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第1話:その女、掃除屋

 はじめましての方ははじめまして。お久しぶりの方はヨイヤサです。


 今回は触手作品で百合作品ですが、エロ要素はあんまりありません。


 と言いますか、前作(ノクターン)の後書きだったかで「触手エロ書きたいなぁ~」と言いましたが、逆にエロよりもギャグが書きたいがために書き始めた作品です。


 毎日更新ですので、しばしお付き合いいただければ幸いです♪



 追記:2019年2月28日より、本作品はR18指定を受けたため、ガッツリと修正を加えております。


 修正が終わり次第、元の小説は『ノクターン』にも掲載されますので百合えっちをお求めの方はそちらをお願いします。


 

 見渡す限りに不毛の大地を駆ける馬と、それに跨る一人の女性。


 時刻は夕暮れ時であり、茜色に染まった空と同じく輝いている荒野を走り続けていた。



「ふぅ~、目的地はこっちの方角で良かったよな?」


「たぶん問題ないと思いますです、はい」



 女性が馬に話しかけると馬は返事をした。


 どうやら、この世界でも稀な<語り馬>と呼ばれる知性を持った馬なのだろう。


 女性は周囲を見渡すものの特に目印になりそうなものはなく、仕方なくそのまま馬を走らせる。


 それから程なくして、小高い丘を登るとそこには大きな塀で囲まれた村が見えてきた。


 自分の勘の良さに喜びながら彼女は村へと向かうが、この近辺の地図を風に飛ばされて失くしてしまったがためにこの時間まで荒野を彷徨っていたのだ。


 勘の良さと運の無さは、プラスマイナスでゼロといったところだろう。


 彼女はそれほど運が良い訳ではないのだ。



「止まれ、この村は現在閉鎖中だ。

 余所者を入れる訳にはいかないぞ」



 村の入口で門番をしていた二人組の男に止められる。


 門番は装備こそ粗末な物だが、二人とも鍛え上げられた筋肉が威圧感を放って女性を見る。



「おい、ここはセンタロ村だよな?」


「そうだ」


「なら聞いてないのか?

 この村が一時閉鎖している原因を片付けるための“掃除屋”が来るってことをよ」


「あ、あんたが……?」



 女性は普通に言っただけなのだが、彼女の言葉を聞いた門番は背中に冷や汗が流れた。


 目の前にいる女性は薄汚れた外套を羽織り馬に跨っているだけのごく普通の旅人に見える。


 だというのに圧倒的なまでの恐怖。


 それは敵味方関係なく、強者と弱者が相対したことによって起きた物であり、女性の方に敵意などまるでないのだ。


 だというのに村の警備を担当する男が声も出せないほどに恐怖している。


 これだけで女性の実力は疑いようがないだろう。

 この村を救う用心棒としての実力は。



「は、話は聞いています。掃除屋殿。

 ご無礼、失礼しました」



 丁寧な謝罪だが、これも言葉として口から出てくるのに時間を要した。


 しかし掃除屋を名乗る女性は気にした風でもなく答える。



「あー、いいっていいって。

 気にすんなよ門番さんよ。

 ワタシが来たからにゃ、この村の住人は誰一人として傷つけさせやしねぇさ」



 彼女としては「自分」も誰かを傷つける意思はないという意味で言ったのだが、そこまでの意図は門番の男にも理解出来た。


 ただ、彼女の言葉の裏には「傷つけないけど他の事はするかも」という意味も込められていたのだが、この場で気づける者は誰も居ないのであった。


 そうして門番の男は仲間の兵士に連絡し、馬を厩舎に預けさせて彼女を村長の元へと送り届ける。


 兵士の装備が質素であることから想像がつくが、村長の家というのもこれまた質素なつくりであった。


 その家へと案内された彼女は村長に向かってたった一言言うのだ。



「ワタシは“掃除屋”イングリッド・ゾーション。

 名指しで呼んだからには知っていると思うが、最強さ」



 村長は彼女――イングリッドを見てあまりにも圧倒的な存在感に思わず威圧されてしまう。


 しかしそれ以上に、この村の現在抱えている困難を打破できるのは彼女しかいないと本能から悟ったのだった。


 翻った外套の下から覗く際どいビキニ装束と、Tバックからはみ出したお尻の輝きに、その本質のすべてが詰め込まれているかのように。




 投稿初日は二話同時更新のため、良ければ次話もどうぞ。

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