」



 馬の姿になったクラミルは感覚が鋭敏になっており、その探知能力は10キロ離れた場所の猫の足音や魚の息すら聞き逃さない聴力なのだが、そんな彼女ですら感知できない。


 これはすなわち、イングリッドのファンである『パーカー隊長のパーフェクト触手教室』の面々はもう……、



「きっと気配が探れないような完全密室に閉じ込められているに違いない!

 ワタシが助けると決めたからには連中は助かる運命だからな」


「いやいや、イングリッド様の勘というか願望は、女性限定でしか効果ないじゃないですか」


「あ、やっぱりそうだよな?」


「そうですよ。

 残念ですが、彼らはすでに死亡している可能性が高いです。

 遺品の一つでも持ち帰れれば良いのですが」



 しかし、だからと言って諦めるほどイングリッドは潔くはない。

 ここぞという場面で、引き下がる理由があったとしても決して引き下がらないのが彼女らしさであり、困難を突破する秘訣なのだ。


 そう、過去の偉人も言っているが、どんな偉業も初めは不可能に見えるもの。

 つまりイングリッドは死んでいる可能性が一番高いからこそ、死んでいなかったら助けた時の喜びが倍々になりそうだという、妙なテンションになっているのだ!!


 案の定、周囲を探索してみると彼らのチームカラーでもある白色の衣服の切れ端が見つかった。


「これは……パーカー隊長のですね。

 汗の染みついた酸っぱい臭いがします」


「もっと探してみてくれ、クラミル。

 この付近は強くともA級の触手しか出ないからな。

 連中なら逃げに徹すれば何とかなるはずだ」


 特に根拠はないが、ファンを大事にするイングリッドだ。

 彼女の類稀なる直感が示す方向に何となく進んでいくと、巨大な触手の巣が出迎えてくれるじゃないか。


 なんというトラブル体質!

 パーカー隊長たち三人組はどうやら巨大触手に丸のみにされたがために、イングリッド達の気配察知に引っかからなかったのだろう。


 これはA級の中でもとびっきりの大物、ダンジョン触手型クリーチャーに違いない!



「ほっほ~う♪ おいおい、クラミル。

 この巨大触手、ダンジョンみたいに中に降りれるっぽいぜ♪」


「またですか? またトラブル歓迎テンションになっちゃってるんですか?

 確かにいかにもなダンジョン系の触手型クリーチャーですけれど、本当に潜るんですか?」


「そこに触手があるから!」



 ならば仕方がない。

 イングリッドの考えなど、所詮はその場その場の思いつき。

 面白そうならば、何でもやってみる。その心意気が大切なのだ。


 この時点でイングリッドは、すでに人命救助が目的であることを完全に忘れている。



「ワタシの目的は触手の駆逐で、ついでに触手王である親父をぎゃふんと言わせること!

 目の前にはダンジョン系の大型触手、となれば……♪」


「せっかくだから?」


「そう! せっかくだから、ワタシはこのダンジョン触手型クリーチャーに潜るぜ!」



 一切の躊躇いもなく、イングリッドはダンジョンへと飛びこむのであった。


「あ、もう待ってください。

 入口が狭いから人化しないと私は入れないんですからねー」


 少し遅れてクラミルも突入。

 止めても無駄であり、イングリッドなら決して自分を死なせることはない。その信頼があるからこそ、いとも簡単に危険なダンジョンにクラミルも潜れるのだ。


 さて、二人がダンジョンの先で見たものとは……。



 ◆ ◆ ◆



「おい、斧のバッテリー残量は!?」


「30%です!」「同じく30%です!」


 パーカー隊長の斧のバッテリーはとっくに切れている。


 彼ら三人は巨大なダンジョン系触手型クリーチャーに丸のみにされ、触手の体内からの脱出を試みていた。


 しかし流石というべきか、この巨大触手は体内に他の触手を住み付かせており、ランクこそ低いが数が半端ないのである。


 常に戦の先陣を駆けるパーカー隊長の斧は、耐久値も限りなくゼロであり、今にも壊れる寸前だ。


 仲間のジャージと重鎧はまだバッテリーが残っているが、連戦続きでこちらも刃が潰れてしまっている。


 これ以上、戦闘が激化しないよう慎重に入り組んだ道を進んでいくが、それでも危険は常に傍にあるもの。


 勿論、このような場面で出てくる触手と言えば、超大物である。それも複数! それがこちらに近づいてきている!!



「た、隊長~!」

「案ずるな、信じて戦えば道は切り開かれる」


 ジャージはパーカー隊長のフードをパタパタ弄って恐怖心を紛らわそうとする。


「もう駄目だ……、終わったな。

 俺は吸血鬼ではないが、燃え尽きた俺の遺灰は錬金術の素材になるだろうか……」


「諦めるな、頑張れば何とかなる!」


 心折れた重鎧を鼓舞するパーカー隊長。


 その言葉には「自分が死のうとも仲間は死なさん」という覚悟を決めた男のものであった。


 パーカー隊長は、バチバチと破滅の音を響かせる愛用の斧に自らの生体電気を流すことで急速充電する。


 これは体力を攻撃力に変換するようなものであり、実際危険。危険が危ない!


 敵の数はこちらの倍。6匹もいる!



「うおおおぉぉぉぉぉぉぉー!」まずは一撃!


 ジェット推進機構による一撃は、壊れかけでも触手を断ち切るには十分な威力である。


 この一撃でまず一匹の触手が死亡。死体は爆発四散し、周囲の触手に爆発ダメージを負わせる。



「だりゃぁぁぁー!」二撃目!


 二匹目も死亡。爆発四散。

 しかしここでパーカー隊長の斧が完全に砕け散ってしまう。



「「隊長!!」」


 ジャージと重鎧が駆け付けようとするが、残る触手は4匹。

 二人は残ったバッテリーで三匹までを仕留めたが、討ち洩らした残る一匹がパーカー隊長を狙う。


「くっ!」


 パーカー隊長は走馬灯を思い出していた。


 貧乏で子沢山の家の長男として生まれたこと。

 小学校、中学校では成績優秀だったこと。

 高校生になると同時に宝くじの一等に当選して中退し、ネトゲにハマり、改造により俺TUEEEをしてアカウントを削除されたこと。

 かつてネトゲで知り合った友人がテレビの特撮ヒーローが使っていた斧の玩具を改造した武器を手に掃除屋デビューしたこと。


 全てが彼の美しい思い出である。


 そして思い出が現在に至った時、彼は死を覚悟した。……が、死が形になったかのような触手が目の前に広がるが、それが自分に死を与えることはなかった。



「お~う、ギリッギリで間に合ったみたいだなぁ~♪」


「イ、イングリッドさん?」


 自分を今まさに殺そうとしていた触手の一撃を、拳で10メートル以上も後方に殴り飛ばした彼女こそ、彼が憧れてやまない最強の掃除屋、イングリッド・ゾーションその人である。


「なんだお前? ワタシのファンだろ? 無事なんだろ?

 もうちょい喜べよ、パーカー」


「いや、あまりにも突然過ぎて……え?

 イングリッドさんこそ無事なんですか?

 この付近で行方不明になったと聞いて救助に来たんですけど」


「その噂、デマだから。

 キーバの同人誌読んだんだろ? あれ、『この作品はフィクションです』の一文を書き忘れていただけなんだと♪」


 笑いを堪えるイングリッド。まさにこれは「ぷぎゃー」な状況だろう。


 助けようと思った尊敬する女性が実は行方不明でもなんでもなく、逆にこちらが助けられて恥を晒してしまうこの状況。


 まさに「ぷぎゃー」以外のどのような言葉が似合うだろうか?


「もしくは『NDK』だな。

 ねぇ、今どんな気持ち? ってか? ダーハッハッハッハッハ♪」


 これでこそイングリッド。百合である彼女は男に対しては割とぞんざいな扱いである。


「最高にハイな気分です!」


 しかしそれでも街一番の人気者イングリッドのファンクラブでもあるパーカー隊長。

 恥を晒しつつも、その相手がイングリッドというのであれば、ベッドインで裸を見せるようなものである。


 実際、今いる場所も巨大な触手の体内であるため、衣服もところどころ触手の胃液で溶けている。


 イングリッドもその豊かな胸も半分ほど見えかけている。


 その扇情的なボロボロファッションに、鼻血確実。


 パーカー隊長、並びにジャージと重鎧は鼻血によって貧血失神。



「あ~らら、ここまで初心な反応されたら男相手でもどうすりゃいいか分かんねぇな。

 どうするクラミル?」


「普通に担いで脱出すればいいでしょう。

 壁を蹴破りますから付いてきてください」



 元々が馬であるクラミルの脚力は強い。

 人化していてもパンチングマシンで100キロとか普通に出すし。(パンチングマシンを蹴る人は実際多い)

 ダンジョン触手型クリーチャーのどてっ腹に大穴を空けて脱出。


 かくして、風が吹けば桶屋が儲かる的な騒動は無事解決し、触手を大量に駆逐したイングリッド&クラミルと、パーカー隊長達は報酬ガッポガッポでその日を飲み明かしたそうな。


 ちなみに街に帰ったイングリッドは、いつも以上に露出過多で汚れた格好だったため、お釈迦様でも現れたかのように住民の視線を一人占めにしたという。


 そして無茶をしてきたことで、今日は仕事で会社に出向いて一緒にいられなかったイオリーンに無理をしないよう滅茶苦茶セットクされた。




 ~キャラ設定~


 パーカー隊長

 本名はパルグリム・カーントラーヤナ。右利き、身長165センチ、体重80キロ。筋肉ムキムキのマッチョマンの遊撃役。

 ドレバス・シティで掃除屋となって最初の依頼での命の危機をイングリッドに救われ、ファンとなる。

 その後は彼女のファンクラブを立ち上げ、自身をリーダーとするチームも作り、街の住民からも信頼厚い人物。

 常にパーカーを着用しているが、これはイングリッドの触手液を固めて作ってくれたものなので防御力は高い。

 イングリッドは生粋の百合だが、恋愛感情を除けば男でも気に入った奴は多いのだ。


 ジャージ:本名はジャルギリス・ジーンバーグ。両利き、身長170センチ、体重60キロ。

 目は良いが、ゲームではメガネに知力上昇効果などが備わっているということで伊達メガネを装備。あまり知力は強化されていないがHITの数値は上昇していると思う。

 アタッカー、というか殺戮役。バックスタブで致命の一撃を狙う。

 生まれは酪農が盛んな小さな名もなき村。

 そのためか、身内の女性陣は皆そのバストは豊満であるため、その反動からか胸の小さな女性を好み、小さな嫁を探すべく出稼ぎにきたドレバス・シティにてパーカー隊長に掃除屋としてスカウトされる。

 隊長がファンというイングリッドに対しては、最初はあからさまに巨乳で露出過多という淫乱めいた雰囲気を嫌っていたが、その懐の深さが彼女の胸の大きさと関係していることを悟り、巨乳の良さも理解するようになった男。

 小さいものが最高と思うことは悪くない。だが大きいのが悪いわけでもない。両方素晴らしいからおっぱいは人を惹きつけるのだ。ジャージ君はイングリッドが大好きなのだ。

 イングリッドからの扱いは弟みたいな感じ。


 重鎧:本名はジュリウス・アッガイ。身長215センチ、体重60キロ。役割はメイン盾職。あと、ジャージのバクスタだけで仕留めきれなかった獲物を上段から叩き潰す追撃役。

 先祖代々貧乏な家柄なため、背は高いが体重は軽すぎる。そのため体重の三倍の鎧を着込んむことで強靭でタフな盾役として仲間を支える。

 カレー好き。動物好き。不幸属性。三人の中では一番モテる。

 イングリッドからは存在を認識してもらえないことが多々ある。



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